36 失恋な二人編



ケンカが終わって、夜ジェミーの家に行くシルバ



ピンポ〜〜〜〜〜ン

ジェミー「あらシルバ、入ってきていいわよ」



ガーーーー(ドアの開く音)

シルバ「良かった〜、ジェミー怒ってないみたい〜〜」




シルバ「おじゃましまーーーす!」




その日、シルバはジェミーの部屋に泊まった。














そして、あの火事の一件以来、
ポルトーはデル様の所に帰る事ができないでいた・・・



ポルトー「あそこにいるのはウラジミール・・・・?」



ポルトー「あんな所で何してんだろ・・・・」






ポルトーは帰る場所がなく夜の街を徘徊していた・・・

ポルトー「はぁ〜」



ポルトー「これからどうしよう・・・・」

ポルトー「デル様の所に帰るワケにもいかないし・・・・
     かといって他のバンパイアの所に行くのも
     なぁ〜・・・・」



ポルトー「はぁぁ〜、デル様
     絶対俺の事怒ってるよな〜・・・・
     デル様の想い人を殺そうとしちゃったもんな〜・・・」

ポルトー「嫌われちゃったよなぁ・・・・・はぁぁぁ〜〜」







そこ頃のデル様は、自分を慕ってついてきてくれたポルトーを想う・・・

デル様「ポルトー、帰ってきませんわね・・・」



デル様「ワタクシ、ちょっとハラが立ちましたけど
    そんなに怒っていませんのに・・・・」

デル様「危険ではありましたけど、
    ジャンク様と楽しく過ごせましたので
    むしろ少し感謝してるくらいですのに・・・・」



デル様「だから早く帰ってきてほしいですわ・・・!」

デル様は、謎の幽霊と二人だけになっていた・・・・










カセリンの面倒はジャンクに任せて、
パッチは一人で二軒目の店で酒を飲もうとしていた




前回、京子に失恋して・・・・
その前には変な噂でマリーナという女性にも振られていた

パッチ「はぁぁ〜〜、俺・・・
    女運ないよなぁ〜・・・・」



パッチ「上手くいきそうな時、いつも何かしら邪魔が
    入るし・・・・
    しかもこの歳でまだ童貞なんて・・・・はぅぅ〜・・・」

バーテン(あら、まだ童貞なのね・・・ニヤリ)



パッチ「なんかもう、誰もいない所で
    人生やり直したい・・・・」

パッチ「童貞なのに、娘がいるってのもおかしいし・・・・」


バーテン(あら、娘さんがいるの・・・・残念ね)



パッチ「・・・・やっぱあん時、情に流されずに
    捨てとけば・・・・・」

パッチ「って、いやいや俺が振られたのは
    アイツの責任じゃないし・・・・・
    はぁ、子供のせいにするなんて俺ってサイテー」





バーテン「おにーさん、そんなに落ちこまさんな・・・
     サービスしたげるから
     うまいモン食って元気出しな!」

パッチ「あ、そう?
    じゃあオニオンリング頼むよ」





・・・と、そこに似たような心境の男が現れる

バーテン「あら、緑のおにーさんいらっしゃい」


ポルトー「”大きな過ち”をくれ・・・・」

バーテン「はいよ、アンタもなんか元気ないねぇ〜」



パッチ(アンタも?・・・って事は緑のにーさんも
    失恋かな・・・・)

ポルトー「聞いてくれるか、おばさん」
バーテン「おねーさんと言いな!」


ポルトー「・・・・おねーさん」





ポルトー「・・・俺、ずっと好きだった人がいて
     昔、その人に『ずっとそばにいてね』って言われて
     嬉しくて、今もこれからもず〜っとそばにいたい
     のに・・・・
     この間、フッと現れたヤツに持ってかれたんだ・・・」

ポルトー「俺の今までの人生ってなんだったのかな・・・・」


パッチ「・・・・・・」


バーテン(・・・・こ、これは重苦しい雰囲気だわね)




ポルトー「しかも俺、そのフッと現れたヤツが大っ嫌いでさ〜
     ソイツを罠にハメて焼き殺そうとしちゃった
     ワケよ・・・」

ポルトー「そしたらさー、その人が助けに現れちゃってさ〜
     はぁぁ〜、もう俺何やってんだろ・・・・
     そんな事したらカンペキ嫌われるってのに・・・・」



パッチ「なんとなくだけど、気持ちわかるよ」
ポルトー「え、マジ?」

パッチ「なんとなくな・・・・
    俺は殺そうとは思わんかったけど・・・・」



パッチ「まぁ俺の方は、結局振り向いてもらえないまま
    終わったしね・・・・」

ポルトー「ふ〜ん、アンタも俺と同じか〜・・・
     俺も結局、振り向いてもらえなかったし・・・・」


パッチ「しかも俺なんて子供いるし・・・・・」

パッチ「お母さんになってくれそうな女性を
    選ばなきゃならん・・・・」



ポルトー「へぇ〜、アンタ子供いるのか。
     俺もいつまでも見込みない片思いやめて
     新しい人探そうかな〜」

ポルトー「なぁアンタ、一緒にナンパというのをしに
     行かないか?」


パッチ「へ、ナンパ?」
ポルトー「俺、そーゆうのやった事ないんだよねぇ〜」
パッチ「そういや俺もないな・・・」

ポルトー「なぁ、行こうぜ〜」
パッチ「まて、ソレに最適な男がいる・・・・」

















―――翌朝―――







ジャンク「・・・・・・朝か」



ジャンク「昨日、パッチ帰ってこなかったな・・・」

ジャンク「思った以上に落ち込んでたのかもしれないな・・・・
     ・・・・・ん?」




ジャンク「シルバ、帰ってきてたのか・・・・」

「くか〜〜〜」













ジャンク「・・・・・・あれ?
     今なんか・・・・違う生き物がいたような・・・」







ジャンク「・・・・・・・・、
     見間違いじゃなかった・・・・」

ジャンク「なんでコイツがここに寝てんだ・・・」


ポルトー「くか〜〜〜」




どうやら帰る所がないと聞き、パッチが連れてきたらしい。










一方、シルバはというと・・・・




シルバ「フンフ〜〜〜ン♪」

朝からシャワーを浴びていた。



シルバ「カルボナーラうめぇ〜〜」

ジェミー「・・・・・・」



ジェミー「それ、アタシの・・・・」

シルバ「モグモグ・・・」









ジャンク「・・・・・ん?なんだこのビン」



パッチ「あぁ、それ
    緑のにーさんが持ってたんだよ」

ジャンク「ふ〜ん」



ジャンク「これ、何の薬なんだ?」
パッチ「え、薬なのコレ」
ジャンク「しらん」

パッチ「そういえば、あの人失恋したっぽいからなぁ
    ・・・・惚れ薬とかだったりして」
ジャンク「なんだそりゃ」
パッチ「えー、だから〜好きな人に飲ませて自分を好きに
    ならせるとかいう・・・・」
ジャンク「そんな物、実際あるワケないだろ」



パッチ「おいおい、持ってたのはバンパイアだぜ?
    魔女とかが作ったとかあるかもよ?」
ジャンク「フッ・・・」
パッチ「鼻で笑うなよ」

ポルトー(え〜っと、ここはどこだ?)



パッチ「よし、試しに本人に飲ませてみよう」
ジャンク「おい、本物だったらどーすんだよ
     恐ろしい事になるぞ!」

ポルトー「あ、おい昨日の・・・・ん?お前はジャンク!」


ジャンク「来たぞ」
パッチ「よし!」



ポルトー「なんでお前がここに・・・・って、
     え?なんだ!?」
パッチ「ままま、コレちょっと飲んでみ?」

ポルトー「え!?それは・・・・
     バンパイアを・・・あ、ちょっとま・・・」












ゴックン













ポルトー「・・・・・うっ・・・・」

パッチ「お!?なんだこの黒い煙・・・・」
ジャンク「もしや毒薬だったか?」




ポルトー「ぐあぁぁっ!!」







ジャンク「?」
パッチ「あれ、お前なんか血色良くなったなぁ」

ポルトー「・・・・・・・」



ポルトー「うわあぁぁぁぁ!!」

ポルトー「に、人間になっちまったぁぁぁっ!!」



ポルトー「なんてことすんだよぉぉっ!!」

パッチ「あ・・・・人間になる薬だったのか・・・」
ジャンク「パッチ、良いことをしたな」



ポルトー「うわぁぁ〜!
     もうデル様の所に帰れないよぉぉ〜!!」