第17話「初めてのクリスマス」





ギルバートは学校の裏のサッカーコースで、
スーリとケースとサッカーをしていた。

「・・・ケース、次負けたら下も脱いでもらうぜ!」



「フッ、さっさとかかってこんかーい!」




「ッチ、行くぜ!」



「オラァ!」ボスッ

「ナハハ、残念だったな〜」




「く、クソー・・・」
「まだやるか?」

「なぁ、もう暗いしやめね?」




「そうだな。
おいケース、今日は俺の勝利だかんな!」

「ッチ、しゃーねぇか」



「なぁ、ギルバート。
これからどーする?」

「なぁー、二人ともまたナンパしに行こうぜ?」



「オレ、クリスマスは彼女と過ごしたいんだよ。」
「ケース、お前に彼女なんかできるワケねーだろ?」

「ムキー!なんだとーー」



「俺は別にいーけど・・・」

「行くか?」




「おう、いこーぜいこーぜ!」














「おっ、こんな所に鹿がいる」



「腹減ったーーーー!
お、鹿だ鹿だーーーーー!!」バタバタ




「なぁ、鹿ー。
食いモンくれよー」

「鹿が持ってるわけねーだろ」



「う、うおぉぉ、さみー!
この寒さ、ナンパ所じゃねーぞ!」

「確かに、寒くてあまり外に人もいねーしな」



「俺、あんま遅くなるとヤベーから帰るわ。」
「え〜〜!なんだよギルバート。来たばっかなのによぉ〜」

「しょーがねぇだろ、ケース。俺らも帰ろうぜ!」
「ちぇ、わかったよ」


「今度また付き合ってやるからさ」
「おう、絶対だぞ!」











「・・・・あれ、ギルバートの家ってアッチだっけ?」

「ん、どーしたんだスーリ」






「いや、アイツ向こうじゃねーよな、家」

「どっか寄ってくんじゃねぇの?」



「そーいやギルバートの奴、最近付き合い悪かったけど
なんかあったのかな?」

「最近、顔にキズもついてないしなー」



「まぁな、前は生キズが絶えなかったもんなー。
それに比べたら、今の方がマシか?」

「それより、遅くなるとヤベーって言ってたのに
どこ行くんだろうな・・・・」





二人は、ギルバートがパッチの家に引き取られた事を
知らなかった。












ドン家




「はぁ〜、寒いなぁ〜
もうすぐ雪降るかなぁ〜〜〜〜」





「おーい、カセリーン!」




「パパ」

「ギルバートの奴、もう8時過ぎてんのに
まだ帰ってこねーの?」



「うん・・・、どーしたんだろうね」

「しょうがねぇ、迎えに行くか」


「うん」














「・・・・さみー・・・・・」







「・・・・・はぁ・・・」

「このまま・・・・・・」





「・・・・あ、パパ
あそこに・・・・!」









「アイツ、あんな所で何してんだ?」





「おーーい、ギルバーートーォォ!」





「・・・・ん?」

「ギルバート、何してんのー?」





「帰ろうよ」

「うん・・・・」





「どうしたの?
家に帰りたくないの?」

「そーじゃないけど・・・・」





「・・・・・・・・・」






「ど、どーしたの!?」

「おっ!なんだなんだ?泣くのか!?
泣きそうなのか??」


「パパッ!!」






ギルバートは、
自分を心配して探しに来てくれた人達がいる事が
とても嬉しくて、涙が出そうになった・・・・。






「か、帰ろう?ギルバート」

「うん・・・・」





「・・・・・・・・」

















カチャ・・・




「!!」

「わっ、なんだコレ・・・・」


「クリスマスツリーだよ。」




「あぁ、これがクリスマスツリーか」

「ん?なんだお前、クリスマスツリー見た事ねぇの?」





「間近では見た事ないな・・・・」

「なんか、色々ついてんだな・・・・」





「フフッ、何子供みたいな事言っちゃってんの?」





「なんだよ、俺まだ子供だし」

「プッ、・・・・クリスマスプレゼントほしい?」


「うん」



「あるわけねぇだろ、んなモン」

「なんだ、ないのかよー」


「アハハ♪」




「でも、何かほしいのあるなら言ってよ。
検討してみるから」

「うーん・・・・・、
じゃあクリスマスケーキっての作って」



「え、ケーキ?」
「お、いいねぇ♪」

「じゃあクリスマスは過ぎちゃうけど、
今度作ったげるね!」


「うん!」






「・・・・・甘いの苦手とか言わないよね?」

「どこのイケメンだ、ソレ」








ギルバートは、初めてのクリスマスを過ごし、
満足したのかぐっすりと眠りに落ちた。