第21話「吐き気のする男」






「おい、どこ行くんだよ」

「え?」



「フィニーに餌あげに行くだけだよ・・・?」

「ふ〜ん・・・、俺も行く」




「え〜〜?ちょっと外に餌あげに行くだけなのに・・・・


じゃあさ、春祭り一緒に行こうよ!」

「・・・うん。」




「じゃあ行こ行こ〜〜♪」バタン

「・・・・・・・・・」





「・・・・・・・」

「・・・・ギルバートめ・・・、俺に何も言わない気か・・・?


カセリンは一応、俺の娘だぞ・・・・!」










春祭り会場









「あ、たまご発見!」

「たまご?」




「春はね〜、イースターって言って
たまごを探したりするお祭りなんだよ〜〜♪」

「ふ〜〜ん・・・・」



「へっへー♪
いっぱい集めるんだ〜〜〜♪」




「どこが楽しいんだ・・・・?」

「フン、ギルバートはそっちで遊んでれば!?
あ、あっちにも〜〜♪」




「・・・・・・・」



「・・・・なんか怒られたっぽいし」

「終わるまで遊んでよぅ〜〜・・・・」





「この馬のひづめをあそこに引っ掛けるんだな?」

「こんなんチョロイだろ・・・」






「あ、やべ・・・・意外にムズイかも・・・」

「あ、こっちにもあった♪」





「・・・っていうか、さむっ!!」

「春といってもまだ寒いな・・・
し、白い息が出る・・・・」











ガチャ・・・・





「あ〜終わった終わったぁ〜〜、
ったくダリィぜ・・・・」





「あんなシケた金じゃ、酒も買えねぇ〜〜〜
あいつ売った金もあっつう間に無くなっちまったしなぁ・・・・」

「どこかに大金落ちてねぇかな〜〜


・・・・・・ん?」







「お、あれギルバートじゃねぇか?
やっぱりこの間の見間違いじゃなかったようだな・・・・」

「遊ぶ余裕があるとはいいご身分だぜ・・・・」






「おい、ギルバート・・・・!」

「・・・・・だよな・・・?」










その声を聞いた瞬間、
ギルバートは凍りついた・・・・・









どこかで聞き覚えがある声・・・・・








聞き間違えるはずもない、できれば一生会いたくないとさえ
思っていた・・・・











「おい、無視か?」





ギルバートの父親、ロドリゲスだ・・・・。












「ねぇ〜寒くなってきたし、そろそろ帰ろう〜〜!」




「おいギルバート、聞こえてんだろ?」




「・・・・?誰だろう・・・・」

「ギルバートの知り合い・・・・?
でも、なんか・・・・・」





「ん?」

ビクッ




「ほぉ、お嬢ちゃんも一緒だったか・・・」






「クックック・・・・、
ギルバート、いい女じゃねぇか・・・お前の女か?」


「・・・・・・・・・違う。」





「カセリン、先に帰っててくれ・・・・。」

「え・・・・、う、うん、わかった・・・。」







カセリンはギルバートのいつもと違う声のトーンに
何かを感じたのか、言う通りにした。







「おいおい、いいのかよ帰らせちまって・・・・・
あんないい女一人で帰らせたら、悪い奴に襲われちまうぜ?」

「・・・・アンタより悪い奴がいんのか?」




「言ってくれんじゃねぇか・・・・」










「たくよぉ、水くせぇじゃねぇか・・・・
この町にいるんなら、挨拶ぐらいしに来いよなぁ」

「なんでだよ・・・・・」




「あぁ?ここまで育ててやっただろーが」





「・・・・・・・・」

「なんだ?いっちょまえに自分一人で育ったとか
思ってんじゃねぇだろうな?」





「・・・・・お、思ってねぇよ・・・。」

「ッチ、かわいくねぇ野郎だぜ」








「・・・・ところで、お前よぉ・・・・」

「今どこに住んでるんだ?」




「・・・・ど、どこだっていいだろ・・・」

「よくねぇよ!
お前まさか隠す気じゃねぇだろうな!?」



「自分だけ解放されたとか思ってんのかよ」

「・・・・やめろよ!あ、アンタとはもう・・・・・・
もう関係ねぇから!!」





「ほぉ〜〜、新しい家で新しい家族って奴と
上手くやってんのか?」

「・・・・そうだよ・・・・。」







(・・・もう、勘弁してくれ・・・。
喋りたくない、この人とは・・・・






吐き気がする・・・・








もう・・・、帰りたい・・・・・!




おっさん達のいる家に帰りたい・・・・!!)













「クックック・・・、上手く騙くらかしてるワケだ・・・・」

「じゃあよぉ、お前その家から一番高くて高価そうな物
持ってこいよ。」




「・・・・アンタの言う事は聞かない・・・!」

「それで今までの事はチャラにしてやるって言ってんだよ」




「はっ、それで今まで育ててやった恩返せって事か?
アンタには、これっぽっちも恩なんか感じてねぇよ。」

「むしろ、売ってくれて感謝してるくらいだ・・・・!」









「クックック、いい面構えじゃねぇか!
いいぜぇ、やっぱ俺の息子だぜ!!」

「だがよぉ、お前は俺の言う通りにするしかねぇんだよ・・・・」








「だって、お前にはもう・・・・」






大事なモンができちまっただろ?








「さっきの女とか、失いたくないよなぁ?」

「・・・・・・・・・」













第20話「大人の女性を目指す女」



パッチは、カセリンとギルバートがラブラブなのを見て、
そろそろ俺も誰か相手を探そうかと思って公園に来てみたが・・・・





「どいつもコイツもイチャイチャしやがってよぉ〜。」




「えっ!?なにそれ・・・・
もしかして、おっさんの娘さんギルバートと・・・!」

「えっ!?・・・うおっ」



「お、お前・・・マチルダだっけ・・・」

「今の、イチャイチャってギルバート達の事じゃないの?」


「・・・・・そうだよ・・・」






「やっぱりね〜。
ギルバート、あの子にはな〜んか心許してる感じだったしね〜」

「はぁ〜・・・。
俺もう家にいなくてもいいんじゃね?
家であいつらチュッチュ、チュッチュしやがって居ずらいんだよな〜、俺邪魔っぽいし〜なんかショックだし〜」





「あははっ、そうよね〜
自分の娘が男とチュッチュしてるの見ちゃったら、ショックよね〜」

「だったらさ〜、おっさん。アタシとチュッチュする?」




「おぉ、相手してくれんの?じゃあすっか〜」





「えっ!?・・・い、いや、そんな・・・」

ウソだバーカ




!!

ちょっとおっさん!!





「誰がガキとするかよ」

「何よ、ガキじゃないわよ!!
胸だってちゃんと出てるし、くびれだってちゃ〜んとあるんだから、もう大人の女よ!!」




「おぉ?じゃあ確かめてみるか?」
「え・・・!?」









ガタ・・・・



「あっちにモーテルあったよな、行くか?」

「え・・・・・・?」




「な、何言ってんのよ!!」

「おっさん正気!?
純真無垢なアタシに何をしようとしてんのよ!!
体なんて服の上からでもわかるでしょ!!?」






「ぶはっ!あーーっはっはっはっは!!冗談だって」

!! ちょっとおっさん!!




「何、本気にしてんだよ!!
あ〜〜おもしれぇ〜〜〜〜うははは!」






「・・・・もういいわ!!行ってやろうじゃないの!!」

「ックックック・・・え?」





「ほら、行くわよ!!コッチでいいの!?」

「え〜〜〜、行くの?」


「おっさんが言ったんじゃん!」





「わかったわかった、マチルダは大人の女性だよ」

「そ、そうよ!わかればいいの」




「(つか、実は俺童貞なんだよな・・・、
この歳で童貞・・・




子供もいるのに童貞って・・・なんだソレ)」









一方、その頃のカセリンとギルバートは・・・・






学校






「ギルバート〜〜〜!」




「ギルバート、起きて〜」

「ZZzzz・・・」




「ギルバート、起きてってば!」

「ん〜〜・・・?」





ムク・・・




「またこんな所でサボってたの?」

「うぅ〜ん・・・・」






「ふあぁぁぁ〜〜、授業終わった?」

「うん、もう帰ろう!」







「お、カセリンだ」



「おい、隣にいるのってあのギルバートだよな?」

「なんでカセリンと一緒にいるんだ?」




「もしかしてカセリン、
ギルバートと付き合ってるんじゃ・・・・」

「カルロスが言ってたよな、カセリンとキスしようとしたら
アイツが来て、いきなり殴られたって・・・・」



「そういや、他の奴も最近二人でいる所
よく見かけるって言ってたな・・・・」

「げぇ〜マジかよ〜!
ここらで一番カワイイのカセリンだったのに
よりにもよってあの暴れん坊将軍に取られるなんてさ〜」



「さすがに相手があのギルバートじゃ、
ヘタにカセリンに手ぇ出したりしたら俺達ボコボコにされるぞ・・・・」




「・・・・・・・」










BAR








「ねぇ、おっさん・・・」

「ん?」





「おっさん、奥さんいないの?」
「・・・・あぁ、いない」

「再婚は?」
「再婚どころか結婚すらしてねぇよ」




「え、じゃあ未婚なんだ・・・」




「未婚っつうか・・・・」

「(え・・・?未婚?
未婚ってなんだっけ・・・・)」




「じゃああの子は?カセリンだっけ・・・」

「子供だけ引き取ったって事?」




「アイツは俺の子供じゃないよ。」

「えっ!?でもそっくりじゃん!」


「それでも俺の子じゃねぇの!
まぁ、いとこの子供ってトコかな。色々複雑な事情があってね・・・」




「そうなんだ・・・」

「・・・・・・(じゃあおっさんに相手はいないんだ・・・・)」












数日後








カラン♪



「いらっしゃませ〜」












「ギルバート・・・」

「ん・・・?」







「・・・・・・ダレ?」





「アタシだよ!!」

「え?・・・・えっ!?マ、マチルダ!?」



「だ、誰かと思った・・・。」

「ねぇ、この格好どうかな?おっさん好きかな?」


「え、おっさん?誰だよ・・・」




「アンタがお世話になってる家のおっさんよ・・・・」

「え・・・・・・」















「た、ただいま・・・・」

「おう、ギルバート
こんな時間までどこ行ってたんだ?」



「ん?誰だその子は・・・・
(おいおい、また別の女連れ込むとか
何考えてんだコイツ・・・・カセリンいるってのに)」

「・・・・・この間来たマチルダだよ」



「ほぅ〜・・・・えっ!?」



「マチルダ!?どうしたんだそのナリは!!」

「お、おっさん、どう?似合うかな・・・・?」



「だーーーーーっはっはっはっは!!」

「ちょ、おま・・・何やって・・・・・ゲラゲラ」



「うははは、傑作!!一体どうしたんだ!?」

「そ、そんなにおかしいかな・・・・?」



「いや〜、結構キレイだぞ?」





「えっ・・・・!ほ、本当!?」




「なんか、妖怪人間ベラみたいで・・・・うぷぷ」

「よ、妖怪・・・・」



「もういい!おっさんのバカ!!」バタン

「あれ・・・?」





バタバタ・・・・

「おーい、マチルダ〜?」



「おいギルバート、なんだったんだ今の?」

「さぁ、俺もよく・・・・」




「・・・・・・・・・・」







「・・・・・(なんか、可哀想だな・・・・)」




2限目 初授業


寮のみんなへの挨拶が終わり、
とうとう学校へ行く時間になった。



「初授業だ、緊張するなぁ〜」

「クラスの人達に溶け込めるように
頑張ろう〜〜・・・」






コナーズ会館






「ふぁぁあ〜〜ねみ〜〜〜」

「それにしても・・・・」



「初登校で速攻で寝てるコイツ、どうしよう・・・」

「無防備にも俺の隣で寝やがって・・・・!」



「まぁ、みんな寝てるけどな・・・・」

「授業なんてこんなモンだ・・・。
おーい、トッド起きろ〜」




「はっ!いけない・・・
まさか学校初日から寝るなんて・・・・・」

「いいいい、今どこですかーーー?」


「大して進んでないよ」






こうして、初日の授業は終わった・・・。






「なぁ、これからトッドの歓迎会も含めて
ボーリング行かない?」



「え・・・、ボーリング・・・?
ってなんですか?」

「え・・・、冗談だろ?
ボーリング知らないの?」



「す、すみません・・・。
僕、ずっと田舎暮らしだったので、
流行りモノとかわからないんですよ・・・」

「まーいいや、俺が教えてあげるから
みんなで行こうぜ〜〜!」




「ぐあぁぁっ」

「バ、バッシュさん何やって・・・」
「あーいつもの事だよ。
コイツ、自分の首絞めるの好きらしいんだ」


「へ、へぇ〜〜・・・(この人も変な人だった・・・)」













ボーリング場





「おぉ〜、誰もいない!貸切だ〜〜!!」




ガゴン

「よ〜し、ストライク狙うぞ〜〜!」



「トッド、ボーリングの遊び方教えるぞ。
まずは、この丸い球に穴が空いててな・・・」

「ソコにまっすぐ指突っ込んで、球を持ってだな〜・・・」




「あそこに立ってる性器っぽいピンあるだろ?
あれを倒すんだ。」

「ちょ、やめろよフォルカ!手元狂っただろ!!」ゴト・・・
「こう構えてな〜、バッシュみたいにあんな風に球を投げるん
だが・・・・」



「ちゃんと真ん中目がけて挿れないと横にそれちゃうからな」

「それで全部倒してフィニッシュ決めると、
めちゃくちゃ気持ちいいんだ」



「・・・・わかったか?」

「は、はい・・・、えっと・・・・なんとなく・・・」




「じゃあ、やってみろ」
「はい・・・、えっと空いてる穴に指を・・・こうかな?」

「そうそう!
あ、俺ちょっとキャオ達呼ぶから、やっててくれ」


「あ、はい。」





「真ん中目がけて挿れる・・・・フン!」

「ちょっ、トッドーーー!!」



「えっ!?わわっ、はじっこ行っちゃった・・・・」

「ったく、アイツの説明まともに聞くなってーー!!」


「え?でも・・・・」








「あ、キャオ?
今俺達ボーリング場に居るんだけど、ヌケと一緒に
来てよ」

「トッドの歓迎会も兼ねてさ〜
三人で遊んでるんだ〜♪」



「うん、そうそう。
いつものトコ〜〜」

「ったく、おいトッド。
アイツの説明は忘れて、俺の投げ方見てろ!」


「えっ?は、はい・・・」






みんなが揃った所でボーリング再開



「ったく、行くなら先に言えよなー」
「ゴメンゴメン」

「フォルカ、寮長のメンツに懸けてお前には負けねぇ」
「フフン、俺には後ろに勝利の女神がついてるモンね〜♪」




「・・・お前、ゲイだったっけ?」
「いえ、女の子大好きです」ギラリ

「(ぼ、僕の事じゃないよね・・・?
勝利の女神って・・・)」



パッカーーーン


「おっしゃーーーー!!」

「わ、スゴイ・・・」



「おし、トッド、やってみな」

「は、はい!」




「・・・・球を真ん中に・・・・ブツブツ・・・」

「・・・トッド、目がイってるイってる・・・」





「まったく、僕はあまりこういうスポーツは
好きじゃないんだけどな・・・」




「文句言ってないでお前もやれよ、ヌケ」

「はいはい、わかりましたよ・・・」







ベチャッ


「あいたっ」

「あ〜球がまた端っこに・・・・」




「・・・・・・トッド、挿れるなら球じゃなくて俺の・・・」
「言わせねーーよ!!ヘンタイ!!」















フォルカさんは友達のパーティーに行ってしまって、
残ったみんなと寮の庭で、たき火パーティーをした。





「あぁ、あったかい・・・」





「トッドくんもどうだい?
たき火に試験管を入れると面白い事になるよ」

「し、試験管ですか?」




「へぇ〜どうなるんだろ♪」

「それじゃあ行きますよ〜!」




「えい」ポイッ




ドワッ




「!!?」




「うおっ、くさっ!!」

「な、なんですかコレ!?
すごい臭いんですけど!!」


「臭い薬品だったみたい・・・」
「みたいって、中身知らなかったんですか!?」


「うん」







「おーし、体も誰かさん達のせいで臭くなったし、
そろそろ終わるとすっか〜」

「す、すみません・・・」
「謝らなくていいですよトッドくん。
どーせもう寝る時間ですから」


「いやヌケ、お前は謝れー?」






「あの、ありがとうございました・・・。
僕の歓迎会なんてしていただいて・・・」

「あ〜いいんだよ、こーゆう事がないと
中々みんなでワイワイできねぇし。
むしろコッチが感謝してるって」


「キャオさん・・・」




「疲れたろ、ゆっくり休みな。」
「はい。」











「はぁ〜、楽しかった〜♪」



チャプ・・・


「僕の歓迎会なんてやってくれるとは思わなかったな〜」

「変な人達だけど、みんな良い人そうだし・・・」



「よし、明日も頑張ろう!」

「明日はちゃんと授業寝ないで真面目に受けなくちゃ!
そのために、今日は早めに寝ようっと♪」





「おやすみ〜」
















「・・・うぅ〜〜ん・・・・」



ゴソ・・・・


「・・・あれ、ここどこだ?」




「俺の部屋じゃないよな・・・・絶対に・・・」




「あれ・・・?どうしたんだっけ、昨日の夜・・・・」

「確かみんなでボーリング行って〜・・・・」



「グ〜〜〜〜スピ〜〜〜〜・・・」

「ん?」



「スピーーースピーーー・・・・」

「誰・・・?この人・・・・」



「あ、そうだ、確か友達のパーティー終わったあと、
スターライト・ショアまで飲みに行って・・・・」

「ヤバイ、その後どーしたか覚えてないや・・・」





「・・・・・・・、
とりあえず、寮に帰ろう・・・・・・」





1限目 新生活


ここは大学のある街、ユニバーシティ



僕はこの街の大学に通うため、田舎から引っ越してきた。





前の家からは遠いため、学生寮(男子寮)に入る事になり、



僕は同じ歳の人達と一緒に暮らすのは初めてで、楽しみだった。






「ここが今日から僕が暮らす寮か・・・」





「どんな人達がいるんだろ・・・、
いい人達だったらいいなぁ・・・」


トッド・トラスター
美術学科




「あの・・・、すみませ〜〜〜ん・・・」

「あ?」





「誰だ、お前」

「あ・・・あの、僕・・・
トッド・トラスターって言います。」





「・・・とっとこハム太郎?」


キャオ・ビス
ジャンクとデル様の息子
体育学科






「・・・違いますよ。
今日からこの寮に入る事になった、トッドって言います・・・」

「あぁ、新入りか!聞いてる聞いてる」



「・・・あー・・・、俺寮長のキャオ・ビスってんだけど、
今から講義あんだよ・・・」

「今誰いたっけな・・・、あ、そうだ」





「おーーーい、ヌケ〜〜〜〜!!」

「ちょっと来い、ヌケ〜〜〜〜!!」






「その名で呼ばないでくれないかな・・・・」






「なんですか、キャオさん。」

「コイツ、今日からこの寮で暮らすトッドって奴。
お前部屋に案内してやってくれよ。
俺今から講義でさ〜」


「あ〜いいですよ」





「頼むわ。
そんじゃ、いってくらぁ〜〜」

「あ、あの、ありがとうございます。キャオさん・・・」


「おー」



「トッド・・・くんですか、
僕は米沢って言います。」

「二階に空いてる部屋があるから、そこ使うといいですよ。」


「それじゃ、案内しますね」


米沢ヌケ作
米沢田吾作と京子の息子
下の名前を呼ばれるのは嫌いらしい
科学学科




「君の部屋はここです。
隣は僕の部屋ですから、何かあればいつでもどうぞ」

「あ、はい、ありがとうございます。」




カチャ・・・




「あ、そうそう。
勝手に人の部屋に入ったりしないでくださいね。
あと、夜はちゃんと鍵をかけてください。何かあると困りますから・・・」

「あ、はい、わかりました・・・」


「それでは」




「ふぅ・・・、疲れたな・・・。」

「ちょっと休もう・・・」















ゴソ・・・

「ふあぁぁ〜」



「あれ、今何時だろ・・・」

「ちょっとお腹すいちゃったな・・・」




「・・・誰かいるかな・・・?」





「よう、トッド。
起きたのか?」

「あ・・・、キャオさん・・・」



「さっき部屋行ったら寝てたからさ〜
引っ越しって案外疲れるんだよな〜〜、
あ、メシできてっから〜〜」

「あ、は、はい。いただきます!」







ガチャ


「うわぁぁぁぁあああぁぁ〜〜〜」

「!!!!」






「うわぁぁぁ〜〜ひえぇぇえぇ〜〜」バタバタ

「うおっ!!」


「!??」





「あ、ああの・・・今のは・・・・」

「今のはただの変質者だ・・・・」


「あーゆうのがいるから、部屋に鍵かけとけとかなきゃ
危ないんだよ。」


「そ、そうだったんですね・・・」





「俺もう寝るけど、お前も早く部屋に戻った方がいいぞ。
お前、さっきの変態に喰われるかもしんねぇし、
気をつけろ・・・。」

「えっ!!?」



「メシなら冷蔵庫に入ってっから、食うなら温めて食えよ。
そんじゃ、おやすみ〜〜〜」

「は、はい、おやすみなさい・・・・。」







カチャ・・・




「ご飯食べないで戻ってきちゃった・・・・」

「だって、なんか怖いんだもん・・・」




「もういいや、明日食べよう・・・・。
寝てれば空腹も通り過ぎてくれるさ・・・」




寮に引っ越した初日、いきなりビビるトッドであった・・・。















「・・・うぅ〜〜〜ん・・・・・お腹空いた・・・・」




むく・・・





「今日から学校か〜〜。」





「早くここの生活に慣れるように頑張ろうっと♪」

「そのためにはご飯食べて精力つけなくちゃね〜〜」




「あ、おはようございます。キャオさん」

「うっす」




「おはようございます、米沢さん」

「おはようございます」




「あぁ、やっとご飯が食べれる・・・」

「パンケーキかぁ〜、おいしそう♪」





「あの、コレ、キャオさんが作ったんですか?」

「あぁ、そうだよ。
一応料理とか交代制なんだけど、ここにいるやつら
誰もやらねーんだよな・・・」


「・・・・そ、そうなんだ・・・」





「お前、作れるならたまに代わってくれると嬉しい・・・」

「は、はい、頑張ります・・・。」




「あ♪おいしー」





「あ、トッドくん。今日から授業出るんだよね?」
「あ、はい。」

「僕達の他に、あと二人ここで暮らしてる人がいるんだけど、
たぶん君と同じ学科だから、わからなかったら
その人たちに聞くといいよ」




「あ、そうなんですか・・・。
どんな人達なんだろ〜」

「・・・・昨日の変態だよ・・・。」
「えっ!!?」





「・・・・あれ、女の子がいる・・・」






「噂をすれば、来たよトッドくん」

「えっ・・・!」



「ねぇねぇねぇ、誰の彼女!?
誰が連れ込んだの!?朝からいやらしいね〜!!」

「ゴホゴホッ」


「アホだ・・・」





ガタ・・・


「あ、あの・・・、僕昨日からこの寮にきました
トッド・トラスターです。よろしく・・・」

「僕・・・?え・・・、なんだ男・・・・」


「は、はい・・・」


「あの、同じ美術学科だとか・・・・
色々と教えてくださいね」

「あ〜、うん。俺、フォルカ・フェニックス
よろしく!」



「な〜〜んだ、男か〜〜〜」


フォルカ・フェニックス
シルバとジェミーの息子
美術学科



「まぁいっか・・・、
コイツならイケそうだし・・・」

「(・・・・な、なんだろ・・・
イケるって、何・・・?まさか・・・)」





「・・・あのさ、今夜俺の部屋に来ない?」

「ええぇぇぇ!??え、遠慮しますぅぅ!!」




「えぇ?なんだよ〜〜〜
今色々と教えてくれって言ったじゃ〜〜〜ん」

「え、えっと・・・その・・・」



「おい、変態。あんま新入りで遊ぶなよ」

「いや、本気と書いてマジだし」




「・・・・・トッド、そいつには近づくな」
「はい・・・・」










「あともう一人、この寮で暮らしてる奴いんだけど、
フォルカよりは真面目な奴だから」




「おーーい、バッシュ〜〜〜!
起きてるか〜〜?」


???「やかましぃぃぃ〜〜〜〜!!!!」




「起きてた・・・・」





「俺は今忙しーーーーんだ、帰れ!」





「帰れって言われてもな・・・・。」

「昨日からこの寮に入った新入り紹介したいんだけどよ〜
お前と同じ学科だから、とりあえず部屋入ってもいいか?」




「・・・新入り?・・・ッチ、入んなよ」





ガチャ




「失礼しま〜す・・・」
「おーい、バッシュ〜〜」

「ちょっと待って、今終わるから・・・」





「ヤベ、もうすぐ講義の時間じゃん、・・・・・ん?」


バッシュ・コープ
キースの息子
美術学科




「コイツ、とっとこ・・・・じゃねぇ」
「あの、トッド・トラスターです・・・、よろしく」

「あぁ、よろしくトッド。
俺はバッシュ・コープ。バッシュでいいよ」


「はい」





「なぁ、お前モデルやんない?」
「えっ!?モ、モデルですか??」

「あぁ!脱いでくれるだけでいいんだ」


「ぬ・・・・・、ちょっとキャオさ〜んっ」




「あぁ、気にすんな。
ソイツ、誰にでも言ってっから」
「えっ・・・、そうなんですか・・・?」

「誰でもじゃないよ。
いい体してそうな奴にだけだよ」



「君、意外にいい体してそうなんだよな〜」
「え、遠慮します・・・」

「上だけでも脱いで・・・」
「勘弁してください!」




「・・・そんじゃ、後は仲良くやってくれ」







寮生活をやりたかったのと、過去の主役達の子供世代をやりたかったので
先の見えないものですが作ってしまいました。


カセリンの日常も撮ってはいるんですが、中々思うように作れなくて
ちょっと放置状態になってます。すいません・・・・




あと、PCの不具合により動作が非常に遅くてファイルも開くのに時間かかるし
シムズもメニュー画面で停止したまま動かないという現象に見舞われてて、
色々試してはいるんですが、どんどんひどくなる始末。


次のUPとかいつになるかわかりません、
解決したら、また進めたいと思います。
来て下さる方々、申し訳ない(>_<)

第19話「食われる男」







モグモグ・・・・



「・・・・・・」



「(ボブが変な事言うから、
気になっちゃうじゃない・・・。)」

「はぁ・・・」



バタン


ヒュオォォ〜〜〜


「うおっ、さみ〜〜〜」

「クゥン(すまんのぉ、ワシも家ん中に入れてくれぃ)」




「(関係か・・・・。)」

「(アタシ、いつの間にかギルバートの事、
家族って認めてたみたい・・・)」




ジャーーーーー


「あっ、クソ!抜かれた〜〜
ならばコッチはニトロ使っちゃる〜〜!!」

「(・・・うん、やっぱ弟だよ。
それ以外考えられないな・・・・)」



「おし!トップに返り咲いたゼ!!」

「(・・・・・・・好き・・・かなぁ?
嫌いじゃないけど・・・・・・)」



「・・・・・・・」

「(はぁ・・・、パパ早く帰ってこないかな・・・
二人っきりじゃ息が詰まる・・・・)」




「クゥン(ワシもおるよっ)」










翌日



「フィニー、散歩いこ〜〜」

「バフンバフン(い、息が・・・)」


「あっ、ギルバート!
フィニーの散歩行くの?」

「あぁ」




「たまにはアタシにも散歩させてほしいんだけど・・・・」

「え・・・・」




「ちぇ・・・
じゃあいいよ、行ってこいよ」

「すねるなよ〜、
そんなに犬好きなの?」


「うん・・・、犬ってカワイイじゃん。
癒されるんだよね〜」




「え〜〜、いつも仏頂面なのに〜〜?」

「ほっとけっての」



「じゃあ一緒にフィニーの散歩行こうよ。
それならいいでしょ?」

「知り合いに見られたらどーすんだよ」


「もうバレてるからいいよ。」
「え・・・・」




「・・・って、なんで車で?」

「まぁ、一応遠くの公園行こうよ」




「バウッ(ワシ、漏れそうなんじゃが・・・)」

ブオォォ














人気のない公園





「おぉ、池が凍ってる〜
滑れっかな〜?」

「ギルバート、
ちょっと話があるんだけど・・・」




「ん?なんだよ」

「う、うん・・・あのさ・・・・、
ギルバートは好きな人とか・・・いるの?」






「はぁ・・・?」

「あ、あのね、
この間の冬祭りの時に、ギルバートといるとこ
見られちゃってさ・・・。」



「それで、友達に聞かれたんだよね。
付き合ってるの?ってさ・・・」

「あ〜そーゆうこと・・・」




「う、うん、そーなんだよ!
ギルバートに付き合ってる人とか好きな人いたら、
悪いな〜っと思って・・・・」

「(あ〜〜、何言ってんだろアタシ・・・
なんか自分で言ってて悲しくなってきた・・・・)」






「好きな人、いるよ・・・・」

「え・・・、あぁ、そうなんだ・・・・」







「オマエだけど・・・・・」







「えっ・・・・?」

「えっと・・・・、えっ!?」







「ちょ、ちょっと待って!!
タイム!タイムよーー!!」

「お前、やっぱあのおっさんの娘だな・・・・
(そーゆうトコ似てる・・・・)」





「・・・・い、いつから?」
「俺は最初から好きだったよ。」

「さ、最初って?」
「会った時から・・・」



「な、なんで今まで言わなかったの?」

「俺、お前に何も求めてねーし」


「え・・・?」




「俺は今のままで充分なんだよ。
誰とどーなりたいとか、興味ない。」

「だから、お前はいつも通りでいてくれよ。」


「・・・・・・・う、うん・・・。
わかった・・・・」







「(あ、あたし今告白されたんだよね・・・?
なんか、よくわからなくなってきた・・・・)」










「・・・あ〜でも・・・・」

「えっ?」








「っ!!?」







「キスはする」






ダッ




「・・・・・・・!!?」






「ちょ、ちょっと待って・・・・
待ってよ、えっ!?」

「い、今・・・・
今ぁーーーーーーーーーーー!!!!」






カセリンは、
ギルバートに不意打ちで唇を奪われたのであった。



















「ただいま〜」






「・・・・・・・」

「あ・・・・・・・」







ガタッ


「さ、さ〜て、もう寝ようかな・・・」

「もう寝んのかよ、ギルバート。
まだ7時だぜ?」






かぁ〜〜〜〜

「(う・・・・、なんかすごくドキドキしてきた・・・)」



「どうしたんだ、アイツ?」

「・・・・・・・・」


「ん?カセリンどうした?」



「な、なんでもないよ!」

「(う〜〜〜〜、
ギルバートがあんな事するから、意識しちゃうよ〜〜〜)」



「おい、カセリン、顔真っ赤だぞ?
風邪引いたんじゃないか?」

「え?」



「こんな雪積もってる日に遅くまで遊んでっからだよ。
ほら、目がトロ〜ンとしてんじゃないか・・・」

「そ、そんなに顔赤い?」


「あぁ、熱あるんじゃないか?」




「あ、あたし、もう寝るよ・・・!!
(そ、そーか、コレ風邪引いて熱が出てるから
胸が苦しいんだ・・・!!)」

「暖かくして寝るんだぞ!
なんなら、ギルバートにでもうつせ」


「ギ、ギルバート!?(ドキッ)」



カセリンは風邪のせいにしようとしていたが、
ギルバートに反応している自分に気がついていた・・・。











カセリンの部屋





「はぁ・・・、
ドキドキがおさまらないよ・・・・」




もそ・・・


「やっぱコレ、風邪じゃないよ・・・・」

「あたし、ギルバートに・・・」



「どうしよう、絶対眠れないよ・・・
だって、この壁の向こうにギルバートがいるんだよ!?」

「今まで気にしてなかったのに、なんで・・・
あ、明日ちゃんと顔合わせられるかなぁ・・・?」




「あ〜〜、眠れない・・・!!」

「頭の中で、さっきのキスが・・・!
キスがぁ〜〜〜〜!!」




カセリンの閉じた目の奥では、
ギルバートにキスされた時の映像が無限に流れていた・・・。










その頃、隣の部屋のギルバートは





何事もなかったかのように
ぐっすりと眠りに入っていた。


「むにゃむにゃ・・・・」













カチャ



「!!」





ドキ・・・



「(う・・・、し、心臓が・・・・!)」バクバク

「ギ、ギルバート、おはよう・・・・」


カセリンは、なんとか勇気を振り絞って話しかけた。





「ん?あ、あぁ・・・
お、おはよ・・・」


二人の間に緊張が流れた・・・・。








「(ヤバイ、あんな事言っといて
俺が普通にできねぇ・・・)」

「(やっぱし、最後にあんな事したからだよな・・・
か、顔合わせらんねぇ・・・!)」





「あ、あたし、もう学校行く!!」バタン

「えっ、もう!?」




カセリンは、二人の時間に耐えられなくなり、
一時間も早く学校へ向かった。










「やっぱり普通でいられないよーー!!
どうしようどうしよう!!」





「昨日眠れなかったのに、朝から会っちゃうなんてーー!!
同じ家だから仕方ないけどさ〜〜〜」

「バウッ(お嬢、もう学校に行くんですかい?)」









8時になり、ギルバートが学校へ行く頃には、
もう雪は溶けて、春の季節がやってきた。









学校が終わり、家へ帰ろうとしているカセリンだが、

ギルバートがいる為、動けずにいた・・・。




カシャン



カセリンは、ギルバートが自転車に乗るのを見計らって
気づかれないようにバスまで行こうとしていた。






「フゥ・・・、なんとか気づかれなかったか・・・」

しかし、カセリンはこのままだとギルバートと
普通に接する事ができないと思い、
家に着く前になんとかしようと考えていた。














「はぁ・・・、もう家に着いちゃったよ・・・」





「もう家にいるよね、ギルバート・・・」

「落ち着いて考えるのよ、あたし!
このままだとパパに変だと気づかれるかもしれないし、
一応ギルバートは家族なんだから・・・!!」






「よし・・・!大丈夫だ!!」

「それに、この際だからもう一度確認してみよう!!」





「大丈夫、大丈夫!
あたしの方がお姉ちゃんなんだから!!」

「あんなヤツ、手玉にとってやる!!」




何かを決意したカセリン、
いざ家へ・・・。









カチャ



「た、ただいま〜・・・」



「おかえり・・・」

「う、うん・・・」



「あれ?
ギルバート、初めて”おかえり”って言った?」

「そ、そうか?」



「うん、初めて言われた気がする」

「俺も、初めて言った気がする・・・・」








「ところでさ、
昨日の・・・キ、キスの事なんだけど・・・」


カセリンは、意を決したようにキスの事を言い出した。






「なんだよ、そこはスルーしろよ。
それとも、また謝れって言うのか?」

「ちがうよ」





「もう一回しようって言ってんの!」
「は、はぁ!?」

「ほら、こっち来て」
「ちょ・・・えっ!?」





「ほら、早く!パパが帰ってきちゃうから!!」

「わ、わかったよ・・・・」




(これは・・・
俺が食われるパターンか・・・?)













そして、父が帰って来た頃には・・・

家の中が、いちゃつきムードになっていた・・・。







「・・・・・・・」







「・・・・・・・・・・」





「い、家の中に入れねぇ・・・・」

「バゥ(もう春じゃな〜〜)」




第18話「関係は家族」






「うぅ〜さみ〜〜!
今日は今年初の大雪らしいぞ!!」

「さっき、学校から電話あったよ。
今日はこの大雪で学校休みだってさ〜」


「おぉ、良かったなぁ」





「休みなのはいいけど、
この雪じゃあどこも行けないよね」

「予報じゃ、昼過ぎから晴れるって言ってたぞ」



「へぇ、そうなんだ。
じゃあギルバート、晴れたら冬祭りに行かない?」

「え、祭り?」


「うん。」





「・・・・まぁいいけど。」

「じゃあ行こうね!」











そして雪が止み、冬祭りに来た二人。







「へへ〜、スケートやりたかったんだ〜、アタシ♪」

「ギルバートも見てないで、やんない?」


「俺はいいや。」





「何よ、せっかく来たのに・・・って、うわっ!」ヨロッ

「ひゃあ〜!転んじゃうぅ〜!!」


ヨロヨロ




「あわわ、難しいな〜スケートって・・・・」

「ねぇ、ギルもやろうよ〜〜!!」



「プッ・・・・・」








「・・・・しょうがねぇな」

「お前、さっきから見てっけどヘタ過ぎだぞ」


「だって、初めてなんだよぉ〜」




「はわー!転ぶ転ぶ!!」

「おぉ、意外に面白いな」スィ〜




「おわっっと・・・・あ、あぶねっ」

「ほら、難しいでしょぉ〜?」




「おい、ちょっと待てよ」

「なによ。今集中してんだから、話しかけないで!」





スィ〜〜




「あ、アンタ、上手くない?」
「なんかコツ掴んできた・・・」

「ウソ・・・、ちょっと教えてよ」




「こんなのバランスだろ?」

「あ、なによー。知った風な事言っちゃってさぁ〜」


「俺だって初めてだっての」




「手ぇ貸してよ」
「えっ!」

「早く!!」
「(うおっ、ドキドキする)」






「へへへ、楽しいね〜」

「(俺はドキドキする)」







「知り合いいなくて良かったね!」

「あ、あぁ・・・
(ヤベェ、顔が近い・・・心臓が口から出る)」










「ほらギルバート、滑ってよ」

「わ、わかってるって」









「・・・・ん?」

「あそこで滑ってるの、カセリンか?」



「隣にいるのは・・・・・・、っ!!」

「えっ!?あいつギルバートじゃないか!!」





「そういや前に、カセリンにあいつの事聞かれたっけ」

「なんだ二人はできてたのか〜」



「あ、だからカルロスと別れたのか」

「あ・・・・」



「(い、今キスしなかったか!?)」


勘違いするボブ





「(そーかそーか、こりゃいいモノ見ちゃったな)」

「(それにしても・・・・・)」




「(カセリン、楽しそうだな〜)」

「あの二人が付き合ってる事、ローレル知ってるのかな?」



「教えとこ。」


彼はボブ・ニュービー
3話で出てきた、カセリンの友達のローレルの彼氏である。





「うわっ」

「ちょ、ギルバート!いきなり放さないでよ!!」





ドテッ ベチャ・・・・



「いってー・・・」
「・・・・・・」



「おいっ、大丈夫かよ」

「いったー・・・・、
もう、ギルバートが放すから〜」




「・・・・・、プッ・・・ク・・・ハハ!」

「ちょ、ギルバート、何笑って・・・フフ」




「お前だって笑ってんだろ」
「ギルバートが笑うからでしょ!」

「クク・・・・あー、休憩休憩。」
「上行って、何か飲もうか」








売店





「何飲もっかな〜」




「先、行ってんぞ〜」

「!!」



「・・・・・今の、ギルバートだよな?」

「アイツ、なんでまだ町にいんだ?」



「まってよ、ギルバート〜〜」

「・・・・・・・・・」



「誰だ、あの女は・・・
ギルバートの女か?」

「ッチ、どーなってんだ・・・・」




売店で働いてるのはギルバートの実父、ロドリゲスである。
どうやらギルバートは気づかなかったようだ。











ゴクゴク・・・


「あ〜あったけぇ〜〜」



「あ〜ホント、生き返る〜〜」

「ババァか、お前は」


「アンタはジジィね。」







「ねぇ、ギルバート。
家帰ったら、雪だるま作ろうよ。」

「え〜、まだ遊ぶのかよ」



「だって明日は学校じゃない。
せっかく雪積もったんだから、まだ遊ぼうよ〜」

「あーわかった、わかった。」


「やった!」

















「また、雪降ってきたね〜」



「ねぇ、どの辺に雪だるま作ろうか」

「えー、吹雪いてんのにマジで作んの?」


「当たり前じゃん!」




「じゃあ、この辺にしよっか。
・・・・・・よいしょっと」

「おい、素手かよ〜
さみ〜〜〜〜」



「ほら、ギルバート。
ちゃんと作ってー」

「はいはい。」



「さみさみっ!
手が凍るって」

「手袋買いに行けば良かったね」



「よいしょ・・・・っと」パンパン




「とう!
頭乗せたよ〜〜」

「もうコレでいいんじゃね?」



「ちょっと待って、
顔とか作るから」

「顔・・・・?」



「おお、完成したな!」

「この雪だるま、クリスマス時期によく見る
スノーマンみたい・・・」





「ふ〜〜ん・・・」

「どうしたの?ギルバート」



「この鼻についてんの、何?
ニンジン?」

「その辺にあったの、適当につけただけだよ」







「・・・・コレ、
壊してもいい?」

「え・・・・・?」





「オラァ!!」ガスッ

「ブッ」


ギルバートはせっかく作った雪だるまを
いきなり殴りまくって、破壊し出した。
その雪しぶきはカセリンの顔にモロに降りかかったのだった。









ゴシャッ・・・・





「ちょ、ちょっとギルバート!
何すんのよ〜〜〜〜!!」

「あースッキリした。
・・・・・あ、犬だ」



「もうっ!せっかく作ったのにぃ〜〜!!
ヒドイよ〜〜〜!!」

ザクザク・・・・



「もう!聞いてんの!?」ジロッ




ザクザクザク・・・・

ギルバートはカセリンそっちのけで、
犬に向かって走り出した



「クゥ〜ン」

「お前、こんな雪の日にどうしたんだ?」


「クゥ〜ン(何か食べ物を・・・)」




ザクザク・・・・

「あ、行っちまった・・・・」





ザクザクザク・・・・

「あれ、どうしたんだ?」




「も・・・、いいよ」

「(なんか、怒る気も失せた・・・)」



カセリンは、ギルバートのマイペースさに
少し呆れたのだった・・・・。












学校






「カセリン、昨日冬祭り来てたろ」

「えっ、うん・・・。
(も、もしかして、バレたかな?)」




「カセリンの隣にさ、あのギルバートが居たけど、
もしかして二人は付き合ってるの?」

「えっ・・・!?」


「えー、何ソレ。
カセリンそーなの?」





「そんなワケないじゃん。やだなぁ〜〜」

「変な事言わないでよぉ〜〜
ギルバートはそんなんじゃないよぉ〜」



「えー、でもすっごく楽しそうにデートしてたじゃん。
てっきりカルロスと別れたのは、アイツの事好きだからかと
思ったんだけど・・・」

「え・・・?カルロスくんとは関係ないよ・・・」





「じゃあギルバートは?
そんなんじゃないのにデートしてたのか?」

「デートしてたワケじゃあ・・・・」




「じゃあなんだよ?
付き合ってもないのにキスしてたのか?」

「えっ!?キ、キス!?
してないよーー!!」




「や、やだなぁ、ボブ。
見間違いだよぉ〜、アハハ・・・」

「じゃあカセリンはギルバートの事、
どう思ってんの?」


「え・・・・」





「ど、どうって、別に・・・・
お、弟・・・かな・・・」

「はぁ!?
お前ら一体どうゆう関係なんだよ・・・」




「(どうゆう関係って・・・・・
か、家族・・・・だよね・・・?)」

「(デート・・・?
アイツは、そうゆうんじゃないよ・・・・たぶん)」




いきなりの問いに戸惑うカセリン。
とっさに"弟"と言ってしまったが、自分がギルバートを
どう思っているのかわからなかった・・・。




第17話「初めてのクリスマス」





ギルバートは学校の裏のサッカーコースで、
スーリとケースとサッカーをしていた。

「・・・ケース、次負けたら下も脱いでもらうぜ!」



「フッ、さっさとかかってこんかーい!」




「ッチ、行くぜ!」



「オラァ!」ボスッ

「ナハハ、残念だったな〜」




「く、クソー・・・」
「まだやるか?」

「なぁ、もう暗いしやめね?」




「そうだな。
おいケース、今日は俺の勝利だかんな!」

「ッチ、しゃーねぇか」



「なぁ、ギルバート。
これからどーする?」

「なぁー、二人ともまたナンパしに行こうぜ?」



「オレ、クリスマスは彼女と過ごしたいんだよ。」
「ケース、お前に彼女なんかできるワケねーだろ?」

「ムキー!なんだとーー」



「俺は別にいーけど・・・」

「行くか?」




「おう、いこーぜいこーぜ!」














「おっ、こんな所に鹿がいる」



「腹減ったーーーー!
お、鹿だ鹿だーーーーー!!」バタバタ




「なぁ、鹿ー。
食いモンくれよー」

「鹿が持ってるわけねーだろ」



「う、うおぉぉ、さみー!
この寒さ、ナンパ所じゃねーぞ!」

「確かに、寒くてあまり外に人もいねーしな」



「俺、あんま遅くなるとヤベーから帰るわ。」
「え〜〜!なんだよギルバート。来たばっかなのによぉ〜」

「しょーがねぇだろ、ケース。俺らも帰ろうぜ!」
「ちぇ、わかったよ」


「今度また付き合ってやるからさ」
「おう、絶対だぞ!」











「・・・・あれ、ギルバートの家ってアッチだっけ?」

「ん、どーしたんだスーリ」






「いや、アイツ向こうじゃねーよな、家」

「どっか寄ってくんじゃねぇの?」



「そーいやギルバートの奴、最近付き合い悪かったけど
なんかあったのかな?」

「最近、顔にキズもついてないしなー」



「まぁな、前は生キズが絶えなかったもんなー。
それに比べたら、今の方がマシか?」

「それより、遅くなるとヤベーって言ってたのに
どこ行くんだろうな・・・・」





二人は、ギルバートがパッチの家に引き取られた事を
知らなかった。












ドン家




「はぁ〜、寒いなぁ〜
もうすぐ雪降るかなぁ〜〜〜〜」





「おーい、カセリーン!」




「パパ」

「ギルバートの奴、もう8時過ぎてんのに
まだ帰ってこねーの?」



「うん・・・、どーしたんだろうね」

「しょうがねぇ、迎えに行くか」


「うん」














「・・・・さみー・・・・・」







「・・・・・はぁ・・・」

「このまま・・・・・・」





「・・・・あ、パパ
あそこに・・・・!」









「アイツ、あんな所で何してんだ?」





「おーーい、ギルバーートーォォ!」





「・・・・ん?」

「ギルバート、何してんのー?」





「帰ろうよ」

「うん・・・・」





「どうしたの?
家に帰りたくないの?」

「そーじゃないけど・・・・」





「・・・・・・・・・」






「ど、どーしたの!?」

「おっ!なんだなんだ?泣くのか!?
泣きそうなのか??」


「パパッ!!」






ギルバートは、
自分を心配して探しに来てくれた人達がいる事が
とても嬉しくて、涙が出そうになった・・・・。






「か、帰ろう?ギルバート」

「うん・・・・」





「・・・・・・・・」

















カチャ・・・




「!!」

「わっ、なんだコレ・・・・」


「クリスマスツリーだよ。」




「あぁ、これがクリスマスツリーか」

「ん?なんだお前、クリスマスツリー見た事ねぇの?」





「間近では見た事ないな・・・・」

「なんか、色々ついてんだな・・・・」





「フフッ、何子供みたいな事言っちゃってんの?」





「なんだよ、俺まだ子供だし」

「プッ、・・・・クリスマスプレゼントほしい?」


「うん」



「あるわけねぇだろ、んなモン」

「なんだ、ないのかよー」


「アハハ♪」




「でも、何かほしいのあるなら言ってよ。
検討してみるから」

「うーん・・・・・、
じゃあクリスマスケーキっての作って」



「え、ケーキ?」
「お、いいねぇ♪」

「じゃあクリスマスは過ぎちゃうけど、
今度作ったげるね!」


「うん!」






「・・・・・甘いの苦手とか言わないよね?」

「どこのイケメンだ、ソレ」








ギルバートは、初めてのクリスマスを過ごし、
満足したのかぐっすりと眠りに落ちた。