第16話「恋愛相談のようなモノをされる男」


「おじぃさん、こんな所にいたんデスネ〜」

「もう秋じゃのぉ、フォッフォッフォ」






「クゥ〜ンクゥ〜ン(にーちゃん、朝じゃど〜)」

「うぅ〜ん・・・・」





「ふあぁぁ〜、もう朝か」





カチャ

「あ、ギルバートおはよう」





「お前ら、今日何の日か知ってる?」

「お化けの日でしょ?」




「お化け?」

「ハロウィンの日よ」







「というワケで、準備はいいわね?」





「よくねーよ!
なんで俺がこんなモン被らなきゃなんねーんだよ!!」

「アンタ、ハロウィンは仮装して子供が大人から
お菓子をもらいに行くお祭りなのよ!?」



「しらねーよ。ハロウィンなんかやった事ねーし」

「一年に一度だけのお祭りなんだから楽しも!
さぁ、行くよー」




「はぁ、マジでこんな格好して外出るワケ・・・・?」

「大丈夫大丈夫、誰もアンタがギルバートだなんて
わからないから!」




「・・・・・まぁ、いいけど」






「まずはこの家からね!
おじさん、いるかな?」



「トリック・ア・トリート!」

「はいはい、お菓子じゃよ〜」
「ありがとう、おじさん♪」




二人は、ハロウィンを楽しんだ。









その頃ドン家では、




「ねぇ、おじさん。
お菓子ちょーだいよ」

「はぁ?お菓子なんかねーよ。」



「なんでだよ〜。今日はハロウィンなんだよ?
お菓子ちょーだいよ〜!」

「なんてガキ共だ、大人から食いモンせしめよーだなんて
お前らの親はどんな教育してんだ?」




などと言いながら、しぶしぶお菓子を恵んでやった
パッチであった。







「ありがとう、おじさん!」




こうして、ハロウィンは終わった。














翌日、





カチャ




「ワゥ〜ンワフフ〜ン♪(くすぐったいワァン♪)」

「ここか?」
「ワフ〜ン♪(そこそこぉ〜♪)」



「・・・・・・・」




「ムフ〜ン♪アフンアフン♪」

「フィニー、気持ちいいか?」
「ワフン♪(にーちゃん、サイコーじゃわぃ♪)」



「あのさ、ギルバート。
ちょっといい?」

「ん、どうした?」



「あのさ・・・・、この間友達とプールに行った時に、
『カルロスと別れたんなら、俺と付き合って』
って、友達に言われちゃってさ・・・・」

「ねぇ、どーしたらいいと思う?」









しら〜〜〜〜〜〜



「クゥン(こ、こりゃイカンわい!
ワシ、退散退散!!)」








「・・・・・ねぇ、どーしたらいいと思う?」

「・・・・・お前、一緒にプール行ったの
男だったの?」


「うん。」





「あのね、三人ともお金持ちなんだ。
だから悩んでてさ・・・・」

「さ、三人!?」




「そうなの!すごいでしょ?
アンタが前に「いつか現れるよ」って言ってくれたでしょ。
三人も現れちゃったんだよー!」

「よ、よかったね・・・・・」



「うん!これで将来安泰だよね!」








「安泰ね・・・・。」

「・・・・で、三人って誰?」





「えっとね、ダラスとリコと、マクシマス。」

「(あー、あのぼっちゃん達ね)」






「・・・・で、誰にすんの?」

「うーん、それなんだよ。どーしよう?
みんなお金持ちだから、どれ選んでもみんな一緒でしょ?」


「はぁ?」




「だって、みんな友達だもん。
一人なんて選べないよ」

ガクッ・・・・・




ギルバートは「コイツ、バカかな」と思い、
ガクッと肩を落とした。








「あー・・・、友達はわかったから、
誰が一番好きなの?」

「(俺にこーゆう事言わせんなよな〜〜)」





「い、一番・・・?」

「・・・・・・・・・・」






「・・・・・・・・・・」







「・・・・・・・」

「・・・・・か、カセリンが、
まさかこんなアホだったとは・・・・」




昔はマセたガキだったのに、
肝心な部分はまだ子供か・・・・と、思うパッチであった。












ガタ・・・・・









「カセリン、
どこに行くんだ?」



「えっ・・・(ドキッ)」

「(は、初めて名前呼ばれた気がする・・・・ドキドキ)」



「う、うん・・・・。
ジムに行こうかと」

「ふ〜ん。俺も行く」





「(また変な虫つくとメンドくせーし)」







「おい、待てって。
一人で行くなよ」

「う、うん・・・。
(なんで今日はついてくるんだろう・・・・)」









学校の横にある、ジムとして使われている体育館






「はぁはぁ、お前よくここ来んの?」

「え?うん、よくここでトレーニングするんだ」




「うわっ」ガクッ

「ハハッ、それで成果出てんのか?」




「ちょっとすべっただけだってば!」

「ハハッ」







その頃、家では―――




「ホッ、ハッ!」ガシャコンガシャコン

「バウバウッ(うるさいんじゃけど)」



第15話「過去を知る女」


ドン家に幼馴染のマチルダを招待する事になった
ギルバート。




「へぇ〜、ここがギルバートの新しい家ね!」

「ま、マジで入んの?」
「マジよ!」




「お邪魔しま〜〜〜す!」

「ん?」




「わっ、な、なにこれ!」

「うわっ、キモイ〜〜〜!!
ヤダッ!マジでなんなのコレ、動いてるし!!」




「なんだ、お前。
いきなり人ん家入ってきてギャースカうるせー奴だな」

「えっ!?」




「あ、ご、ごめんなさい。」
「なんだ、ギルバートの知り合い?」

「近所に住んでた子だよ」


「(もしかして、この家の主!?
ヤバッ、ちょっと怖そうなんだけど・・・・)」




「私、マチルダって言います。
ギルバートの幼馴染です。」

「へぇ〜」




「ギルバートがどうゆう人達と暮らしてるのか
気になりまして・・・・」

「(マチルダが緊張してる・・・・)」




「そ、その・・・・(タ、タトゥーがいっぱい・・・)」

「あぁ、そっか。
ギルバートの事、心配してたんだな」




「え、し、心配というか・・・その・・・
(ど、どうしよう・・・目ぇ合わせたらブスッとかこないかしら・・・)」

「(い、いえ、それより、ギルバート大丈夫なのかしら!?
あの親父さんもアレだけど、この人もちょっとヤバイんじゃ・・・)」




「そ、そう!ギルバートが心配だったんですよー!!
あ、新しい家で元気に生きてるのかな〜?っと思いまして・・・」

「あぁ、一応元気だと思うぞ?」




「あ、あの、元気にご飯食べてます?
(って、何言ってんの私・・・落ち着け〜!)」

「メシならちゃんと食ってるぞ?」


「そ、そうですか!
それは良かったです!!」






「ハハ、変な子だな〜」
「は、ハハ・・・・(ヤクザのおやっさんかしら、マジ焦る)」

カチャ


「ギルバート、帰ったの?」






「は、腹減った〜〜〜!
メ、メシ〜〜〜〜!!」

「あれ、冷蔵庫に何もなかった?」



「見たけど、ないない!
マジで腹減った!何か作って!!」

「ギルバート、すっごい大袈裟。
ちょっと待っててよ、今作るから」



「何作るの?」
「マカロニチーズだよ♪」

「それ、ウマい?」
「うん、サイコー!」



「そういえば、お客さん来てなかった?」
「来てないよ」

「アレ、俺の娘のカセリン」
「え、娘?」




「ねぇ、女の子の声するんだけど、
本当にお客さん来てない?」

「来てないよ」


「ちょ、来てるっての!」




「お前、もう帰れば?
そしてもう二度と来るなよ」

「ちょっとギルバート!
お客さんに失礼でしょ!!」


「へいへい」




「へぇ〜〜(ニヤニヤ)」

「(なんだ、意外に家族してんじゃない)」



「(娘さんもいるし、そんなに怖い人じゃないみたいね)」






「あれ、もういいのか?」

「うん。なんか安心したから」




「安心?」

「うん!・・・ボソ・・・ここだけの話、
ギルバートなついてるみたいだからいいかな〜って。」




「なついてるって・・・誰に?」

「う〜ん、お父さんにはやっぱり言いづらいかな〜」




「なんの話してんだ?」

「よし!美味くできた♪」










「いただきます」

「はい」



「私もいいかしら?」

「よくねぇよ、帰れ」



「なによ、そんなに私ジャマ?」
「ギルバート、失礼じゃない!」

「私のベット使ってたクセに」
「テメッ」



「誰が誰のベット使ってたって?」

ゴホッ




「私のベットですぅ〜
一緒に寝てたんですぅ〜〜」

「ウゼェよ、テメー」ケリッ
「あいた!蹴ったわね!」




「・・・・・(カセリンの前でイチャついてんじゃねぇよ)」





「あたし、もう寝るね」

「あ、あぁ・・・・(汗)」







カチャ・・・




「フン、一緒に寝ただって?
あたしには関係ないし・・・・・」

「ていうか、女の子家に連れてくるとか、
サイテー・・・・・」



「なぁ、本当に一緒のベットで寝たの?」

「え、昔ですよ?子供の頃の話・・・・」


「そ、そうだよな〜・・・・ハハ」


「(最近までなんて、言わない方がいい気がする・・・・)」




「でも、珍しいですよ」
「なにが?」

「アイツに寝床は貸してたけど、ご飯は・・・・
うちの母が食べて行けって言っても、ずっと『いらない』って
言って、うちではご飯食べた事ないんですよ」




「それで、道端に落ちてるどんぐりとか食べだすんですよ。
トカゲとか捕まえて焼いたりしてね・・・・、
アレ美味しかったのかな?」

「うげっ、トカゲ・・・・
どうゆう生活してたんだアイツ・・・」







夜も更けて、そろそろマチルダが帰ろうとした時、




「おーい、マチルダ!」

「え?」




「もう真っ暗だし、家まで送ってくよ」

「えっ!い、いいですよ、そんな・・・!」




「ちょっと聞きたい事もあったんだ。
アイツには聞きにくくてさ・・・・」

「ギルバートの家庭の話だったら、私話しませんよ?」


「え・・・・」



「ギルバートが話さないんだったら、
私からは何も言えないですよ。」

「まぁ、ギルバートに聞いても答えないと思いますけど」



「・・・・そんなにひどい家庭だった?」



「あ〜〜、そう言うのじゃないんです。
確かにひどいと言えばひどいんですけど・・・・」

「そーじゃなくて、アイツ、
プライドだけは究極に高くてですね〜」



「自分を卑下する人は嫌いなんですよ、
だからアイツの事、可哀想とか言ったりしちゃダメですよ?」

「アイツ、自分の事見下す人片っ端から殴ってましたからね、
私も昔殴られました。女子供も関係ないんですよ、アイツは。
自分以外全員敵って感じ」



「アイツ、私に昔の話とかされるの大っ嫌いみたいなんで
私は何も言いません。
今のままでいいと思います。
未来の事だけ考えて、接してあげてくださいね!」

「私、もう来ませんから!
アイツにこれ以上関わりたくないし・・・・」


「そ、そう・・・・」



「じゃあ私はこれで!」

「あ、あぁ、気をつけて・・・・」



「あ〜〜良かった!
これでもうアイツと関わる事はないわ!!」

「良さそうな人達みたいだし、
もうウチに来る事もないでしょう!
やっとアイツから解放されたって感じ♪」



「〜♪」





「・・・・・・・、
ギルバートの奴、嫌われてんな・・・・・」



言いたいことを言って、マチルダは帰って行った・・・・。




しかし、二度と来ないと思っていたこの家に、
チルダは再び来る事になる・・・・。











夏も終わり、秋の季節になったある日









「ギルバート?」




「アンタさ、その服そろそろ洗ったら?
もう一週間以上着てるよね?」

「今丁度洗濯するから、脱いでよ」




「・・・・・・くさい・・・」




カチャ



「これで全部かな・・・・」



「・・・って、うわっ!!」

ボトッ・・・


↑持ってた洗濯物を落とした音





「ちょ、ちょっと!
何脱いでんのよ!!」

「お前が脱げって言ったんじゃん」


「そ、そりゃ言ったけどさ、何か着てよっ!
なんでパンツ一枚・・・・・」

「アレしか服持ってないし・・・・」


「だ、だからって、全部脱ぐこと・・・・」

「(もうっ、目のやり場に困るってば・・・・!)」





「・・・・・・・お、お前ら
何してんの・・・?」

「パ、パパ!」



「ギ、ギルバート!
お、おおお前って奴は、俺がいない時を見計らって
カ、カセリンに変な事をしようとしてたんじゃあるまいな!?」

「ち、違うよ、おっさん!」




「じゃ、なんでそんな格好してんだよ!!
おかしいだろ!女の子の前でよぉ〜」

「お、俺は脱げって言われたから脱いだだけだよ!!」




「脱げって・・・・、カセリンがぁ!?」

「ちょ、どーゆう事だよ!?
(ま、まさかカセリンが誘ったとかじゃあるまいな!?)」




「違うよパパ、
ギルバートの服を洗おうとしてただけだよ。」

「あ、なんだ・・・」
「ったく、おっさん早とちりしすぎ」



「パパ、ギルバートの服だけど、
ギルバートを引き取った時に着てた服しかないでしょ。」
「そういや、そーだなぁ」

「もう寒くなってきたし、服買った方がいいんじゃない?」



「(服か・・・・・)」












翌日、







ガチャ

「おい、ギルバートどうだ?」



「お、それなりに着れてんじゃん。
俺のお古だけど・・・・」

「・・・・・・」



「んじゃ、行こーぜ!」

「え、どこへ?」



「お前の服買いに行くんだよ」

「え・・・・・・、
い、いいよ。そこまでしてくんなくて・・・・」



「何言ってんだ、
ほら行くぞ!」

「お、おっさん・・・・」



「ほら、二人とも行くぞー!」

パッチは、カセリンとギルバートを連れて
服を買いに行った。





「よし、じゃあお前の服は俺が見立ててやるよ」

「え、おっさんが?」
「あたしも選んであげるよー」




そして、カセリンが選んだ服がコレ↓


「って、オイ!なんだコレ!!」

「に、似合わないかな・・・・?」


「変だろ、完全に!」
「やっぱり?」





次に、パッチが選んだ服がコレ↓


「お前ら親子でセンスおかしいんじゃねーの!?」

「ん、ダメか?」
「ダサ過ぎだろ、コレー!!」


「・・・・やっぱり?」




「あーもう、こんなんだったら前の服でいーよ!」

「え〜〜〜〜、オモシロイのに・・・・」



結局、ギルバートは自分で服を選んで
パッチに買ってもらったのだった・・・・。




第14話「貢がせる女」



――朝――







「なんとか朝になる前に帰ってこられたな」

「・・・・おっさん、まともに働いたら?」


「アホ、俺はちゃんと働いてるぞ。
ただ金がないだけだっての」





「それよりもだ、カジノの事カセリンに言うんじゃねぇぞ?
男同士の秘密だかんな!」

「わかってるよ・・・」



「約束だかんな!ヤクソクー」グッ

「わかったって・・・・(子供かッ)」





「あ、そうそう。
一応お前にも言っとくけど、もう勝手に家出とかすんなよな。」

「なんかあんならちゃんと言えよ?遠慮したりすんな。
俺にとってはお前もカセリンも俺の家族なんだからな!」






「正直、お前の家庭の事情はよくしらねぇが、
今どき自分の子供を売るとかフツーじゃねぇだろ。」

「・・・・・・・」




「大人なんか信用できないかもしれないが、
俺はお前が自由に生きられるように手助けしてやる。」

「ここでどう生きるかはお前次第だ。
与えられた環境で精一杯生きろ。」




「俺に出来るのはそれくらいだからな。」








「・・・・・・・」




「・・・おっさん、サンキュー
(まともな事も言うんだな・・・・)」

「おっ!お前ここに来て初めて笑ったんじゃねぇ?」




「よしよし、カワイイ奴だ」

「お、おっさん・・・・ちょ・・・」





「よーし、よ〜し♪」
「おっさん恥ずかしいって!はなして・・・・」

「・・・・・なにこれ」




「おぉ、カセリン」

「おはよう、帰ってたんだ・・・。
どこ行ってたの?」




「おぉ、ちょっと男同士の話をな。
なぁギルバート!」

「あ〜腹減った・・・」
「おい、ギルバート話合わせろよ〜」




「おっさん、それ言っちゃ・・・」

「ん?」





「ワゥワゥ(お嬢〜)」

「今、話合わせろって言ったよね・・・・・」



「まさか、パパ・・・・
またどこかでお金使ってきたんじゃ・・・」

「クゥ〜ン(どないしたんじゃ、お嬢)」





そして、今更ながらギルバートとカセリンが同じ部屋ってトコに
パッチは危険を感じ、カセリンに相談した結果、

前の家の方が良かったとカセリンが言うので、戻る事にした。




「あ〜、やっぱりこっちの家の方が落ち着くな〜
色々と・・・」

やはり車庫なんかより、ベットがあって生活感のある部屋の方が良いと思うカセリン。(当たり前です)




「ここが、お前と俺の部屋だ。」

「・・・・ベットがある・・・」


「奥のがお前のベットだかんな」















「俺のベット・・・・、ドキドキ」

自分用のベットがある事に感動するギルバート。



「もう寝ちまったのかよ、ギルバートの奴」

「色々聞きたい事あんのによ・・・」




パッチは本当のトコ、ギルバートの家族の事や
売られた経緯とかを知りたかったのだが、
ギルバートは話したくないかもしれないと思い聞けずにいた。

何故、家出したのかも本当は聞きたかった。






「ギルバート、お前・・・
本当はこの町にいたくないのか・・・?」






「ま、そーだよな・・・・
自分を売った親がこの町にいるんだろうし・・・」

「偶然町で会ったりしたら、気まずいよな〜・・・」





「・・・でも、本当のトコ
家に帰りたいとか思ってんのかな・・・?」

「う〜ん、どうなんだろ・・・」ブツブツ









パッチは色々考えながら、ギルバートの横で眠りについた。























ギルバートがドン家に来て、一週間が経った・・・







「フィニー!」




「散歩行こーぜー!」

「バフッ」





「あ。いたいたギルバート!」




「ねぇ、ギルバート。
友達にプールに誘われたんだけど、一緒に行く?」

「行かない」



「ちょ、早くない?」

「フィニーと散歩行ってくる」




「なによ、せっかく誘ってやってんのに・・・」



「あたしよりフィニーがいいってワケね・・・」

「いいもんいいもん、あたしだけ楽しんでくるもん!」





「ワンワンッ(お嬢の水着姿・・・・グッ)」

「・・・・・・」











ザバッ



「ふぅ〜〜〜〜、気持ちいい〜〜♪」



「ギルも来れば良かったのにな〜、
もう夏も終わりなのに・・・・」

「・・・・あ、そういえば
ギルって、学校じゃ悪い噂しかなかったっけ・・・・」



「人がいる所は、あたしとじゃ来たくないのかな〜・・・」

「なぁ、カセリン」


「えっ?」



「カルロスと別れたって本当なのか?」

「え・・・、カルロスくん?
う、うん、本当だけど・・・・」



(やだな・・・
あたし、振られた時の思い出しちゃうじゃん・・・)




「じゃ、じゃあさ、俺と付き合わねェ?」

「え?ダラスくんと?」



「う、うん・・・
実はカセリンがカルロスと付き合う前から
・・・す、好きだったんだよね・・・」

「えっ・・・!そ、そうなの?」


「うん・・・・」





「(そういえば、ダラスくんも家が金持ちなのよね・・・
どうしよう、迷うな・・・・ゴクッ)」

「ちょっと待てよ、ダラス!」



「カセリン、コイツじゃなくて俺と付き合おうよ!」

「この間、親父に車買ってもらってさぁ〜
一緒にドライブに行こうよ〜〜!」



「く、車・・・・!ゴクッ」

「(リコも金持ちなのよね。
しかも丘の上の大きな家に住んでるし・・・・
いいなぁ〜)」



「車なら俺だって持ってるし!
なんならカセリンにプレゼントするよ!」

「それで、紅葉の季節になったら一緒に見に行こうぜ!」



「いやいや、俺なんか
景色がすっごくキレイな所に別荘買ってあげるよ!」

「べっ、別荘!?(フラ〜)」



「ちょ、リコ〜!お前その口説き方卑怯じゃね?」

「二人とも、みっともないな〜」


「はぁ?なんだよマクシマス、入ってくんなよ!」



「二人とも、自分たちのアピールばっかして、
カセリンの気持ちも考えろよな!」

「うっ・・・・それは、
まぁそうだけど・・・」



「因みに僕は、カセリンの望むモノだったら
なんでも買ってあげるよ?」

「マックス・・・・(彼の家も大きい農家だし、金持ちだよね)」



「お前もかよ!」
「カセリンを想う気持ちは誰にも負けないぜ!」

「お前、この間シャーリーがカワイイって言ってたじゃん」


「ちょっ、それ結構前の話だし!
お前なんか、この間のパーティーでそそうしたクセに!」

「ちょ、ふざけんなよ!
ありゃあお前が俺のズボンに飲み物こぼしたんじゃねぇかよ!!」




「え、えっと・・・・(誰にしようかな・・・ゴクッ)」

「(な、なによあの子・・・・三人に告られて・・・・
フ、フン!羨ましくなんかないんだからっ)」











カセリンを取り合って三人が揉めている間、





散歩に出かけたフィニーとギルバートは、
川の近くで遊んでいた。




「ワゥワゥ!」

「そーれ、行くぞフィニ〜!」



「バフッ(ナイスキャッチ!)」

「フィニー、なんてカワイイんだ・・・」



「ワゥワゥ(にーちゃん、ワシ腹がへって腹がへって・・・)」
「ん?おやつか?」「バウ!」

「・・・・ギルバート?」



「よしよし、メシだぞ〜♪」
「ワフッ」

「ギルバート、相変わらず犬には優しいのね」



「おいしいか、フィニー。」
「バフッ(にーちゃん、おなごが話しかけとんぞ?)」

「ちょっと、ギルバート!」



「なんだ、マチルダか」

「なんだじゃないでしょ!
最近アンタ見かけないし、どこかでノタレ死んだ
かと思って心配したんだから!」




チルダは、ギルバートがドン家に来る前に住んでいた家の
近所に住んでいる女の子だ。
幼いころから寝床を貸していたりと、ギルバートの幼馴染的
存在である。






「ワゥ〜ン(なんじゃい、スミに置けんのぅにーちゃんも
・・・グフッ)」

「ねぇ、ちゃんと家に帰ってるの?」



「・・・・俺、もうあの家の子じゃ・・・・」




「え?」
「いや・・・・(家の子ってなんだよ・・・)」

「・・・・もしかして、親父さんとは縁を切ったとか?」



「うん・・・・
俺今、新しい家で暮らしてるから・・・・
アイツとは、もう関係ない・・・・」

「そっか・・・・。」




「正直、アンタが親父さんの元から離れてくれて安心した。
これで私も安心して寝れるわ!」

「お前、そんなに俺の事しんぱ・・・・」



「あー違う違う!
もう私のベット貸さなくていいんだと
思って安心しただけよ!」

「あそ・・・」






「ねぇ、新しい家って河川敷の下にダンボールとかじゃないよね?」

「ホームレスじゃねぇよ」


「この犬は?野良犬じゃないの?」

「フィニーは、新しい家の・・・・
飼い犬だよ」


「ふ〜ん、良かったじゃん。
アンタ犬好きだもんねぇ?」

「アンタ昔さ・・・・」
「帰る」
「え・・・」




「昔話とか興味ない。フィニー、帰ろう!」

「バウバウ!(にーちゃん、ワシ眠い・・・・だっこ〜)」




「フン、過去なんて興味ない・・・・か・・・。」

「・・・・・・・・」



「ちょっと、待ってよギルバート〜〜〜!!」

「新しい家に私も行きたーーい!!」パタパタ



「はぁ?やだよ!」

「どんな人と住んでるか気になるのよ!
アンタの親父が親父だったからね・・・・
お姉さんとしては心配なのよ」


「誰がお姉さんだよ・・・・」





「さ、いこいこ〜!」

「おいっ、・・・・・・アイツの話はすんなよ?」


「わかってるわよ」

「・・・・・・」




ギルバートは、
ドン家にマチルダを招く事になった・・・・。



第13話「結婚したら邪魔になる」



―朝―




朝食をした後、
ギルバートはカセリンに、昨日から思っていた事を聞いた。





「なんで俺についてきたんだ?」

「・・・・・」




「・・・・・」

「わからない・・・・」




「あのおっさんに不満でもあるのか?」

「・・・・・・」




「あたし、パパの本当の子供じゃないんだ・・・」

「気づいたら知らない所にいて、パパが引き取ってくれたの・・・。」





「だからかも・・・
ギルバートについてきたの・・・」

「あたし、心のどこかでずっと
あたしって一人なんだと思ってたんだ・・・」





「それで、いつかパパが誰かと結婚したら
あたしは邪魔になるって思ってた」




「でも、家を出てみてわかったよ。
今すっごくパパに会いたい!」

「パパはあたしを追い出したりしない。
そんな事するような人じゃないって、本当はわかってた・・・」





「こんな、どこの誰かもわからないアタシを、
引き取って育ててくれたのに、家出するなんて・・・」

「あたし自分勝手だよね・・・・」





「だから、帰る」

「あ、そう・・・(早かったな・・・)」


「だからギルバートも帰ろう!」


「え・・・・?」




「ギルバートさ、パパに何も言ってないでしょ?」

「あたしさ、自分を受け入れてもらった人に対して、
家出なんて最低な事したって思うんだ」





「最低・・・・」




「あたし、自分の事ばっかだった。
パパが何を考えて、ティム達を造って、
ギルバートも家に迎え入れたのか考えなかった・・・・・」

「自分の不満ばっかり押し付けてさ・・・
勝手に家出だもん、サイテーだよ」






「パパは寂しかったんだと思う。
あたしはパパだけでいいと思ってたけど、
あたしも本当は寂しかったんだ・・・」

「パパが仕事してる間、一人で寂しかったし、
いつも不安だった・・・・」



「パパはもしかしたら、そんなあたしにティムや
サリンダを造ってくれたのかも・・・・」

「だからギルバートも、パパのそういう思いから、
うちに来たんだと思うんだ・・・・」





「・・・・・・そ、そうなのかな・・・・」

「(そういうの、考えた事なかった・・・。


あのおっさんが、何を思って俺みたいな奴を
引き取ってくれたのかとか、考えもしなかったな・・・)」




「(そっか・・・、
よく考えたら、あの人は俺にとって救世主だったのかも
しれない)」

「(本当は俺はどこかに売られるはずだった・・・・
見知らぬ土地で、見知らぬ人に買われて
どんな扱いを受けてたかわからない・・・・)」





「だからギルバート、帰ろう!」

「ギルバートも我慢しないで、
パパになんでも言っていいんだよ。
だって、もう家族なんだもん」



「かぞく・・・・?」

「うん!」



「(我慢しないでなんでも言っていいのが家族なら、
親父とは家族になれなかったのかな・・・・)」

「・・・・・・・。


(ッチ、親父の事考えたらムカムカしてきた・・・・)」




「ギルバート?」

「・・・・わかった、帰るよ」




ギルバートは、とても複雑な感情を胸に抱いたまま、
自分を捨てた父親のいる町、リバービューへと
帰る事になった・・・。














パッチの家へと帰ってきたギルバートとカセリン








「・・・・パパ、怒ってるかな?」




「出てった奴は、もう俺の子供じゃないとか
言われたらどうしよう・・・」

「・・・・・、お前は大丈夫だよ。」


「ギル・・・」








「・・・・・オヤ?」




「アレニ見エルハ、妹かせりんト養子トナッタ
ぎるばーとジャ アリマセンカ!」

「急イデ オ父様ニ ゴ報告シナケレバ!」


「ワゥワゥッ(お、お嬢〜!)」





「オ父様!オ父様ココデスカ!?」バタンッ



「うわっ、いきなり入ってくんなよ!」

「オ、オヤ、失礼ヲバ・・・」


「さっさと出てけ、コラ〜」

「ス、スミマセンデシタ、オ父様・・・
シカシ、かせりんトぎるばーとガ帰ッテキマシテ・・・・」



「な、なにぃ〜!それを早く言えよ!!」バタバタッ








「ワゥワゥ!」

「あっ、フィニー!」











「ハァハァ・・・・・、
おいおい、フィニーが先かよ」

「あ、パパ!」



「パパ〜!」バタバタ

「お、おお、カセリン・・・」



ガバッ



「パパ、ごめんね。ごめんなさい・・・!」

「おお、カセリン」




「会いたかったよ、パパァ〜〜〜!」

「おお、俺もだ(ってか、家を出てから一日も経ってねーけどな)」



「ちゃんとメシ食ったか?」

「うん、食べたよ!」


「なら、いい。」



「ギルバート、コノヤロー。
ちょっと来い!」

「・・・・・・・」




「パ、パパ、あの・・・・」

「カセリン、ちょっとコイツと出かけてくるから、
家で待ってろ。」




「う、うん・・・・」













ブロロロロ〜








パッチはギルバートを車に乗せ、どこかへと向かった。













夜になっても帰ってこず、二人を心配するカセリン。




「・・・・・・・」




「どこ、行ったんだろ・・・・二人とも・・・」




「家出の後なんて、ちょっと怖いな・・・・」

「二人とも無事に帰ってきてくれたらいいけど・・・」



「とりあえず、寝よう・・・」

「ぐ〜〜〜・・・・・」


家出した先では、よく眠れなかったカセリン。
家に帰ってきて安心したのか、すぐ眠りについた。











その頃、二人は大きな街のカジノへ来ていた。






「〜〜♪」






「(俺は今日ここで売られるのかもしれない・・・・)」

「(仕方ないよな・・・、
問題起こしたら追い出すって言われてたし・・・・)」





「(もっと早く気づく事ができたら良かったな・・・
おっさんの気持ちとか・・・)」

「〜〜♪」



「ぐふふ♪
さ〜て、やってきましたよ〜!カジノに!!」

「(おっさんの気持ち・・・・)」





「あ、先にお前に言っとく事がある。
ちょっと来い」

「な、なんだよ」



「あのな、カセリンには内緒だぞ、ここに来た事。」
「は?」

「カジノだよ、カジノ!
あいつにバレたら、また金がどーのとうるせーからよ」


「あ、あぁ・・・」



「なんだよ、歯切れ悪りーなぁ・・・。
あ、わかった、お前も遊びたいんだろ」

「残念だが、お前にはまだ早えー。
大人になったら連れてきてやるよ」



「よし、行くぞ!」

「え・・・・、大人になったら・・・?」









ブラックジャックをやるパッチ

「ドウナサイマスカ?」


「STAND!」




「おう、ギルバート。
観戦でもするか?」

「それより、おっさん。
家計ピンチなんじゃねぇの?」



「あぁ、大丈夫大丈夫」





???「お・ま・た・っせ〜♪」

「おせーよ、シルバ。
てか、お前その格好なんだよ」


「僕、今はマジシャンやってんの。
それより、こっちの子は誰?」

「あぁ、俺の養子」


「え・・・、よくやるなぁパッチも・・・」



「カセリンちゃんは元気?」
「・・・・あぁ、元気なんじゃね?」

「もう思春期真っ只中なんじゃないの?
カワイイんだろうな〜
いいなぁ、会いたいなぁ〜♪」


「写真とかないの?」

「え・・・・、そういや撮った事ないなぁ・・・」


「パッチ、ダメだよぉ〜
ちゃんと子供の成長を写真に撮っておかないとさ〜」



「成長ねぇ〜・・・・」

「それよりパッチさ、結婚しないの?」


「あ〜、もうどーでもいいかなって・・・・」




「(結婚・・・・、アイツが言ってたな・・・)」




「パッチさ、そろそろ誰か相手見つけとかないと、
カセリンちゃんが結婚したら一人ぼっちになるよ?」

「カ、カセリンが結婚・・・・・」




「(いや待て・・・・
つい最近、数時間だけど一人を味わったぞ?)」

「(まぁティムやらフィニーやらが居たけど、
人間は俺一人だったよな・・・・




しかも、ここに恋人候補っぽいのが居るし・・・・
今度こそ駆け落ちとかされたらマジで一人になるな・・・)」




「・・・・・・・」





「あ、テメーが変な事言うから負けちまっただろーが!」

「でも、カセリンちゃん。
結構子供の時からおませさんだったし、
もう彼氏が居てもおかしくないんじゃない?」


「むぐっ(な、なぜ知ってる・・・)」




ガタ・・・


「ッチ、帰んぞ。ギルバート」
「あ、うん・・・・」

「えー、パッチもう帰んの?」


「あんま遅くなると、カセリンに怒られるしな・・・・
(今ちょっと微妙だし・・・・汗)」




「パッチ、結婚とかちゃんと考えときなよ?」

「うっせー、今日はお前持ちだからな!」


「わかってるけどー」





「ッチ、シルバめ・・・・
余計な事言いやがってよぉ〜」

「(・・・・・・・)」





「おい、ギルバート。早く乗れ!
もうすぐ朝になっちまう!」











ブロロロロロ〜





「・・・・おっさん、さっきの人が言ってた事・・・・」

「あぁ、結婚の事か?カセリンには言うなよ?」



「アイツが知ったら、自分は邪魔だとか思うかもしんねぇし・・・
したら、今度こそ帰ってこねーかもな・・・」

「大丈夫だよ、おっさん。
アイツ・・・あ、いや、カセリンだって
色々考えてるみたいだし・・・・」



「お、お前・・・・
カセリンとそーゆう・・・・」

「え・・・?」


「いや、そーゆう話してんのか・・・・っと」


「まぁ・・・ちょっと・・・・
そーゆう話になったと言うか・・・・」

「フ、フ〜ン・・・・」


「(なんだこの雰囲気・・・・)」







パッチとギルバートは微妙な雰囲気のまま
我が家へ帰って行った・・・。





第12話「家出の先」


家出した二人は、小さな家を見つけ、

ひとまずその家で宿をとる。




「この家、誰か住んでない?」

「大丈夫だろ、
ホコリっぽいし随分使ってないと思う・・・」




「それならいいけど・・・・」

「お、冷蔵庫まだ使えるぞ!」





「(・・・・・・)」

「(この家・・・・・)」






「(ベット、一つしかない・・・・)」

「(い、一緒に・・・・寝るのかな・・・?)」







「しかもバスタブ、外だし・・・・」

「これじゃ、丸見えじゃない・・・・・」




「風呂、入りたいのか?」

「えっ!!い、いや、でも・・・・外じゃさ・・・・」




「周り畑しかないし、誰もいないだろ。
俺も家ん中いるし、入りたきゃ入れよ」

「・・・・・・・・・」





「・・・・ま、いっか・・・・」ジャー

「覗いたら、ぶん殴ってやる!!」








「・・・・・・・・」

「ベット、一つしかないのか・・・・・」






「寝袋、持ってくりゃあ良かったな・・・。
アレの方が寝心地いいんだよな・・・」





「はぁ・・・、それにしてもアイツまで
ついてくるなんて・・・・」

「どーゆうつもりなんだ?」





「ふぁぁ〜〜〜、
明日聞いてみるか・・・・」

「夜中歩き通しだったから、ねみ〜・・・・」



「ZZzzz・・・・・」

ギルバートはパッチに引き取られてすぐ学校に行かされ、
いきなり引っ越しし、家出したその足でここまで来たので
二日近く寝ていなかった・・・・。












「はぁ〜、なんか外でお風呂に入ると、
解放感があって気持ちいいな〜〜♪」

「ちょっとお風呂汚いけど・・・・」





ザバッ

「ふぅ〜、出る時がちょっと勇気いるのよね・・・・」





「だ、誰も見てないでしょうね・・・・」








「ふぁ〜〜、眠い・・・・・」

「もう寝よ〜〜・・・・」




「って、そーだった・・・・
ベット、一つしかなかったんだ・・・・」

「ど、どーしよ・・・・
寝袋持ってこれば良かったな・・・」





カチャ

「あれ、電気が消えてる。
ギルバート、もう寝てるのかな?」






「・・・・・・・」




トサ・・・

「い、いいよね、
横に寝ても・・・・」





「あたしだって、ベットで寝たいんだもん!」

「後で文句言わないでよね!」



「ふぅ〜、おやすみ〜〜・・・・」

「ZZzzz・・・・・」




「zzz・・・・」

こうして二人は、
家出した先で背中合わせに寝たのだった・・・。











一方、パッチ宅




「オ父様!オ父様!!」

「起キテ クダサイヨ!
かせりんガ・・・!」




「うるせーなぁ・・・・ぐーぐー」

「かせりんト、ぎるばーとガ〜〜〜〜!!」








駆ケ落チ シタンデスッテバーーー!!!




「むにゃむにゃ・・・・」



ティムは二人の後を追って行き、
とりあえずパッチに報告しようと戻ってきたのだが、
ぐっすり寝ているパッチには、
ティムの叫びは届くことはなかった・・・・。































「・・・・ん・・・・」









うわっ!!!!!




ガバッ






うわっ!うわーーーーー!!!」バタンッ

キャーーー!キャーーー!!





「い、イヤァ〜〜〜〜ッ!!!!」

「何見てんの!何の夢見てんのアタシッ!!!
お、お、恐ろし過ぎるわーーー!!!!」








・・・ガチャ




「な、なんだ?どうした!?」

「あ・・・・・」



「何かあったのか!?」

「あ・・う・・・、
な、なんでも・・・ないよ・・・」





「なんでもないって・・・・
すげー叫んでなかったか?」

「う、うん・・・・
ちょっと恐ろしい夢見ちゃって・・・・」



「なんだ夢かよ、ふぁ〜〜〜ぁ・・・」

「お、起こしちゃってごめん・・・・」



「いいよ、慣れない事したから
不安だったんだろ」

「そ、そうかな・・・・」



「・・・ね、寝よっか」

「あぁ・・・」









ギシ・・・

「ふあぁあぁ・・・」




「(ど、どうしよう・・・・・
もしまた、あんな夢見たら・・・・・)」




「スーースーーー・・・・」

「・・・・・・」




「(あたし、どーしたのかな・・・一体・・・)」

「(あんな夢見るなんて・・・・・
カルロスくんと付き合ってても、あんな・・・・)」





「(うわ、思い出しちゃったよ〜〜〜〜!!)」

「(う〜〜〜〜、考えちゃダメだ!寝よ寝よ!)」






カセリンは、妄想少女にレベルアップした。
























ジュージュー




「ZZzzz・・・・・・・ん・・・・」





「・・・・・なんか、いい匂いする・・・」





「よっと!」

カセリンがパンケーキを焼いている匂いだった。





ジュージュー

「〜〜〜♪」



「・・・・・・・・」




「・・・・な、何やってんの?」



「あ、ギルバート起きたの?
おはよー」

「お、おう・・・・」



「今パンケーキ焼いてるから、待っててね♪」

「あ、うん・・・」





ギルバートは見慣れない光景に
戸惑っていた・・・・。

誰かが家で料理をしてる場面なんて、
今まで見たコトがなかったからだ。






「さ、出来たよ♪」

「お、おう」














な、なにぃ〜〜〜〜!!





「カセリンとギルバートが駆け落ちしただぁ〜〜〜〜!??」




「なに言ってんだよ、お前はー!!」

「ホ、本当デスヨ!
昨日ノ夜、二人デ出テ行カレタノデスヨ!!」




「はぁ〜?
なんでだよ、なんで駆け落ちしたんだよー!!」

「俺がいつ、二人の仲を引き裂こうとしたよ?
てか、あいつら付き合ってたのか!?」





「ソレハ、分カリマセンガ・・・・
デハ、二人ガ 付キ合ッテルトシタラ 認メマスカ?」

「え・・・・?
認めるって・・・そりゃ・・・・、
は、反対するかな・・・」




「反対スルノデスカ?」

「え・・・、だ、だって、
カセリンにはまだ早いだろ?なっ!」




「かせりんハ、確カ かるろすトイウ同級生ト
付キ合ッテ イタはずデスガ」

「はぁ?カルロス?
誰だソレ、俺はしらんぞ!」



「なんだよ、カセリンいつの間に・・・・・
てか、なんでお前そんな事知ってんの」

「随分前カラ 二人ガ会ッテル所ヲ、
ヨク見カケマシタガ・・・」


「え・・・・、し、しらない・・・」




「アレ、じゃあなんでギルバートと駆け落ちしたんだ?」
「かるろすトイウ彼トハ 別レタノデショウ。」

「わ、別れ・・・・
ってことは、今彼がギルバートって事か?」
「デショウネ。」



「モシヤ、オ父様ニ反対サレルト思イ、
早々ニ駆ケ落チシタノデハ・・・!?」

「んなワケねーだろ。
お前頭のネジ、イカレてんじゃねーの?」




「(カセリンは最近何考えてんのかよくわかんねーけど、
ギルバートはそんな奴じゃねぇだろ)」

「オ父様、二人ヲ迎エニ行カレナイノデスカ?」




「勝手に出て行ったんだ、勝手に帰ってくんだろ」

「随分ト冷タイノデスネ・・・・
今頃、何処デ ドウシテイルノカ
心配ジャナイノデスカ?」



「ギルバートが一緒なんだ、
大丈夫だろ」

「ソウデスカ・・・・」




ティムには、パッチが何を考えて
大丈夫と言っているのかわからなかった・・・。

「人間ノ脳ハ 計リ知レナイ・・・・」


「何言ってんだ、お前」





第11話「新しい家」


ギルバートを連れ、我が家に帰ってきたパッチ。




「ウマイか?」

「ウマイよ」



「お、おお・・・そうか!
どんどん食えよ!」

「あぁ・・・・」




「(ウマイな、コレ・・・)」モグモグ

「(まぁ、メシが食えるだけでもあの家よりはマシか・・・
そう悪い人じゃなさそうだし・・・・)」








カチャ


「パパ、おはよ〜」



「んん!!?」





ガタッ


「カ、カセリン!!」

「・・・・・・」





「(ヤッベ、どーしよ。
コイツの事、なんて言おう・・・・)」

「(シムポットと違ってコイツは人間なんだよな・・・)」




「え・・・・
な、なんでアンタがここに居るの!?」

カセリンは、朝起きると食卓にギルバートがいて
訳が分からなかった。




「・・・え、えっと〜・・・・(な、なんて言えば・・・)」

「ゴホッゴホッ(そ、そーだった・・・コイツの親なんだった・・・・)」



「(何コレ・・・、どーゆうこと!?)」

「(しょうがね〜、そのまんま言うしかねぇか・・・)」




「あ〜、あのな〜カセリン〜」

「コイツ、ギルバートって言うんだけどさ〜・・・」



「知ってるよ。同じ学校だし・・・」

「あ、なんだ知ってる奴?
なら話は早ぇな。」



「コイツ、うちで暮らす事になったからさ」

「えっ!?な、何ソレ!!なんで!?」



「詳しい事は後で話すよ」

「だ、だって、コイツとんでもない奴なんだよ?
人の家を放火しようとしたりするような奴なんだよ?」


「え・・・、ほ、放火?」



「と、とにかく詳しい事は学校から帰ってきたら話すからさ・・・」

「・・・・・・、わかった。
じゃあ帰ってきたら、ちゃんと聞かせてよね、
何がどーしてこーなったのかをね!!」


「お、おう・・・」





カセリンは学校から帰ってきたら、
ギルバートが何故うちで暮らす事になったのか
詳しい話を聞く事になっているのだが、

パッチがああ言っていたのだから、
ギルバートがうちで暮らすことになるのは
変わらないんじゃないかとカセリンは思っていた。




「なんで・・・・
冗談じゃないよ、あんな奴・・・・」

「何があったのかしらないけど、
一緒に暮らすなんて、絶対イヤだ!!」




「ま、そう落ち込むなよギルバート。」

「・・・・・・、いいよ本当の事だし」



「え、何お前、本当にそんな事したのか?
ま〜俺も人に説教なんてするような大層な人間じゃねぇが・・・」

「ここにいる以上、人様に迷惑かけるような事は
二度とするんじゃねぇぞ!」




「謝るのはお前の保護者である俺だからな・・・
俺を人に頭を下げさせるような屈辱的な事だけは
させるんじゃねぇぞ!
ていうか、俺に迷惑はかけんなよ?」

「(パ、パパ、
間違いじゃないけどさ・・・)



「わかったな?絶対俺に迷惑かけんなよ!?
俺は他人なんかに頭下げたり謝ったりすんのは
絶対イヤだかんな!!」

「わ、わかったよ・・・・」


「絶対だぞ!俺に迷惑かけたら追い出すかんな!」




「(パパ、必死・・・)」











そして、






「いきなりだが、ここが新しい家だ!」

「どーだ、前の家より大きいだろ!!」



「パ、パパ!この家どーしたのよ!!」

「それがな〜、この間地下の洞窟で知り合った男から、
滅多に家に帰る事がないから住んでいいと言われたんだよ。」



「ソイツ、地上より地下にいる方がいいんだと。
だからタダで貸してくれるってさ」

「人数増えたし、丁度いいだろ?
それに家賃タダだぜ!」


「それはいいね!」
「だろ〜!」





「さ〜て、早速風呂使わしてもらうか〜♪」

「部屋は適当に振り分けしといたから〜
好きに使え〜」


「うん!」




「フィニー♪
新しい家だよ〜〜!前より大きいね〜」

「ワフッ」



「・・・でも、あたし・・・
前の家の方がこじんまりしてて好きだったな・・・」

「ワフ・・・(お嬢、ワシもです)」




「フンフ〜ン♪
前の風呂場より広いし、いいな」

「カセリンも気に入ってくれたみたいだし、
良かった良かった!」














ガチャ

「ここがあたしの部屋か〜」



「・・・・って、アレ・・・?
ここって車庫じゃない」

「しかも寝袋・・・・・」




「あ、あのさ・・・
一つ聞いてもいいかな?」

「なんだよ」



「なんでアンタと一緒の部屋なのよっ!!」

「しらねぇよ、俺に言うなよ」




「もう、パパ何考えてんだろ!」

「そりゃ、シムポットと同じ部屋じゃ
色々不都合あるからしょうがないけどさ」




「よりによって、アンタと・・・・
仮にも男・・・しかも他人と一緒の部屋にするなんて、
何かあったらどーすんのよ!!」

「何もしねぇよ・・・」



「お前みたいな幼児体型、タイプじゃねぇし」

「ムカッ、そりゃ良かった!!」




「大体あたしまだ殴られた事、許してないんだからね!」

「なんだよ、しつけーな・・・
この間謝っただろ?」



「なにそれ、全く反省してないわね!
自分がどんなにサイテーな事をしたかわかってない!!」

「ただ謝れば許してもらえるとでも思ってるワケ!?
あたし絶対許さないんだから!!」



「大体ね、ナンパに失敗してすぐ暴力って、
チンピラじゃないの!
そんな奴と一緒に暮らせるわけないじゃない!!」

「じゃ、どーすりゃ許してくれんだよ」





「わかった。
じゃ、気の済むまで殴れ。ほら」




「え・・・・・」

「許せないんだったら、好きなだけ殴れよ。
気が済んだら、この件はもう許してくれよな。
俺も、悪かったって思ってんだからさ・・・」



「ほら、好きなトコ殴れよ」

「や、ヤダよ・・・。
・・・もう、いいよ、許すよ・・・。」




「殴りゃあいいのに・・・・」

「あたしは、アンタみたいに暴力はしないもん」


「そうッスか・・・」








「(・・・・・・ま、そう悪い奴でもないのかな)」

家庭の事情はよくわからないが、実の父親に人買いに
売られてパッチが引き取った事を知ったカセリンは、
しぶしぶギルバートを家に置く事に承諾する。







「あーぁ、まさかこんな所で寝袋で
寝る事になるなんて・・・・」

「大きいのは家だけなのね・・・・」






















深夜、










「ZZzzz〜・・・」







「・・・・・・・」








ガチャ































その夜、ギルバートはこっそり家を抜け出し、

家を出て行った・・・・。


























バタバタ・・・・

「はぁはぁ・・・」




「ギ、ギルバート!!」



「ギルバートってば!!」





「ちょっと待ってよ、ギル!!」

「・・・・ッチ」



「ったく、なんだよ」

「なんだよじゃないわよ!
こんな時間にどこ行くのよ」





「どこだっていいだろ・・・・」







「も、もしかしてさ・・・・
家、出てくの・・・・?」

「・・・・・・・・」





「・・・・あ〜・・・、
お前の家がイヤとかじゃなくてだな〜・・・」

「あたしも行く!」


「はっ!?」



「な、何言って・・・・」

「家出てくなら、あたしも行く!
いいでしょ?」




「いいでしょって・・・」

「ダメって言われても行くもん!」





「あーもう、好きにしろよ」

「・・・・・・・」







「・・・好きにするもん」






「待ってよ〜」






この日、カセリンとギルバートは
二人で家出をした。










第10話「買われた日」


リバービューのとある倉庫




「おら、さっさと入れ」




「ここでおとなしくしていなさい。」

「明日の朝には発ちますからね!」





「・・・・・・・」







バタン・・・・・カチリ







「・・・・・・」












「ハハハハハハ」



「全く、このご時世に自ら自分の子供を売る親が
いるんですからねぇ」

「涙が出そうでしたよ、ハハハ」



「兄貴もサイッコーでしたぜ!
『逃げないでくださいね〜』なんてゾッとしましたよ」

「フフフ、私は紳士ですからね、
子供に暴力なんて、そんな野蛮な事はしたくありませんよ」



「明日の朝にはこの町を発ちますからねぇ、
このまま部屋でおとなしくしていてくれる事を願いますよ」

「・・・・・・、
でも意外にすんなり付いてきましたね、あのガキ・・・」



「そうですねぇ、あの様子では父親に未練はなさそうですが・・・・」

「そうですかい?
最後に父親を呼ぼうとしてやせんでした?」



「フフ、見なかったのですか?
あの少年の諦めた顔を・・・・」・・・・ガガガ・・・・

「相当あの父親にひどい扱いを受けてきたのでしょう・・・」




ドガガガガ・・・・




「あの少年も、いつかこうなる事がわかってたんじゃありませんか?」

「まぁ私達としては、おとなしく従ってくれるのは
楽なんですがね・・・
しかし、静かな者ほど腹に何を抱えてるかわかりません
からねぇ、油断でき・・・・・」ドドドドド・・・・・



「・・・ッチ、さっきからうるせぇな・・・
すいやせん、兄貴」

「外で何をしているんですかね?」



「全く、どこの誰でしょうね?
こんな夜中に迷惑な・・・」

「なんか地面を掘るような騒音ですね、
人が集まってきたらやっかいな事になりませんかね?」




「それはやっかいな事になりそうですね、
早めにカタをつけてくるとしましょう」


「ヘイ」







「なんだろ・・・
外が騒がしいな・・・・」







ギギギギギッ


「ふんがぁぁぁ!!」

「オ父様、ソロソロ帰リマセント 住民タチガ集マッテ
キマスヨ?」


「ふぐぐ・・・・
もうちょっと・・・待てって・・・ふぐぅ〜」

「もうちょいで宝石が採れそうなんだよ!」



「シカシ、今日ハモウ・・・・」

「ちょっと!!」



「こんな夜中に何してんのよ!
うるさいったらないわ!!」

「ウワッ」


「まったく、近所迷惑よ!!
・・・・って、アンタ公共物破壊のドン・パッチ!!」






ガチャ





「アナタですか、さっきから騒音を響かせているのは・・・!」

「・・・ボソ・・・ド、ドン・パッチよ・・・!
あのイカレ発明家のドン・パッチだわ・・・!!」


「?」




ボソ・・・深く関わる前に早く逃げましょう!」
ボソ・・・・えぇ、そうね」

「なんだよ、アンタら・・・
ここらじゃ見ねぇ奴らだな」




「貴方、今何時だかわかってますか!?
良い子は寝る時間ですよ!!」

「あぁ?俺が良い子だとでも思ってんのか!?
この黒ヒゲ危機一髪共がっ!!」




「な、なんですって!?私達を誰だと・・・!」
「おう、誰だよ。」

「あ、兄貴・・・・それ以上は!」
「ふぐぐ・・・」















「なんだ?
やけに外が騒がしいな・・・」

「・・・・・・・・、
あれ、この間のおっさん・・・?」






「おーい、おっさん!」

「おっさーーーーん!!!」



「おっさんってば〜〜〜〜!!」

「ン?ドコカラカ、声ガ・・・・」



「オヤ?アソコデ、誰カガ呼ンデオリマスナ?」

「ン?アノ少年ハ・・・・・誰デスカナ・・・」



「オ父様、アソコデ少年ガ呼んでオリマスゾ?」

「あぁん?誰だよ」





「おっさ〜〜〜〜〜ん!!!」




「あぁ?おっさんって・・・・・
ん?アイツは・・・・」

「この間、何も言わずにさっさと帰ったガキじゃねぇか!」



「チッ、あのガキッ!
おとなしくしてろって言ったのに!!」

「急いで、あの少年を黙らせてきなさい!!」
「ヘイ」



「おい、ちょっと待てよ!
どーゆう事だ?
なんであのガキがこんな所にいんだよ!!」

「しかも『黙らせてきなさい』だぁ?
アイツをどーするつもりだよ、お前ら!」



「貴方には関係のない事ですよ」

「なにぃ〜?」



「おい、ティム!
あの黒服の奴追いかけて、あのガキ連れてこい!!」
「エ・・・シカシ・・・」

「早く行けって!!」


「ワ、ワカリマシタ!!」ゴォォォォ





「テメェら、一体何を企んでやがる・・・!」

「企むだなんて人聞きの悪い人ですねぇ、
私達は何も企んでいませんよ。」


「あのガキをどーするつもりだって聞いてんだよ!」





「どうするも何も、アナタには関係のない事でしょう」

「あーそう、どーしても言わねぇんだな?」







「んじゃ、こーだ!!」ガバッ

「あ、ちょ・・・!」



ドスンッバタンッ


「や、やめ・・・」

「オラオラッ」ドカッボグッ


「うぐっ・・・ふぎゃっ」





「のわ〜〜〜〜〜」ピュ〜〜ン

ドタドタッ・・・・







「うがぁ〜〜〜、き、貴様ぁ・・・」

「どーだ、コラ!
言う気になったか、あぁん?」


「クッ・・・・・」










その頃、倉庫の中では・・・


良いシムポットのはずのティムが
暴れまくっていた・・・・。

「うわぁぁ〜〜〜、なんだコイツ〜〜!!」



「ア、ヨイショ〜」ギュイーンギリギリギュワ〜

「ぎゃああぁぁ、助けてくれ〜〜〜!!」



「サァ観念スルノデス、悪党ドモ!!」

「わぁぁ、ごめんなさい〜
許して下さい〜〜」


「オヤ、本当ニ悪党ダッタノデスカ?」
「あうあう・・・」ガクガク





黒服の男はティムに恐れをなし、ガクガクと震えていた・・・・。












「アノ子ガイタノハ コノ部屋デスネ?」

「・・・ム、鍵ガ カカッテイルヨウデスネ?」








「あぁ?それじゃあ、あのガキ
実の父親に売られたってコトか?」

「そーですよ!
さっきからそう言ってるでしょうが!」



「だから邪魔しないで下さいよ。
朝になったらココを発つんですから・・・」




「ちょっと待てよ・・・・
ってコトはあのガキ、もうこの町からいなくなるってコトか?」

「えぇ、噂じゃ結構な悪ガキだったみたいじゃないですか。」


「え、そーなの?」



「私共はよく知りませんがね・・・、
イタズラ好きで、よく父親が被害にあってたみたいですよ?」

「ふーん、でも自分の子供売るってどーなの?」


「さぁ?私共は仕事ですので私情には興味ありませんね」
「あそ・・・」





「んじゃあ、あのガキ俺が買い取るよ」

「え!!?何言ってんですか!!
しかもその顔・・・・本当に欲しがってる顔ですか!??」




「だってあのガキ、この町からいなくなっちまうんだろ?
(あのガキいなくなったら、町に迷惑かけてんの
俺だけになっちまうだろうがっ)」

「それとも、もう誰か買ったってのか?」


「いえ・・・・、しかしですねぇ
人一人買う事がどんな事かわかってますか?」

「そんなホイホイ出せる金額でもありませんよ?」




「・・・・わかってるって。
(ッチ、こいつ俺に説教する気か?)」

「(カセリンだって、俺の子供じゃねぇし
ティムやロサリンダだってロボットだしな・・・・
一人増えたって変わらんだろ・・・)」





「し、しかし、今ここで決めるわけには・・・・」

「あぁ?じれってぇなお前・・・・
じゃあさっきのシムポットと交換ってのはどうだ?」


「えっ!!!」












その頃、


噂のシムポットであるティムは・・・

ドカンッ


「うわっ」



「大丈夫デスカ?怪我ハ アリマセンカ?」

「・・・・あ、あぁ大丈夫・・・・」



「何故コンナ所に閉ジ込メラレテイタノカ シリマセンガ
トニカク今ハ ココカラ出マショウ!」

「あぁ・・・・」












ティムに助けられたギルバートは、
黒服の男が来る前に急いで外へ駆けて行った。






バタンッ

「おっさん・・・!」



「おっさん、助かった・・・ん?」

「アイツだったら、あのガキより価値あんぞ?」



「そ、それはまぁ確かに・・・」

「いい話だろ?じゃ交渉成立だな!」




「おーい、ティム。
こっち来いよ〜〜」

「??」



「ティム、すまないが・・・・
お前とはたった今ココでお別れだ。」

「エッ!ナンデスッテ!?
ドウユウ事デスカ、オ父様!!」



「ほ、本当に大丈夫なんでしょうね?」

「不良品だったじゃすみませんよ!?」




「テメェ、俺の造ったモノにケチつける気か!?
上等だコラ、もう一度締めてほしいらしいな?」

「貴方、有名な発明家らしいですが
チンピラみたいな人ですねぇ・・・!」


「あ?俺の事知ってたのかよ・・・」






「エ、ナンデスカ?
ドウユウ事デスカ?」

ティムは自分がギルバートと交換で
売られた事など知る由もなかった・・・。






「そんじゃティム、元気でやれよ!」

「エッ!?オ、オ父様!??」



「よう、大丈夫だったか?
そんじゃ帰ろうぜ!」

「あ・・・・・、俺は・・・・」





ギルバートは自分の家になど帰れるワケがなかった・・・・。







「お前、たった今から俺の息子だから」

「はっ!??ど、どうゆう・・・・」


「どうゆうって、そーゆうこったよ。
帰んぞ、付いてこい」

「・・・・・・・」



「ぐへへへ・・・
よしよし、危うく俺だけが町の悪モン扱いに
なるトコだったぜ・・・」

「そうそうこの町から出られると思うなよ?
お前も道連れだぜ・・・・ぐふぐふ、ぐふふふふふ♪」





「ナンデスッテ!?私ガ アナタミタイナ人間ニ
売ラレタデスッテ!?」

「私ヲ 扱エルノハ オ父様ダケデスヨ!!
私ガ 人間ノ言イナリニナルナンテ
コレ程ノ屈辱 アルモノデスカ!!」



「キ〜〜〜!!
こ、このポンコツめっ!やはり不良品じゃないですかー!!」

「不良品デスッテ!?
ハッ!コノ私ヲ不良品ナドト・・・・
ヤハリ、アナタハ私ノ価値ヲ全ク解ッテイマセンネ!!」


「ムキ〜〜〜!!」








「あ、あの・・・・おっさん・・・」

「もしかして・・・・
俺を買った・・・・とか・・・?」



「あぁ?誰がテメーなんか買うかよ。
ティムと交換しただけだよ」

「それって・・・・」



「あ、そういやお前、名前なんだ?」

「・・・・・ギルバート・・・」




「はーん・・・いい名じゃねぇか。
俺なんかドン・パッチだぜ?」

「・・・・いいじゃん(悪党みたいで)」


「お前今、悪党みたいって思わなかった?」


「い、いや・・・・」




「まぁいいや。
ギルバート、前の親父の事は忘れて
これからは俺の事を本当の父親だと思えよ!」

「・・・・・・・・・・」




「おい、どうしたよ?
呼べよ、お父様って」
「ヤダよ・・・・・」
「テメ・・・・!」

「オ父様〜〜〜!!」



「オ父様、ヒドイデスヨ!
何故私ヲ売ッタリシタノデスカ!!
私ハ オ父様ノ息子ジャナカッタノデスカ!?」

「いや、そーなんだけどさぁ〜」



「だって俺金持ってないし〜
お前を売るしかなかったんだよ・・・」

「イイ訳ナンテ 聞キタクアリマセン!!
大体ハ 分カリマスガ、ソレデモ自分ノ息子ヲ売ルナンテ
ヒドイデスヨ!!」


「ぐ・・・・!」







「・・・・・・・・・」

「(この人もアイツと同じじゃないか・・・・・)」





「(どこに行ったって、何も変わらない・・・・)」







「(俺は・・・、この人の元に行って正解なのか・・・?)」





「(・・・・・・・結局、
俺は・・・・周りに流されて生きて行くしかないのか・・・)」





「お、落ち着けってティム〜・・・
それよりお前、あの黒服の男はどうしたんだよ」




「アァ、ソレナラ・・・・
丁重ニ オ断リサセテ頂キマシタ。」

「ふーん、よく返してくれたもんだ」
「ハイ、親切ナ オ方デシタ。」


「うぐ・・・・」















朝が近くなり・・・・







パッチはギルバートとティムを連れ、
自宅に向かう・・・。







「・・・・・あれ、よく考えたら
コイツの保護者って俺じゃん・・・・」





「・・・・って事は、
コイツが悪さしたら・・・・・・」

「・・・・・・・・」