第15話「過去を知る女」


ドン家に幼馴染のマチルダを招待する事になった
ギルバート。




「へぇ〜、ここがギルバートの新しい家ね!」

「ま、マジで入んの?」
「マジよ!」




「お邪魔しま〜〜〜す!」

「ん?」




「わっ、な、なにこれ!」

「うわっ、キモイ〜〜〜!!
ヤダッ!マジでなんなのコレ、動いてるし!!」




「なんだ、お前。
いきなり人ん家入ってきてギャースカうるせー奴だな」

「えっ!?」




「あ、ご、ごめんなさい。」
「なんだ、ギルバートの知り合い?」

「近所に住んでた子だよ」


「(もしかして、この家の主!?
ヤバッ、ちょっと怖そうなんだけど・・・・)」




「私、マチルダって言います。
ギルバートの幼馴染です。」

「へぇ〜」




「ギルバートがどうゆう人達と暮らしてるのか
気になりまして・・・・」

「(マチルダが緊張してる・・・・)」




「そ、その・・・・(タ、タトゥーがいっぱい・・・)」

「あぁ、そっか。
ギルバートの事、心配してたんだな」




「え、し、心配というか・・・その・・・
(ど、どうしよう・・・目ぇ合わせたらブスッとかこないかしら・・・)」

「(い、いえ、それより、ギルバート大丈夫なのかしら!?
あの親父さんもアレだけど、この人もちょっとヤバイんじゃ・・・)」




「そ、そう!ギルバートが心配だったんですよー!!
あ、新しい家で元気に生きてるのかな〜?っと思いまして・・・」

「あぁ、一応元気だと思うぞ?」




「あ、あの、元気にご飯食べてます?
(って、何言ってんの私・・・落ち着け〜!)」

「メシならちゃんと食ってるぞ?」


「そ、そうですか!
それは良かったです!!」






「ハハ、変な子だな〜」
「は、ハハ・・・・(ヤクザのおやっさんかしら、マジ焦る)」

カチャ


「ギルバート、帰ったの?」






「は、腹減った〜〜〜!
メ、メシ〜〜〜〜!!」

「あれ、冷蔵庫に何もなかった?」



「見たけど、ないない!
マジで腹減った!何か作って!!」

「ギルバート、すっごい大袈裟。
ちょっと待っててよ、今作るから」



「何作るの?」
「マカロニチーズだよ♪」

「それ、ウマい?」
「うん、サイコー!」



「そういえば、お客さん来てなかった?」
「来てないよ」

「アレ、俺の娘のカセリン」
「え、娘?」




「ねぇ、女の子の声するんだけど、
本当にお客さん来てない?」

「来てないよ」


「ちょ、来てるっての!」




「お前、もう帰れば?
そしてもう二度と来るなよ」

「ちょっとギルバート!
お客さんに失礼でしょ!!」


「へいへい」




「へぇ〜〜(ニヤニヤ)」

「(なんだ、意外に家族してんじゃない)」



「(娘さんもいるし、そんなに怖い人じゃないみたいね)」






「あれ、もういいのか?」

「うん。なんか安心したから」




「安心?」

「うん!・・・ボソ・・・ここだけの話、
ギルバートなついてるみたいだからいいかな〜って。」




「なついてるって・・・誰に?」

「う〜ん、お父さんにはやっぱり言いづらいかな〜」




「なんの話してんだ?」

「よし!美味くできた♪」










「いただきます」

「はい」



「私もいいかしら?」

「よくねぇよ、帰れ」



「なによ、そんなに私ジャマ?」
「ギルバート、失礼じゃない!」

「私のベット使ってたクセに」
「テメッ」



「誰が誰のベット使ってたって?」

ゴホッ




「私のベットですぅ〜
一緒に寝てたんですぅ〜〜」

「ウゼェよ、テメー」ケリッ
「あいた!蹴ったわね!」




「・・・・・(カセリンの前でイチャついてんじゃねぇよ)」





「あたし、もう寝るね」

「あ、あぁ・・・・(汗)」







カチャ・・・




「フン、一緒に寝ただって?
あたしには関係ないし・・・・・」

「ていうか、女の子家に連れてくるとか、
サイテー・・・・・」



「なぁ、本当に一緒のベットで寝たの?」

「え、昔ですよ?子供の頃の話・・・・」


「そ、そうだよな〜・・・・ハハ」


「(最近までなんて、言わない方がいい気がする・・・・)」




「でも、珍しいですよ」
「なにが?」

「アイツに寝床は貸してたけど、ご飯は・・・・
うちの母が食べて行けって言っても、ずっと『いらない』って
言って、うちではご飯食べた事ないんですよ」




「それで、道端に落ちてるどんぐりとか食べだすんですよ。
トカゲとか捕まえて焼いたりしてね・・・・、
アレ美味しかったのかな?」

「うげっ、トカゲ・・・・
どうゆう生活してたんだアイツ・・・」







夜も更けて、そろそろマチルダが帰ろうとした時、




「おーい、マチルダ!」

「え?」




「もう真っ暗だし、家まで送ってくよ」

「えっ!い、いいですよ、そんな・・・!」




「ちょっと聞きたい事もあったんだ。
アイツには聞きにくくてさ・・・・」

「ギルバートの家庭の話だったら、私話しませんよ?」


「え・・・・」



「ギルバートが話さないんだったら、
私からは何も言えないですよ。」

「まぁ、ギルバートに聞いても答えないと思いますけど」



「・・・・そんなにひどい家庭だった?」



「あ〜〜、そう言うのじゃないんです。
確かにひどいと言えばひどいんですけど・・・・」

「そーじゃなくて、アイツ、
プライドだけは究極に高くてですね〜」



「自分を卑下する人は嫌いなんですよ、
だからアイツの事、可哀想とか言ったりしちゃダメですよ?」

「アイツ、自分の事見下す人片っ端から殴ってましたからね、
私も昔殴られました。女子供も関係ないんですよ、アイツは。
自分以外全員敵って感じ」



「アイツ、私に昔の話とかされるの大っ嫌いみたいなんで
私は何も言いません。
今のままでいいと思います。
未来の事だけ考えて、接してあげてくださいね!」

「私、もう来ませんから!
アイツにこれ以上関わりたくないし・・・・」


「そ、そう・・・・」



「じゃあ私はこれで!」

「あ、あぁ、気をつけて・・・・」



「あ〜〜良かった!
これでもうアイツと関わる事はないわ!!」

「良さそうな人達みたいだし、
もうウチに来る事もないでしょう!
やっとアイツから解放されたって感じ♪」



「〜♪」





「・・・・・・・、
ギルバートの奴、嫌われてんな・・・・・」



言いたいことを言って、マチルダは帰って行った・・・・。




しかし、二度と来ないと思っていたこの家に、
チルダは再び来る事になる・・・・。











夏も終わり、秋の季節になったある日









「ギルバート?」




「アンタさ、その服そろそろ洗ったら?
もう一週間以上着てるよね?」

「今丁度洗濯するから、脱いでよ」




「・・・・・・くさい・・・」




カチャ



「これで全部かな・・・・」



「・・・って、うわっ!!」

ボトッ・・・


↑持ってた洗濯物を落とした音





「ちょ、ちょっと!
何脱いでんのよ!!」

「お前が脱げって言ったんじゃん」


「そ、そりゃ言ったけどさ、何か着てよっ!
なんでパンツ一枚・・・・・」

「アレしか服持ってないし・・・・」


「だ、だからって、全部脱ぐこと・・・・」

「(もうっ、目のやり場に困るってば・・・・!)」





「・・・・・・・お、お前ら
何してんの・・・?」

「パ、パパ!」



「ギ、ギルバート!
お、おおお前って奴は、俺がいない時を見計らって
カ、カセリンに変な事をしようとしてたんじゃあるまいな!?」

「ち、違うよ、おっさん!」




「じゃ、なんでそんな格好してんだよ!!
おかしいだろ!女の子の前でよぉ〜」

「お、俺は脱げって言われたから脱いだだけだよ!!」




「脱げって・・・・、カセリンがぁ!?」

「ちょ、どーゆう事だよ!?
(ま、まさかカセリンが誘ったとかじゃあるまいな!?)」




「違うよパパ、
ギルバートの服を洗おうとしてただけだよ。」

「あ、なんだ・・・」
「ったく、おっさん早とちりしすぎ」



「パパ、ギルバートの服だけど、
ギルバートを引き取った時に着てた服しかないでしょ。」
「そういや、そーだなぁ」

「もう寒くなってきたし、服買った方がいいんじゃない?」



「(服か・・・・・)」












翌日、







ガチャ

「おい、ギルバートどうだ?」



「お、それなりに着れてんじゃん。
俺のお古だけど・・・・」

「・・・・・・」



「んじゃ、行こーぜ!」

「え、どこへ?」



「お前の服買いに行くんだよ」

「え・・・・・・、
い、いいよ。そこまでしてくんなくて・・・・」



「何言ってんだ、
ほら行くぞ!」

「お、おっさん・・・・」



「ほら、二人とも行くぞー!」

パッチは、カセリンとギルバートを連れて
服を買いに行った。





「よし、じゃあお前の服は俺が見立ててやるよ」

「え、おっさんが?」
「あたしも選んであげるよー」




そして、カセリンが選んだ服がコレ↓


「って、オイ!なんだコレ!!」

「に、似合わないかな・・・・?」


「変だろ、完全に!」
「やっぱり?」





次に、パッチが選んだ服がコレ↓


「お前ら親子でセンスおかしいんじゃねーの!?」

「ん、ダメか?」
「ダサ過ぎだろ、コレー!!」


「・・・・やっぱり?」




「あーもう、こんなんだったら前の服でいーよ!」

「え〜〜〜〜、オモシロイのに・・・・」



結局、ギルバートは自分で服を選んで
パッチに買ってもらったのだった・・・・。