第7話「たかりパッチ」


前回、公園で一夜を過ごしたギルバートは、

誰か来た時のために、公園のベンチにイタズラを仕掛けるのだった。


「グヒヒヒ・・・・」






「あー、腹減った・・・・」

「昨晩のトマト一個だけじゃ足りねーよなぁ・・・」




「リンゴ〜〜〜リンゴ〜〜ォ♪空駆け〜〜るリンゴ〜〜〜」

「ちゃんとした料理食いてぇけど、ちょっとした食いモン
あるだけでも、やっぱ違うな・・・」





「ん?」





「なんだ、この穴・・・・?」

「人一人入れそうな穴だな」





「どこに繋がってんだろ、気になる・・・・」

「降りてみるか・・・?」







「まぁいいや今度で」

「今はメシだな」




ギルバートは謎の穴の存在より、
今は食べる事にしか興味はなかった。





モグモグ・・・・

「か〜〜、マジうめぇ〜!」




食べれる事のありがたさを実感するギルバートだった。
















その頃、パッチの家では

再びパッチは新たなロボットを造ろうと
発明に励んでいた。



カンカンカン

「バフバフ(ダンナ、また発明に勤しんで・・・・
少しはお嬢に構ってあげてくれんかのぅ)」






その時、二体目のモンスターが完成した

「私はロサリンダよ。よろしくね、ダディ」


「ダ、ダディ!?」




「あら、ダディったら、私のタイプだわ♪」

「ひえぇ〜」




「ウフフフ♪(世の男はみ〜〜んな私のモノよ♪)」

「変なの造っちゃった・・・・」




パッチの傑作、二体目のモンスター ロサリン

彼女はまさかの、今時のモンスターギャル
そのものであった。(そんなモノいない)
特質「キスの達人」であり、何故この鉄の塊の
かた〜いお口が達人の域にまで達したのかは
誰もしらない・・・・(汗)





「パパ・・・」

「お〜カセリン、見てくれよ〜〜」




「パパ、また造ったの?」
「おう、妹造ってやるって言っただろ」

「パパ、もういい加減にしてよ〜〜」




「は?何をだよ」

「あたし妹なんていらない!ティムも・・・・
パパさえ居ればいいのに・・・・」


「な、なんでだよ?家族多い方が楽しいじゃん」

「あたしはパパとフィニーだけでいい!
それに、パパ・・・そのロボット造るのに
一体いくら使ったと思ってんの?」




「生活するだけでもキツキツなのに、
発明のために、電気代も水道代も払えてないんだよ?」

「家賃だって滞納してて、大家さんに払えないんじゃ
出てってもらうしかないって言われてるのに・・・」


「そ、そうだったっけ?
あれ?ティム発明した時に市長から金貰わなかったっけ?」

「そんなの、パパが全部発明に注ぎ込んじゃったでしょ!」


「マ、マジ・・・?」



「お前なんでもっと早く言わないんだよ〜」

「言っても聞いてくれなかったのはパパじゃん」




「えぇぇ〜〜・・・・、
いつの間にそこまでピンチになってたんだ?
つか、この家出てくのかよ〜〜・・・・」

「パパが悪いんだからね!
ティムなんか、良いロボットなせいで
どこかに寄付してるみたいだし・・・・・」



「あと一か月は居ていいって言われてるから、
ソレ分解して売れば?あたし、もう知らないから〜〜〜」ダッ

「あ、おいカセリン!」




「パパなんかキライ!
あたしの事は全然構ってくれないのに、
なんでアイツラばっかり・・・!」

「・・・・やっぱり、
あたしがパパの本当の子供じゃないからなんだ!」





カセリンは子供の頃、タイムマシンで現代に現れた
過去の人間であり、記憶を失いパッチを父と思いこんでいた。


そして、パッチに一回捨てられそうになったが、
今は家族として一緒に暮らしている。





ケルベロス15「子供は突然に(前編)」参照









「バウバウ!(この、お嬢を泣かせたな!?)」

「な、なによ、この犬!」




「バフン(こんな事しちゃるもんね〜♪)」ジョジョジョ〜〜

「ぎゃあ!なんて事すんのよ!!」



「(ウシシシ)」

「ひぎゃああぁぁ」バチバチバチ




プシュウウゥゥゥ

サリンダはフィニーからの洗礼を受け、
びしょびしょになり、ショートを起こした。。




「(フ、ざまぁないのぅ・・・シシシ)」







「くそ、マジかよ・・・・
聞いてねーぞ、俺は〜〜〜」

パッチはカセリンからの衝撃の告白を受け、
今がどんなに苦しい状況か思い知ったのだった。



しかし、パッチはふと気づいた。

「まてよ・・・、
そういえば、この間地下の洞窟で宝石手に入れたな。
それ売れば、金になるんじゃね?」




「よし!もっと探して、高く売れそうな宝石を発掘してこよう!」

「そうすりゃ、この家から出て行かなくても良くなるはずだ!」





ゴソゴソ・・・・

「待ってろよ、カセリン。
すーーぐ稼いできてやっからな〜〜!
あ〜〜、またドワーフに会ったらどーーしよ♪」











数時間後、




家ではなく、別の場所に出たパッチ

「よっこらせ・・・・」



「あーーー、まさか巨大なダンゴムシに追いかけられるとは・・・」

「おかげで何も手に入らなかったじゃねぇかよ・・・」




「はぁ・・・、どーしよ・・・・
そろそろ電気も水道も止められそうだしな・・・」

「やっぱあの家出るしかないのかね〜・・・」




「・・・・・・・・、
・・・・・今、あの穴から出てきたよな?」

「なにモンだ?地底人とかじゃねぇだろうな?」




「おーい、そこの少年。
なんか食いモン持ってねーかな?」

「は?食いモンなんか、そこら中にあんだろ」




「そーじゃねぇんだよ、
食いモンだってば(食うモンじゃなくてさ〜)」

「(なんだ、コイツ・・・
そこらにあるの見えねぇのか?)」





「なー、マジで頼むよ。
俺んち今、メシ買う余裕もなくてさ〜〜」

「ステーキとは言わねぇ、そこの横っちょにあるニンジンとかでもいんだ」


「は?」





「・・・・悪いけど、食いモンなんか持ってねーよ。
(ッチ、ぜーたくモンが!)」

「それに、持ってたとしてもやんねーし」




「(地底人め、何言ってんのかわかんねーっての!)」

「(それとも、地底人の食べ物って人間のとは違うのかな・・・
それなら納得・・・)」







「ッチ、あのガキ・・・・
この俺になんつー口の聞き方してやがんだぁ?」

「このドン・パッチ様をしらんとは・・・
大発明で名を馳せた、このドン・パッチ様をしらんだとぉ〜〜?」





「フン、生意気なガキが・・・!
これでもくらえ!!」

ビビビビビビビ〜〜〜〜〜





「う、お、なんだぁ?
急に眠気が・・・・・」

「身体が動かねぇ・・・
意識が・・・・・」




ガクン

「う・・・力が入んねぇ・・・・」



「ぐはーーーはっはっは、
ざまーみろ、このガキィ〜〜
舐めた口聞く小僧にはお仕置きだべぇ〜〜〜」

「まぁ、急に子供が倒れたわ!」



「くっ・・・・」ムク・・・

「おお?ムリしなくていいんだぜぇ?
眠いんだろぉ?ククク・・・・」




「クソ・・・なんでこんなに眠く・・・」

「そりゃ、この俺様がなぁ〜〜」


「ちょっとアンタ!あたしゃ見てたよ!!」




「っち、なんだよ。今イー所なのによぉ〜〜」

「子供になんてことすんだい!
アンタ、公共物破壊で有名な、あのドン・パッチだろ?
仮にも大発明で市長から表彰された人間が
大人気ない事してんじゃないよ!!情けないったらありゃーしない」




「な、なんだよ・・・
しゃーねぇな、今治してやるよ・・・」ブツブツ

パッチは後ろのオバサンに説教され、
しぶしぶギルバートを治療してあげた。





「たっく、もう!何してくれてんだよ、テメー!!」

「・・・・悪かったよ、腹減ってたんだよ・・・・」


「だからってなぁ!」




「あーもう、わかったよ!
ったく・・・・」

ギルバートは腹が減ったの意味を
すさまじく理解していた。




「ほら、さっき採ったリンゴならくれてやるよ」

「おお、十分十分♪サンキュー」


プルルルル〜〜〜〜




カチャ
「おう、カセリンか・・・」

「・・・・・・(ん、カセリン?)」



「あ〜〜わかってる、もう帰るよ。」

「(・・・・・そういや、どこかで見た気がしてたけど、
あの女追いかけてった家に、居た気がする・・・・)」




「(まさかコイツが父親とか?
マジかよ、さっさとコイツの前から消えとこ・・・)」

「おーい、待てよ少年!」



「な、なんだよ・・・・」

「眠いんだろ?さっきの詫びもかねて、
うちに来いよ」



「は・・・?何言ってんだよ・・・・」

「家、この近くだから来いよ。
もう立ってんのもやっとだろ?
お前の親には俺から連絡しといてやっからさ〜〜」




「い、いいよ・・・
親なんていねぇし・・・・(構うなよ・・・)」

「そうなのか?とにかく来いよ。」



「(・・・・・、こ、コイツの家ってことは
あの女の家だよな・・・・、マズイんじゃね・・・?)」

「(つか、眠い・・・・考えてる場合じゃねぇ・・・
もう意識が・・・・・・・)」




「こっちこっち(よしよし、ついてきてるな)」

「・・・・・・・・」




ギルバートはフラつく足を必死に引きずりながら
無意識にパッチの後について行った・・・・。