第21話「吐き気のする男」
「フィニーに餌あげに行くだけだよ・・・?」
「ふ〜ん・・・、俺も行く」
「え〜〜?ちょっと外に餌あげに行くだけなのに・・・・
「・・・・・・・」
「・・・・ギルバートめ・・・、俺に何も言わない気か・・・?
カセリンは一応、俺の娘だぞ・・・・!」
春祭り会場
「春はね〜、イースターって言って
たまごを探したりするお祭りなんだよ〜〜♪」
「ふ〜〜ん・・・・」
「どこが楽しいんだ・・・・?」
「フン、ギルバートはそっちで遊んでれば!?
あ、あっちにも〜〜♪」
「・・・・・・・」
「・・・・なんか怒られたっぽいし」
「終わるまで遊んでよぅ〜〜・・・・」
「この馬のひづめをあそこに引っ掛けるんだな?」
「こんなんチョロイだろ・・・」
「あ、やべ・・・・意外にムズイかも・・・」
「あ、こっちにもあった♪」
「・・・っていうか、さむっ!!」
「春といってもまだ寒いな・・・
し、白い息が出る・・・・」
ガチャ・・・・
「あんなシケた金じゃ、酒も買えねぇ〜〜〜
あいつ売った金もあっつう間に無くなっちまったしなぁ・・・・」
「どこかに大金落ちてねぇかな〜〜
・・・・・・ん?」
「お、あれギルバートじゃねぇか?
やっぱりこの間の見間違いじゃなかったようだな・・・・」
「遊ぶ余裕があるとはいいご身分だぜ・・・・」
「おい、ギルバート・・・・!」
「・・・・・だよな・・・?」
その声を聞いた瞬間、
ギルバートは凍りついた・・・・・
どこかで聞き覚えがある声・・・・・
聞き間違えるはずもない、できれば一生会いたくないとさえ
思っていた・・・・
ギルバートの父親、ロドリゲスだ・・・・。
「・・・・?誰だろう・・・・」
「ギルバートの知り合い・・・・?
でも、なんか・・・・・」
「クックック・・・・、
ギルバート、いい女じゃねぇか・・・お前の女か?」
「・・・・・・・・・違う。」
「カセリン、先に帰っててくれ・・・・。」
「え・・・・、う、うん、わかった・・・。」
カセリンはギルバートのいつもと違う声のトーンに
何かを感じたのか、言う通りにした。
「おいおい、いいのかよ帰らせちまって・・・・・
あんないい女一人で帰らせたら、悪い奴に襲われちまうぜ?」
「・・・・アンタより悪い奴がいんのか?」
「たくよぉ、水くせぇじゃねぇか・・・・
この町にいるんなら、挨拶ぐらいしに来いよなぁ」
「なんでだよ・・・・・」
「あぁ?ここまで育ててやっただろーが」
「・・・・・・・・」
「なんだ?いっちょまえに自分一人で育ったとか
思ってんじゃねぇだろうな?」
「・・・・・お、思ってねぇよ・・・。」
「ッチ、かわいくねぇ野郎だぜ」
「・・・・ところで、お前よぉ・・・・」
「今どこに住んでるんだ?」
「・・・・ど、どこだっていいだろ・・・」
「よくねぇよ!
お前まさか隠す気じゃねぇだろうな!?」
「自分だけ解放されたとか思ってんのかよ」
「・・・・やめろよ!あ、アンタとはもう・・・・・・
もう関係ねぇから!!」
「ほぉ〜〜、新しい家で新しい家族って奴と
上手くやってんのか?」
「・・・・そうだよ・・・・。」
(・・・もう、勘弁してくれ・・・。
喋りたくない、この人とは・・・・
吐き気がする・・・・
もう・・・、帰りたい・・・・・!
おっさん達のいる家に帰りたい・・・・!!)
「クックック・・・、上手く騙くらかしてるワケだ・・・・」
「じゃあよぉ、お前その家から一番高くて高価そうな物
持ってこいよ。」
「・・・・アンタの言う事は聞かない・・・!」
「それで今までの事はチャラにしてやるって言ってんだよ」
「はっ、それで今まで育ててやった恩返せって事か?
アンタには、これっぽっちも恩なんか感じてねぇよ。」
「むしろ、売ってくれて感謝してるくらいだ・・・・!」
「クックック、いい面構えじゃねぇか!
いいぜぇ、やっぱ俺の息子だぜ!!」
「だがよぉ、お前は俺の言う通りにするしかねぇんだよ・・・・」
「だって、お前にはもう・・・・」
「さっきの女とか、失いたくないよなぁ?」
「・・・・・・・・・」
第20話「大人の女性を目指す女」
パッチは、カセリンとギルバートがラブラブなのを見て、
そろそろ俺も誰か相手を探そうかと思って公園に来てみたが・・・・
「えっ!?なにそれ・・・・
もしかして、おっさんの娘さんギルバートと・・・!」
「えっ!?・・・うおっ」
「お、お前・・・マチルダだっけ・・・」
「今の、イチャイチャってギルバート達の事じゃないの?」
「・・・・・そうだよ・・・」
「やっぱりね〜。
ギルバート、あの子にはな〜んか心許してる感じだったしね〜」
「はぁ〜・・・。
俺もう家にいなくてもいいんじゃね?
家であいつらチュッチュ、チュッチュしやがって居ずらいんだよな〜、俺邪魔っぽいし〜なんかショックだし〜」
「あははっ、そうよね〜
自分の娘が男とチュッチュしてるの見ちゃったら、ショックよね〜」
「だったらさ〜、おっさん。アタシとチュッチュする?」
「誰がガキとするかよ」
「何よ、ガキじゃないわよ!!
胸だってちゃんと出てるし、くびれだってちゃ〜んとあるんだから、もう大人の女よ!!」
「おぉ?じゃあ確かめてみるか?」
「え・・・!?」
ガタ・・・・
「あっちにモーテルあったよな、行くか?」
「え・・・・・・?」
「な、何言ってんのよ!!」
「おっさん正気!?
純真無垢なアタシに何をしようとしてんのよ!!
体なんて服の上からでもわかるでしょ!!?」
「ぶはっ!あーーっはっはっはっは!!冗談だって」
「!! ちょっとおっさん!!」
「何、本気にしてんだよ!!
あ〜〜おもしれぇ〜〜〜〜うははは!」
「・・・・もういいわ!!行ってやろうじゃないの!!」
「ックックック・・・え?」
「ほら、行くわよ!!コッチでいいの!?」
「え〜〜〜、行くの?」
「おっさんが言ったんじゃん!」
「わかったわかった、マチルダは大人の女性だよ」
「そ、そうよ!わかればいいの」
「(つか、実は俺童貞なんだよな・・・、
この歳で童貞・・・
子供もいるのに童貞って・・・なんだソレ)」
一方、その頃のカセリンとギルバートは・・・・
学校
ムク・・・
「おい、隣にいるのってあのギルバートだよな?」
「なんでカセリンと一緒にいるんだ?」
「もしかしてカセリン、
ギルバートと付き合ってるんじゃ・・・・」
「カルロスが言ってたよな、カセリンとキスしようとしたら
アイツが来て、いきなり殴られたって・・・・」
「そういや、他の奴も最近二人でいる所
よく見かけるって言ってたな・・・・」
「げぇ〜マジかよ〜!
ここらで一番カワイイのカセリンだったのに
よりにもよってあの暴れん坊将軍に取られるなんてさ〜」
「さすがに相手があのギルバートじゃ、
ヘタにカセリンに手ぇ出したりしたら俺達ボコボコにされるぞ・・・・」
「・・・・・・・」
BAR
「おっさん、奥さんいないの?」
「・・・・あぁ、いない」
「再婚は?」
「再婚どころか結婚すらしてねぇよ」
「え、じゃあ未婚なんだ・・・」
「未婚っつうか・・・・」
「(え・・・?未婚?
未婚ってなんだっけ・・・・)」
「じゃああの子は?カセリンだっけ・・・」
「子供だけ引き取ったって事?」
「アイツは俺の子供じゃないよ。」
「えっ!?でもそっくりじゃん!」
「それでも俺の子じゃねぇの!
まぁ、いとこの子供ってトコかな。色々複雑な事情があってね・・・」
「そうなんだ・・・」
「・・・・・・(じゃあおっさんに相手はいないんだ・・・・)」
数日後
カラン♪
「アタシだよ!!」
「え?・・・・えっ!?マ、マチルダ!?」
「だ、誰かと思った・・・。」
「ねぇ、この格好どうかな?おっさん好きかな?」
「え、おっさん?誰だよ・・・」
「アンタがお世話になってる家のおっさんよ・・・・」
「え・・・・・・」
家
「た、ただいま・・・・」
「おう、ギルバート
こんな時間までどこ行ってたんだ?」
「ん?誰だその子は・・・・
(おいおい、また別の女連れ込むとか
何考えてんだコイツ・・・・カセリンいるってのに)」
「・・・・・この間来たマチルダだよ」
「ほぅ〜・・・・えっ!?」
「マチルダ!?どうしたんだそのナリは!!」
「お、おっさん、どう?似合うかな・・・・?」
「だーーーーーっはっはっはっは!!」
「ちょ、おま・・・何やって・・・・・ゲラゲラ」
「うははは、傑作!!一体どうしたんだ!?」
「そ、そんなにおかしいかな・・・・?」
「なんか、妖怪人間ベラみたいで・・・・うぷぷ」
「よ、妖怪・・・・」
バタバタ・・・・
「おーい、マチルダ〜?」
「おいギルバート、なんだったんだ今の?」
「さぁ、俺もよく・・・・」
「・・・・・・・・・・」
2限目 初授業
寮のみんなへの挨拶が終わり、
とうとう学校へ行く時間になった。
「初授業だ、緊張するなぁ〜」
「クラスの人達に溶け込めるように
頑張ろう〜〜・・・」
「初登校で速攻で寝てるコイツ、どうしよう・・・」
「無防備にも俺の隣で寝やがって・・・・!」
「まぁ、みんな寝てるけどな・・・・」
「授業なんてこんなモンだ・・・。
おーい、トッド起きろ〜」
「はっ!いけない・・・
まさか学校初日から寝るなんて・・・・・」
「いいいい、今どこですかーーー?」
「大して進んでないよ」
こうして、初日の授業は終わった・・・。
「なぁ、これからトッドの歓迎会も含めて
ボーリング行かない?」
「え・・・、ボーリング・・・?
ってなんですか?」
「え・・・、冗談だろ?
ボーリング知らないの?」
「す、すみません・・・。
僕、ずっと田舎暮らしだったので、
流行りモノとかわからないんですよ・・・」
「まーいいや、俺が教えてあげるから
みんなで行こうぜ〜〜!」
「ぐあぁぁっ」
「バ、バッシュさん何やって・・・」
「あーいつもの事だよ。
コイツ、自分の首絞めるの好きらしいんだ」
「へ、へぇ〜〜・・・(この人も変な人だった・・・)」
ボーリング場
「トッド、ボーリングの遊び方教えるぞ。
まずは、この丸い球に穴が空いててな・・・」
「ソコにまっすぐ指突っ込んで、球を持ってだな〜・・・」
「あそこに立ってる性器っぽいピンあるだろ?
あれを倒すんだ。」
「ちょ、やめろよフォルカ!手元狂っただろ!!」ゴト・・・
「こう構えてな〜、バッシュみたいにあんな風に球を投げるん
だが・・・・」
「ちゃんと真ん中目がけて挿れないと横にそれちゃうからな」
「それで全部倒してフィニッシュ決めると、
めちゃくちゃ気持ちいいんだ」
「・・・・わかったか?」
「は、はい・・・、えっと・・・・なんとなく・・・」
「じゃあ、やってみろ」
「はい・・・、えっと空いてる穴に指を・・・こうかな?」
「そうそう!
あ、俺ちょっとキャオ達呼ぶから、やっててくれ」
「あ、はい。」
「真ん中目がけて挿れる・・・・フン!」
「ちょっ、トッドーーー!!」
「えっ!?わわっ、はじっこ行っちゃった・・・・」
「ったく、アイツの説明まともに聞くなってーー!!」
「え?でも・・・・」
「あ、キャオ?
今俺達ボーリング場に居るんだけど、ヌケと一緒に
来てよ」
「トッドの歓迎会も兼ねてさ〜
三人で遊んでるんだ〜♪」
「うん、そうそう。
いつものトコ〜〜」
「ったく、おいトッド。
アイツの説明は忘れて、俺の投げ方見てろ!」
「えっ?は、はい・・・」
みんなが揃った所でボーリング再開
「ったく、行くなら先に言えよなー」
「ゴメンゴメン」
「フォルカ、寮長のメンツに懸けてお前には負けねぇ」
「フフン、俺には後ろに勝利の女神がついてるモンね〜♪」
「・・・お前、ゲイだったっけ?」
「いえ、女の子大好きです」ギラリ
「(ぼ、僕の事じゃないよね・・・?
勝利の女神って・・・)」
パッカーーーン
「・・・・球を真ん中に・・・・ブツブツ・・・」
「・・・トッド、目がイってるイってる・・・」
「まったく、僕はあまりこういうスポーツは
好きじゃないんだけどな・・・」
「文句言ってないでお前もやれよ、ヌケ」
「はいはい、わかりましたよ・・・」
ベチャッ
「・・・・・・トッド、挿れるなら球じゃなくて俺の・・・」
「言わせねーーよ!!ヘンタイ!!」
フォルカさんは友達のパーティーに行ってしまって、
残ったみんなと寮の庭で、たき火パーティーをした。
「トッドくんもどうだい?
たき火に試験管を入れると面白い事になるよ」
「し、試験管ですか?」
ドワッ
「うおっ、くさっ!!」
「な、なんですかコレ!?
すごい臭いんですけど!!」
「臭い薬品だったみたい・・・」
「みたいって、中身知らなかったんですか!?」
「うん」
「おーし、体も誰かさん達のせいで臭くなったし、
そろそろ終わるとすっか〜」
「す、すみません・・・」
「謝らなくていいですよトッドくん。
どーせもう寝る時間ですから」
「いやヌケ、お前は謝れー?」
「あの、ありがとうございました・・・。
僕の歓迎会なんてしていただいて・・・」
「あ〜いいんだよ、こーゆう事がないと
中々みんなでワイワイできねぇし。
むしろコッチが感謝してるって」
「キャオさん・・・」
「疲れたろ、ゆっくり休みな。」
「はい。」
チャプ・・・
「僕の歓迎会なんてやってくれるとは思わなかったな〜」
「変な人達だけど、みんな良い人そうだし・・・」
「よし、明日も頑張ろう!」
「明日はちゃんと授業寝ないで真面目に受けなくちゃ!
そのために、今日は早めに寝ようっと♪」
朝
ゴソ・・・・
「あれ・・・?どうしたんだっけ、昨日の夜・・・・」
「確かみんなでボーリング行って〜・・・・」
「スピーーースピーーー・・・・」
「誰・・・?この人・・・・」
「あ、そうだ、確か友達のパーティー終わったあと、
スターライト・ショアまで飲みに行って・・・・」
「ヤバイ、その後どーしたか覚えてないや・・・」
1限目 新生活
ここは大学のある街、ユニバーシティ
前の家からは遠いため、学生寮(男子寮)に入る事になり、
「どんな人達がいるんだろ・・・、
いい人達だったらいいなぁ・・・」
トッド・トラスター
美術学科
「誰だ、お前」
「あ・・・あの、僕・・・
トッド・トラスターって言います。」
「・・・とっとこハム太郎?」
キャオ・ビス
ジャンクとデル様の息子
体育学科
「・・・違いますよ。
今日からこの寮に入る事になった、トッドって言います・・・」
「あぁ、新入りか!聞いてる聞いてる」
「・・・あー・・・、俺寮長のキャオ・ビスってんだけど、
今から講義あんだよ・・・」
「今誰いたっけな・・・、あ、そうだ」
「おーーーい、ヌケ〜〜〜〜!!」
「ちょっと来い、ヌケ〜〜〜〜!!」
「なんですか、キャオさん。」
「コイツ、今日からこの寮で暮らすトッドって奴。
お前部屋に案内してやってくれよ。
俺今から講義でさ〜」
「あ〜いいですよ」
「頼むわ。
そんじゃ、いってくらぁ〜〜」
「あ、あの、ありがとうございます。キャオさん・・・」
「おー」
「トッド・・・くんですか、
僕は米沢って言います。」
「二階に空いてる部屋があるから、そこ使うといいですよ。」
米沢ヌケ作
米沢田吾作と京子の息子
下の名前を呼ばれるのは嫌いらしい
科学学科
「君の部屋はここです。
隣は僕の部屋ですから、何かあればいつでもどうぞ」
「あ、はい、ありがとうございます。」
「あ、そうそう。
勝手に人の部屋に入ったりしないでくださいね。
あと、夜はちゃんと鍵をかけてください。何かあると困りますから・・・」
「あ、はい、わかりました・・・」
「それでは」
夜
「あれ、今何時だろ・・・」
「ちょっとお腹すいちゃったな・・・」
「よう、トッド。
起きたのか?」
「あ・・・、キャオさん・・・」
「さっき部屋行ったら寝てたからさ〜
引っ越しって案外疲れるんだよな〜〜、
あ、メシできてっから〜〜」
「あ、は、はい。いただきます!」
ガチャ
「!??」
「あ、ああの・・・今のは・・・・」
「今のはただの変質者だ・・・・」
「あーゆうのがいるから、部屋に鍵かけとけとかなきゃ
危ないんだよ。」
「そ、そうだったんですね・・・」
「俺もう寝るけど、お前も早く部屋に戻った方がいいぞ。
お前、さっきの変態に喰われるかもしんねぇし、
気をつけろ・・・。」
「えっ!!?」
「メシなら冷蔵庫に入ってっから、食うなら温めて食えよ。
そんじゃ、おやすみ〜〜〜」
「は、はい、おやすみなさい・・・・。」
カチャ・・・
「ご飯食べないで戻ってきちゃった・・・・」
「だって、なんか怖いんだもん・・・」
「もういいや、明日食べよう・・・・。
寝てれば空腹も通り過ぎてくれるさ・・・」
寮に引っ越した初日、いきなりビビるトッドであった・・・。
朝
むく・・・
「早くここの生活に慣れるように頑張ろうっと♪」
「そのためにはご飯食べて精力つけなくちゃね〜〜」
「あぁ、やっとご飯が食べれる・・・」
「パンケーキかぁ〜、おいしそう♪」
「あの、コレ、キャオさんが作ったんですか?」
「あぁ、そうだよ。
一応料理とか交代制なんだけど、ここにいるやつら
誰もやらねーんだよな・・・」
「・・・・そ、そうなんだ・・・」
「お前、作れるならたまに代わってくれると嬉しい・・・」
「は、はい、頑張ります・・・。」
「あ、トッドくん。今日から授業出るんだよね?」
「あ、はい。」
「僕達の他に、あと二人ここで暮らしてる人がいるんだけど、
たぶん君と同じ学科だから、わからなかったら
その人たちに聞くといいよ」
「あ、そうなんですか・・・。
どんな人達なんだろ〜」
「・・・・昨日の変態だよ・・・。」
「えっ!!?」
「ねぇねぇねぇ、誰の彼女!?
誰が連れ込んだの!?朝からいやらしいね〜!!」
「ゴホゴホッ」
「アホだ・・・」
ガタ・・・
「あ、あの・・・、僕昨日からこの寮にきました
トッド・トラスターです。よろしく・・・」
「僕・・・?え・・・、なんだ男・・・・」
「は、はい・・・」
「あの、同じ美術学科だとか・・・・
色々と教えてくださいね」
「あ〜、うん。俺、フォルカ・フェニックス
よろしく!」
フォルカ・フェニックス
シルバとジェミーの息子
美術学科
「まぁいっか・・・、
コイツならイケそうだし・・・」
「(・・・・な、なんだろ・・・
イケるって、何・・・?まさか・・・)」
「・・・あのさ、今夜俺の部屋に来ない?」
「ええぇぇぇ!??え、遠慮しますぅぅ!!」
「えぇ?なんだよ〜〜〜
今色々と教えてくれって言ったじゃ〜〜〜ん」
「え、えっと・・・その・・・」
「おい、変態。あんま新入りで遊ぶなよ」
「いや、本気と書いてマジだし」
「・・・・・トッド、そいつには近づくな」
「はい・・・・」
「あともう一人、この寮で暮らしてる奴いんだけど、
フォルカよりは真面目な奴だから」
???「やかましぃぃぃ〜〜〜〜!!!!」
「起きてた・・・・」
「帰れって言われてもな・・・・。」
「昨日からこの寮に入った新入り紹介したいんだけどよ〜
お前と同じ学科だから、とりあえず部屋入ってもいいか?」
「・・・新入り?・・・ッチ、入んなよ」
ガチャ
「失礼しま〜す・・・」
「おーい、バッシュ〜〜」
「ちょっと待って、今終わるから・・・」
バッシュ・コープ
キースの息子
美術学科
「コイツ、とっとこ・・・・じゃねぇ」
「あの、トッド・トラスターです・・・、よろしく」
「あぁ、よろしくトッド。
俺はバッシュ・コープ。バッシュでいいよ」
「はい」
「なぁ、お前モデルやんない?」
「えっ!?モ、モデルですか??」
「あぁ!脱いでくれるだけでいいんだ」
「ぬ・・・・・、ちょっとキャオさ〜んっ」
「あぁ、気にすんな。
ソイツ、誰にでも言ってっから」
「えっ・・・、そうなんですか・・・?」
「誰でもじゃないよ。
いい体してそうな奴にだけだよ」
「君、意外にいい体してそうなんだよな〜」
「え、遠慮します・・・」
「上だけでも脱いで・・・」
「勘弁してください!」
「・・・そんじゃ、後は仲良くやってくれ」
寮生活をやりたかったのと、過去の主役達の子供世代をやりたかったので
先の見えないものですが作ってしまいました。
カセリンの日常も撮ってはいるんですが、中々思うように作れなくて
ちょっと放置状態になってます。すいません・・・・
あと、PCの不具合により動作が非常に遅くてファイルも開くのに時間かかるし
シムズもメニュー画面で停止したまま動かないという現象に見舞われてて、
色々試してはいるんですが、どんどんひどくなる始末。
次のUPとかいつになるかわかりません、
解決したら、また進めたいと思います。
来て下さる方々、申し訳ない(>_<)
第19話「食われる男」
夜
モグモグ・・・・
「(ボブが変な事言うから、
気になっちゃうじゃない・・・。)」
「はぁ・・・」
バタン
ヒュオォォ〜〜〜
「うおっ、さみ〜〜〜」
「クゥン(すまんのぉ、ワシも家ん中に入れてくれぃ)」
「(関係か・・・・。)」
「(アタシ、いつの間にかギルバートの事、
家族って認めてたみたい・・・)」
ジャーーーーー
「あっ、クソ!抜かれた〜〜
ならばコッチはニトロ使っちゃる〜〜!!」
「(・・・うん、やっぱ弟だよ。
それ以外考えられないな・・・・)」
「おし!トップに返り咲いたゼ!!」
「(・・・・・・・好き・・・かなぁ?
嫌いじゃないけど・・・・・・)」
「・・・・・・・」
「(はぁ・・・、パパ早く帰ってこないかな・・・
二人っきりじゃ息が詰まる・・・・)」
「クゥン(ワシもおるよっ)」
翌日
「フィニー、散歩いこ〜〜」
「バフンバフン(い、息が・・・)」
「たまにはアタシにも散歩させてほしいんだけど・・・・」
「え・・・・」
「ちぇ・・・
じゃあいいよ、行ってこいよ」
「すねるなよ〜、
そんなに犬好きなの?」
「うん・・・、犬ってカワイイじゃん。
癒されるんだよね〜」
「え〜〜、いつも仏頂面なのに〜〜?」
「ほっとけっての」
「じゃあ一緒にフィニーの散歩行こうよ。
それならいいでしょ?」
「知り合いに見られたらどーすんだよ」
「もうバレてるからいいよ。」
「え・・・・」
「・・・って、なんで車で?」
「まぁ、一応遠くの公園行こうよ」
人気のない公園
「おぉ、池が凍ってる〜
滑れっかな〜?」
「ギルバート、
ちょっと話があるんだけど・・・」
「ん?なんだよ」
「う、うん・・・あのさ・・・・、
ギルバートは好きな人とか・・・いるの?」
「はぁ・・・?」
「あ、あのね、
この間の冬祭りの時に、ギルバートといるとこ
見られちゃってさ・・・。」
「それで、友達に聞かれたんだよね。
付き合ってるの?ってさ・・・」
「あ〜そーゆうこと・・・」
「う、うん、そーなんだよ!
ギルバートに付き合ってる人とか好きな人いたら、
悪いな〜っと思って・・・・」
「(あ〜〜、何言ってんだろアタシ・・・
なんか自分で言ってて悲しくなってきた・・・・)」
「好きな人、いるよ・・・・」
「え・・・、あぁ、そうなんだ・・・・」
「ちょ、ちょっと待って!!
タイム!タイムよーー!!」
「お前、やっぱあのおっさんの娘だな・・・・
(そーゆうトコ似てる・・・・)」
「・・・・い、いつから?」
「俺は最初から好きだったよ。」
「さ、最初って?」
「会った時から・・・」
「な、なんで今まで言わなかったの?」
「俺、お前に何も求めてねーし」
「え・・・?」
「俺は今のままで充分なんだよ。
誰とどーなりたいとか、興味ない。」
「だから、お前はいつも通りでいてくれよ。」
「・・・・・・・う、うん・・・。
わかった・・・・」
「(あ、あたし今告白されたんだよね・・・?
なんか、よくわからなくなってきた・・・・)」
ダッ
「ちょ、ちょっと待って・・・・
待ってよ、えっ!?」
「い、今・・・・
今ぁーーーーーーーーーーー!!!!」
カセリンは、
ギルバートに不意打ちで唇を奪われたのであった。
家
ガタッ
「さ、さ〜て、もう寝ようかな・・・」
「もう寝んのかよ、ギルバート。
まだ7時だぜ?」
かぁ〜〜〜〜
「(う・・・・、なんかすごくドキドキしてきた・・・)」
「ん?カセリンどうした?」
「な、なんでもないよ!」
「(う〜〜〜〜、
ギルバートがあんな事するから、意識しちゃうよ〜〜〜)」
「おい、カセリン、顔真っ赤だぞ?
風邪引いたんじゃないか?」
「え?」
「こんな雪積もってる日に遅くまで遊んでっからだよ。
ほら、目がトロ〜ンとしてんじゃないか・・・」
「そ、そんなに顔赤い?」
「あぁ、熱あるんじゃないか?」
「あ、あたし、もう寝るよ・・・!!
(そ、そーか、コレ風邪引いて熱が出てるから
胸が苦しいんだ・・・!!)」
「暖かくして寝るんだぞ!
なんなら、ギルバートにでもうつせ」
「ギ、ギルバート!?(ドキッ)」
カセリンは風邪のせいにしようとしていたが、
ギルバートに反応している自分に気がついていた・・・。
カセリンの部屋
もそ・・・
「やっぱコレ、風邪じゃないよ・・・・」
「あたし、ギルバートに・・・」
「どうしよう、絶対眠れないよ・・・
だって、この壁の向こうにギルバートがいるんだよ!?」
「今まで気にしてなかったのに、なんで・・・
あ、明日ちゃんと顔合わせられるかなぁ・・・?」
「あ〜〜、眠れない・・・!!」
「頭の中で、さっきのキスが・・・!
キスがぁ〜〜〜〜!!」
カセリンの閉じた目の奥では、
ギルバートにキスされた時の映像が無限に流れていた・・・。
その頃、隣の部屋のギルバートは
「むにゃむにゃ・・・・」
朝
カチャ
ドキ・・・
「(う・・・、し、心臓が・・・・!)」バクバク
「ギ、ギルバート、おはよう・・・・」
カセリンは、なんとか勇気を振り絞って話しかけた。
二人の間に緊張が流れた・・・・。
「(ヤバイ、あんな事言っといて
俺が普通にできねぇ・・・)」
「(やっぱし、最後にあんな事したからだよな・・・
か、顔合わせらんねぇ・・・!)」
カセリンは、二人の時間に耐えられなくなり、
一時間も早く学校へ向かった。
「やっぱり普通でいられないよーー!!
どうしようどうしよう!!」
「昨日眠れなかったのに、朝から会っちゃうなんてーー!!
同じ家だから仕方ないけどさ〜〜〜」
「バウッ(お嬢、もう学校に行くんですかい?)」
8時になり、ギルバートが学校へ行く頃には、
もう雪は溶けて、春の季節がやってきた。
学校が終わり、家へ帰ろうとしているカセリンだが、
ギルバートがいる為、動けずにいた・・・。
カシャン
カセリンは、ギルバートが自転車に乗るのを見計らって
気づかれないようにバスまで行こうとしていた。
「フゥ・・・、なんとか気づかれなかったか・・・」
しかし、カセリンはこのままだとギルバートと
普通に接する事ができないと思い、
家に着く前になんとかしようと考えていた。
家
「もう家にいるよね、ギルバート・・・」
「落ち着いて考えるのよ、あたし!
このままだとパパに変だと気づかれるかもしれないし、
一応ギルバートは家族なんだから・・・!!」
「よし・・・!大丈夫だ!!」
「それに、この際だからもう一度確認してみよう!!」
「大丈夫、大丈夫!
あたしの方がお姉ちゃんなんだから!!」
「あんなヤツ、手玉にとってやる!!」
何かを決意したカセリン、
いざ家へ・・・。
カチャ
「あれ?
ギルバート、初めて”おかえり”って言った?」
「そ、そうか?」
「うん、初めて言われた気がする」
「俺も、初めて言った気がする・・・・」
カセリンは、意を決したようにキスの事を言い出した。
「なんだよ、そこはスルーしろよ。
それとも、また謝れって言うのか?」
「ちがうよ」
「もう一回しようって言ってんの!」
「は、はぁ!?」
「ほら、こっち来て」
「ちょ・・・えっ!?」
「ほら、早く!パパが帰ってきちゃうから!!」
「わ、わかったよ・・・・」
(これは・・・
俺が食われるパターンか・・・?)
そして、父が帰って来た頃には・・・
家の中が、いちゃつきムードになっていた・・・。
第18話「関係は家族」
朝
「うぅ〜さみ〜〜!
今日は今年初の大雪らしいぞ!!」
「さっき、学校から電話あったよ。
今日はこの大雪で学校休みだってさ〜」
「おぉ、良かったなぁ」
「休みなのはいいけど、
この雪じゃあどこも行けないよね」
「予報じゃ、昼過ぎから晴れるって言ってたぞ」
「へぇ、そうなんだ。
じゃあギルバート、晴れたら冬祭りに行かない?」
「え、祭り?」
「うん。」
そして雪が止み、冬祭りに来た二人。
「へへ〜、スケートやりたかったんだ〜、アタシ♪」
「ギルバートも見てないで、やんない?」
「俺はいいや。」
「何よ、せっかく来たのに・・・って、うわっ!」ヨロッ
「ひゃあ〜!転んじゃうぅ〜!!」
ヨロヨロ
「あわわ、難しいな〜スケートって・・・・」
「ねぇ、ギルもやろうよ〜〜!!」
「・・・・しょうがねぇな」
「お前、さっきから見てっけどヘタ過ぎだぞ」
「だって、初めてなんだよぉ〜」
「おわっっと・・・・あ、あぶねっ」
「ほら、難しいでしょぉ〜?」
「おい、ちょっと待てよ」
「なによ。今集中してんだから、話しかけないで!」
スィ〜〜
「あ、アンタ、上手くない?」
「なんかコツ掴んできた・・・」
「ウソ・・・、ちょっと教えてよ」
「こんなのバランスだろ?」
「あ、なによー。知った風な事言っちゃってさぁ〜」
「俺だって初めてだっての」
「手ぇ貸してよ」
「えっ!」
「早く!!」
「(うおっ、ドキドキする)」
「知り合いいなくて良かったね!」
「あ、あぁ・・・
(ヤベェ、顔が近い・・・心臓が口から出る)」
「隣にいるのは・・・・・・、っ!!」
「えっ!?あいつギルバートじゃないか!!」
「そういや前に、カセリンにあいつの事聞かれたっけ」
「なんだ二人はできてたのか〜」
勘違いするボブ
「(そーかそーか、こりゃいいモノ見ちゃったな)」
「(それにしても・・・・・)」
「(カセリン、楽しそうだな〜)」
「あの二人が付き合ってる事、ローレル知ってるのかな?」
彼はボブ・ニュービー
3話で出てきた、カセリンの友達のローレルの彼氏である。
ドテッ ベチャ・・・・
「おいっ、大丈夫かよ」
「いったー・・・・、
もう、ギルバートが放すから〜」
「・・・・・、プッ・・・ク・・・ハハ!」
「ちょ、ギルバート、何笑って・・・フフ」
「お前だって笑ってんだろ」
「ギルバートが笑うからでしょ!」
「クク・・・・あー、休憩休憩。」
「上行って、何か飲もうか」
「・・・・・今の、ギルバートだよな?」
「アイツ、なんでまだ町にいんだ?」
「誰だ、あの女は・・・
ギルバートの女か?」
「ッチ、どーなってんだ・・・・」
売店で働いてるのはギルバートの実父、ロドリゲスである。
どうやらギルバートは気づかなかったようだ。
ゴクゴク・・・
「アンタはジジィね。」
「ねぇ、ギルバート。
家帰ったら、雪だるま作ろうよ。」
「え〜、まだ遊ぶのかよ」
「だって明日は学校じゃない。
せっかく雪積もったんだから、まだ遊ぼうよ〜」
「あーわかった、わかった。」
「やった!」
家
「ねぇ、どの辺に雪だるま作ろうか」
「えー、吹雪いてんのにマジで作んの?」
「当たり前じゃん!」
「じゃあ、この辺にしよっか。
・・・・・・よいしょっと」
「おい、素手かよ〜
さみ〜〜〜〜」
「さみさみっ!
手が凍るって」
「手袋買いに行けば良かったね」
「おお、完成したな!」
「この雪だるま、クリスマス時期によく見る
スノーマンみたい・・・」
「この鼻についてんの、何?
ニンジン?」
「その辺にあったの、適当につけただけだよ」
ギルバートはせっかく作った雪だるまを
いきなり殴りまくって、破壊し出した。
その雪しぶきはカセリンの顔にモロに降りかかったのだった。
ゴシャッ・・・・
「ちょ、ちょっとギルバート!
何すんのよ〜〜〜〜!!」
「あースッキリした。
・・・・・あ、犬だ」
「もうっ!せっかく作ったのにぃ〜〜!!
ヒドイよ〜〜〜!!」
ザクザク・・・・
ザクザクザク・・・・
ギルバートはカセリンそっちのけで、
犬に向かって走り出した
「クゥ〜ン(何か食べ物を・・・)」
カセリンは、ギルバートのマイペースさに
少し呆れたのだった・・・・。
学校
「カセリン、昨日冬祭り来てたろ」
「えっ、うん・・・。
(も、もしかして、バレたかな?)」
「カセリンの隣にさ、あのギルバートが居たけど、
もしかして二人は付き合ってるの?」
「えっ・・・!?」
「えー、何ソレ。
カセリンそーなの?」
「そんなワケないじゃん。やだなぁ〜〜」
「変な事言わないでよぉ〜〜
ギルバートはそんなんじゃないよぉ〜」
「えー、でもすっごく楽しそうにデートしてたじゃん。
てっきりカルロスと別れたのは、アイツの事好きだからかと
思ったんだけど・・・」
「え・・・?カルロスくんとは関係ないよ・・・」
「じゃあギルバートは?
そんなんじゃないのにデートしてたのか?」
「デートしてたワケじゃあ・・・・」
「じゃあなんだよ?
付き合ってもないのにキスしてたのか?」
「えっ!?キ、キス!?
してないよーー!!」
「や、やだなぁ、ボブ。
見間違いだよぉ〜、アハハ・・・」
「じゃあカセリンはギルバートの事、
どう思ってんの?」
「え・・・・」
「ど、どうって、別に・・・・
お、弟・・・かな・・・」
「はぁ!?
お前ら一体どうゆう関係なんだよ・・・」
「(どうゆう関係って・・・・・
か、家族・・・・だよね・・・?)」
「(デート・・・?
アイツは、そうゆうんじゃないよ・・・・たぶん)」
いきなりの問いに戸惑うカセリン。
とっさに"弟"と言ってしまったが、自分がギルバートを
どう思っているのかわからなかった・・・。
第17話「初めてのクリスマス」
冬
ギルバートは学校の裏のサッカーコースで、
スーリとケースとサッカーをしていた。
「・・・ケース、次負けたら下も脱いでもらうぜ!」
「く、クソー・・・」
「まだやるか?」
「なぁ、もう暗いしやめね?」
「そうだな。
おいケース、今日は俺の勝利だかんな!」
「ッチ、しゃーねぇか」
「なぁ、ギルバート。
これからどーする?」
「なぁー、二人ともまたナンパしに行こうぜ?」
「オレ、クリスマスは彼女と過ごしたいんだよ。」
「ケース、お前に彼女なんかできるワケねーだろ?」
「ムキー!なんだとーー」
町
「なぁ、鹿ー。
食いモンくれよー」
「鹿が持ってるわけねーだろ」
「う、うおぉぉ、さみー!
この寒さ、ナンパ所じゃねーぞ!」
「確かに、寒くてあまり外に人もいねーしな」
「俺、あんま遅くなるとヤベーから帰るわ。」
「え〜〜!なんだよギルバート。来たばっかなのによぉ〜」
「しょーがねぇだろ、ケース。俺らも帰ろうぜ!」
「ちぇ、わかったよ」
「今度また付き合ってやるからさ」
「おう、絶対だぞ!」
「・・・・あれ、ギルバートの家ってアッチだっけ?」
「ん、どーしたんだスーリ」
「いや、アイツ向こうじゃねーよな、家」
「どっか寄ってくんじゃねぇの?」
「そーいやギルバートの奴、最近付き合い悪かったけど
なんかあったのかな?」
「最近、顔にキズもついてないしなー」
「まぁな、前は生キズが絶えなかったもんなー。
それに比べたら、今の方がマシか?」
「それより、遅くなるとヤベーって言ってたのに
どこ行くんだろうな・・・・」
二人は、ギルバートがパッチの家に引き取られた事を
知らなかった。
ドン家
「パパ」
「ギルバートの奴、もう8時過ぎてんのに
まだ帰ってこねーの?」
「うん・・・、どーしたんだろうね」
「しょうがねぇ、迎えに行くか」
「うん」
「どうしたの?
家に帰りたくないの?」
「そーじゃないけど・・・・」
「ど、どーしたの!?」
「おっ!なんだなんだ?泣くのか!?
泣きそうなのか??」
「パパッ!!」
ギルバートは、
自分を心配して探しに来てくれた人達がいる事が
とても嬉しくて、涙が出そうになった・・・・。
家
「クリスマスツリーだよ。」
「あぁ、これがクリスマスツリーか」
「ん?なんだお前、クリスマスツリー見た事ねぇの?」
「間近では見た事ないな・・・・」
「なんか、色々ついてんだな・・・・」
「なんだよ、俺まだ子供だし」
「プッ、・・・・クリスマスプレゼントほしい?」
「うん」
「アハハ♪」
「でも、何かほしいのあるなら言ってよ。
検討してみるから」
「うーん・・・・・、
じゃあクリスマスケーキっての作って」
「え、ケーキ?」
「お、いいねぇ♪」
「じゃあクリスマスは過ぎちゃうけど、
今度作ったげるね!」
「うん!」
「・・・・・甘いの苦手とか言わないよね?」
「どこのイケメンだ、ソレ」