第19話「食われる男」







モグモグ・・・・



「・・・・・・」



「(ボブが変な事言うから、
気になっちゃうじゃない・・・。)」

「はぁ・・・」



バタン


ヒュオォォ〜〜〜


「うおっ、さみ〜〜〜」

「クゥン(すまんのぉ、ワシも家ん中に入れてくれぃ)」




「(関係か・・・・。)」

「(アタシ、いつの間にかギルバートの事、
家族って認めてたみたい・・・)」




ジャーーーーー


「あっ、クソ!抜かれた〜〜
ならばコッチはニトロ使っちゃる〜〜!!」

「(・・・うん、やっぱ弟だよ。
それ以外考えられないな・・・・)」



「おし!トップに返り咲いたゼ!!」

「(・・・・・・・好き・・・かなぁ?
嫌いじゃないけど・・・・・・)」



「・・・・・・・」

「(はぁ・・・、パパ早く帰ってこないかな・・・
二人っきりじゃ息が詰まる・・・・)」




「クゥン(ワシもおるよっ)」










翌日



「フィニー、散歩いこ〜〜」

「バフンバフン(い、息が・・・)」


「あっ、ギルバート!
フィニーの散歩行くの?」

「あぁ」




「たまにはアタシにも散歩させてほしいんだけど・・・・」

「え・・・・」




「ちぇ・・・
じゃあいいよ、行ってこいよ」

「すねるなよ〜、
そんなに犬好きなの?」


「うん・・・、犬ってカワイイじゃん。
癒されるんだよね〜」




「え〜〜、いつも仏頂面なのに〜〜?」

「ほっとけっての」



「じゃあ一緒にフィニーの散歩行こうよ。
それならいいでしょ?」

「知り合いに見られたらどーすんだよ」


「もうバレてるからいいよ。」
「え・・・・」




「・・・って、なんで車で?」

「まぁ、一応遠くの公園行こうよ」




「バウッ(ワシ、漏れそうなんじゃが・・・)」

ブオォォ














人気のない公園





「おぉ、池が凍ってる〜
滑れっかな〜?」

「ギルバート、
ちょっと話があるんだけど・・・」




「ん?なんだよ」

「う、うん・・・あのさ・・・・、
ギルバートは好きな人とか・・・いるの?」






「はぁ・・・?」

「あ、あのね、
この間の冬祭りの時に、ギルバートといるとこ
見られちゃってさ・・・。」



「それで、友達に聞かれたんだよね。
付き合ってるの?ってさ・・・」

「あ〜そーゆうこと・・・」




「う、うん、そーなんだよ!
ギルバートに付き合ってる人とか好きな人いたら、
悪いな〜っと思って・・・・」

「(あ〜〜、何言ってんだろアタシ・・・
なんか自分で言ってて悲しくなってきた・・・・)」






「好きな人、いるよ・・・・」

「え・・・、あぁ、そうなんだ・・・・」







「オマエだけど・・・・・」







「えっ・・・・?」

「えっと・・・・、えっ!?」







「ちょ、ちょっと待って!!
タイム!タイムよーー!!」

「お前、やっぱあのおっさんの娘だな・・・・
(そーゆうトコ似てる・・・・)」





「・・・・い、いつから?」
「俺は最初から好きだったよ。」

「さ、最初って?」
「会った時から・・・」



「な、なんで今まで言わなかったの?」

「俺、お前に何も求めてねーし」


「え・・・?」




「俺は今のままで充分なんだよ。
誰とどーなりたいとか、興味ない。」

「だから、お前はいつも通りでいてくれよ。」


「・・・・・・・う、うん・・・。
わかった・・・・」







「(あ、あたし今告白されたんだよね・・・?
なんか、よくわからなくなってきた・・・・)」










「・・・あ〜でも・・・・」

「えっ?」








「っ!!?」







「キスはする」






ダッ




「・・・・・・・!!?」






「ちょ、ちょっと待って・・・・
待ってよ、えっ!?」

「い、今・・・・
今ぁーーーーーーーーーーー!!!!」






カセリンは、
ギルバートに不意打ちで唇を奪われたのであった。



















「ただいま〜」






「・・・・・・・」

「あ・・・・・・・」







ガタッ


「さ、さ〜て、もう寝ようかな・・・」

「もう寝んのかよ、ギルバート。
まだ7時だぜ?」






かぁ〜〜〜〜

「(う・・・・、なんかすごくドキドキしてきた・・・)」



「どうしたんだ、アイツ?」

「・・・・・・・・」


「ん?カセリンどうした?」



「な、なんでもないよ!」

「(う〜〜〜〜、
ギルバートがあんな事するから、意識しちゃうよ〜〜〜)」



「おい、カセリン、顔真っ赤だぞ?
風邪引いたんじゃないか?」

「え?」



「こんな雪積もってる日に遅くまで遊んでっからだよ。
ほら、目がトロ〜ンとしてんじゃないか・・・」

「そ、そんなに顔赤い?」


「あぁ、熱あるんじゃないか?」




「あ、あたし、もう寝るよ・・・!!
(そ、そーか、コレ風邪引いて熱が出てるから
胸が苦しいんだ・・・!!)」

「暖かくして寝るんだぞ!
なんなら、ギルバートにでもうつせ」


「ギ、ギルバート!?(ドキッ)」



カセリンは風邪のせいにしようとしていたが、
ギルバートに反応している自分に気がついていた・・・。











カセリンの部屋





「はぁ・・・、
ドキドキがおさまらないよ・・・・」




もそ・・・


「やっぱコレ、風邪じゃないよ・・・・」

「あたし、ギルバートに・・・」



「どうしよう、絶対眠れないよ・・・
だって、この壁の向こうにギルバートがいるんだよ!?」

「今まで気にしてなかったのに、なんで・・・
あ、明日ちゃんと顔合わせられるかなぁ・・・?」




「あ〜〜、眠れない・・・!!」

「頭の中で、さっきのキスが・・・!
キスがぁ〜〜〜〜!!」




カセリンの閉じた目の奥では、
ギルバートにキスされた時の映像が無限に流れていた・・・。










その頃、隣の部屋のギルバートは





何事もなかったかのように
ぐっすりと眠りに入っていた。


「むにゃむにゃ・・・・」













カチャ



「!!」





ドキ・・・



「(う・・・、し、心臓が・・・・!)」バクバク

「ギ、ギルバート、おはよう・・・・」


カセリンは、なんとか勇気を振り絞って話しかけた。





「ん?あ、あぁ・・・
お、おはよ・・・」


二人の間に緊張が流れた・・・・。








「(ヤバイ、あんな事言っといて
俺が普通にできねぇ・・・)」

「(やっぱし、最後にあんな事したからだよな・・・
か、顔合わせらんねぇ・・・!)」





「あ、あたし、もう学校行く!!」バタン

「えっ、もう!?」




カセリンは、二人の時間に耐えられなくなり、
一時間も早く学校へ向かった。










「やっぱり普通でいられないよーー!!
どうしようどうしよう!!」





「昨日眠れなかったのに、朝から会っちゃうなんてーー!!
同じ家だから仕方ないけどさ〜〜〜」

「バウッ(お嬢、もう学校に行くんですかい?)」









8時になり、ギルバートが学校へ行く頃には、
もう雪は溶けて、春の季節がやってきた。









学校が終わり、家へ帰ろうとしているカセリンだが、

ギルバートがいる為、動けずにいた・・・。




カシャン



カセリンは、ギルバートが自転車に乗るのを見計らって
気づかれないようにバスまで行こうとしていた。






「フゥ・・・、なんとか気づかれなかったか・・・」

しかし、カセリンはこのままだとギルバートと
普通に接する事ができないと思い、
家に着く前になんとかしようと考えていた。














「はぁ・・・、もう家に着いちゃったよ・・・」





「もう家にいるよね、ギルバート・・・」

「落ち着いて考えるのよ、あたし!
このままだとパパに変だと気づかれるかもしれないし、
一応ギルバートは家族なんだから・・・!!」






「よし・・・!大丈夫だ!!」

「それに、この際だからもう一度確認してみよう!!」





「大丈夫、大丈夫!
あたしの方がお姉ちゃんなんだから!!」

「あんなヤツ、手玉にとってやる!!」




何かを決意したカセリン、
いざ家へ・・・。









カチャ



「た、ただいま〜・・・」



「おかえり・・・」

「う、うん・・・」



「あれ?
ギルバート、初めて”おかえり”って言った?」

「そ、そうか?」



「うん、初めて言われた気がする」

「俺も、初めて言った気がする・・・・」








「ところでさ、
昨日の・・・キ、キスの事なんだけど・・・」


カセリンは、意を決したようにキスの事を言い出した。






「なんだよ、そこはスルーしろよ。
それとも、また謝れって言うのか?」

「ちがうよ」





「もう一回しようって言ってんの!」
「は、はぁ!?」

「ほら、こっち来て」
「ちょ・・・えっ!?」





「ほら、早く!パパが帰ってきちゃうから!!」

「わ、わかったよ・・・・」




(これは・・・
俺が食われるパターンか・・・?)













そして、父が帰って来た頃には・・・

家の中が、いちゃつきムードになっていた・・・。







「・・・・・・・」







「・・・・・・・・・・」





「い、家の中に入れねぇ・・・・」

「バゥ(もう春じゃな〜〜)」