15 子供は突然に編(後編)

前回、突如現れた少女、ドン・カセリン


彼女は、どうやらドン・パッチの先祖にあたるらしく、
何があったのかドン・パッチを父と思い、
現代へついてきてしまったらしい。


しかし、ドン・パッチ自身は未だ認めてはいなかった。





カセリン「パパ・・・」



パッチ「おいっ、俺はお前のパパじゃないの!
    パパって呼ぶなっ!!」

カセリン「・・・・パパ」


パッチ「だから、パパじゃねーって!
    何度言ったらわかるんだよっ!!」

カセリン「・・・・うぅ・・・」


パッチ(げっ、やべぇ!)


パッチ「あ・・・えぇっとぉ、カセリンちゃんだっけ?
    俺はね、君のパパじゃないんだよ
    わかったか?」

カセリン「パパじゃない・・・?」


パッチ「そうそう、パパじゃないの
    わかったら、帰ってくれるかな?君のいた所に」


カセリン「・・・・・・・・・」



パッチ「・・・・・・・・・なんか言えよ」






カセリンが家に居ついて数日・・・



パッチ「なぁ、その子いつまで置いとく気だよ・・・・」


ジャンク「置いとく気って、お前の子供だろ?」

パッチ「俺の子じゃねぇよ!」


ジャンク「んなコト言ったって、ソックリじゃん」


パッチ「俺とこの子が似てるって?」

パッチ「そんな訳ねーじゃん、
    だって俺、まだ結婚もしてねーんだぜ?」


(似てるのは当り前じゃん、だって俺の先祖だぜ?)


(そうだ!タイムマシンで過去に返してくればいいんじゃね?)

(あ、でもいつの時代だか覚えてねーや・・・・)


(ど、どうしよ・・・・・)

ジャンク「結婚してなくても、子供はできるだろ」


パッチ「・・・・・・・だ〜よね〜」


ジャンク「この間、お前の事『パパ』って言ってただろ!
     どー見ても、お前の子だって!」

パッチ「んなコト言ったって、
    俺が認めてねーんだから違うね!
    大体、母親は誰だよ」


ジャンク「そんなの俺がしるわけないだろっ!
     聞いたって『パパ』しか言わないし・・・」

ジャンク「お前さ、アレ以来この子とちゃんと
     向き合ったコトあったか?
     お前だったら何か他のコト
     喋ってくれんじゃないの?」


パッチ「えぇ〜〜」


ジャンク「一応、俺達の言ってるコトはわかるみたいだから
     普通に暮らす分には困らないと思うけど、
     父親のお前がしっかりしないとマズイと思うぞ?」

パッチ「だから父親じゃねぇって」


(生きてた時代が違うから言葉がわからないとか?
でも、着てる服は今の時代と
あまり変わらないと思うんだけどなぁ)


パッチ「そうだ、捨ててこよう!
    そしたら、誰かしらない人が可哀想に思って
    拾ってくれるかもよ?」

ジャンク「お前、サイテー!
     ソレ、人間として最低だぞ、パッチ」


パッチ「じゃ、どーしろってんだよ」


ジャンク「だから、それをお前が決めろって言ってるんだよ」
パッチ「だから捨てるって」
ジャンク「お前なぁ・・・」

シルバ「子供かぁ〜、いいなぁ〜
    僕もいつかジェミーと・・・・・」



「僕、いつまでおあずけされるんだろう・・・・」








翌日



パッチ「・・・・・わかったか?
    良さそうな人がいたら、その人に付いて行くんだぞ?」

パッチ「おいおい、そんな顔するなよ・・・
    大丈夫だって、俺なんかより
    ずっと良い人に出会えるからさ!」


カセリン「パパ・・・」

パッチ「そうそう、そんな感じで付いて行くんだぞ?
    女の人は『ママ』って言うんだ、わかったな?」



パッチ「じゃあな、俺には付いて来るんじゃねぇぞ!」

カセリン「・・・・・パパ」




カセリン「・・・・・・」

カセリン「パパァ〜・・・・・」



パッチ「・・・・・・・」

パッチ「・・・・・ダメダメ、うちじゃ飼えねぇんだから!」



カセリン「うっ・・・・うぅ〜・・・」

カセリン「パパ・・・パパァ〜・・・うえっ」


パッチ(おいおいおい〜、そんな泣くなよぉ〜
   俺が悪い事してるみたいだろ〜?)

パッチ(絶対振り向くなよ、俺!
    振り向いたら終わりだぞ!!)




カセリン「うっ・・・うぅ〜・・・」

カセリン「うえ〜んっ、うえっ・・・うっうっ・・・ぐす」




パッチ「・・・・・泣いたって無駄だ!
    俺は子供なんて育てられないんだよ・・・!」

パッチ「しかも小学生だぞ?
    まだ俺21歳だし、ムリムリ!」




パッチ「・・・・・・・」

パッチ「・・・・・・・・・・・」





パッチ「おーい、カセリーン!」


カセリン「パパ・・・」

パッチ「カセリン、来いよ!」




カセリン「パパ!パパァ!」

パッチ「おいおい、何泣いてんだよ」



カセリン「うぅ・・・・・うわーん!」

パッチ「よしよし!」


(まぁ、しょうがねぇよな・・・)



カセリン「うっ・・・うっ・・・」

パッチ「あ〜も〜鼻水垂らしてんじゃねぇよ、
    女の子なのにバッチィ奴だなぁ〜」




パッチは、このままこの少女を育ててしまったら
歴史が変わるかもと心配していたのだ


彼女の生きる場所はここではない、
彼女の帰る場所は過去しかないのだ・・・


しかし、過去へ帰すコトができないのは
パッチが一番よくわかっていた
そしてパッチの心はまだ、
この少女を育てる事に決心がつかなかったのだ・・・・・


だが、来てしまったのだから仕方がない


こうして男三人の中に、少女が加わる事になったのである。