第2話「早すぎた青春」


ここはエスリッヂ家

カセリンの彼氏、カルロスくんの家だ。




「カセリンちゃん、何観てんのさ〜」

「ミステリーだよ」



「せっかく来たのに、テレビなんか観てないでさ〜
俺の部屋行かない?」

「う〜ん、今ちょっといいトコだから後でね」



「テレビなんか今度観ればいいじゃん、
今日、両親帰ってくるの遅いんだよ」

「これは今日しか観れないんだよね〜」



「彼氏の家に来るんだから、
録画してくれば良かったじゃないか」

「コレ、いつ終わるのさ」




「何言ってんの、アタシはリアルタイムで観る派なんだよ
録画なんてしないよ」

「あと一時間は観させてよ」




「えぇっ、一時間も待つの?
それじゃあ、親帰ってきちゃうじゃないか〜」

「いいじゃん別に、何か問題でもあるの?」




「い、いや・・・別に・・・・
でも、だって・・・・」

「もしかして、アタシを両親に会わせるのがイヤとか?」



「そうだよね・・・・、
アタシの父親が、世間から疎まれてるドン・パッチだって
知られるのイヤだよね・・・・」

「ゴメン、もっとよく考えてから家に来れば良かったね・・・・
アタシ帰るよ・・・」


「い、いや、違うって・・・・」



「カセリンちゃんのお父さんはスゴイ発明家だよ!
だって世紀の大発明で市長から賞もらったじゃん!!」

「もう世間から疎まれる存在じゃないよ!
結構憧れてる奴もいるぜ?」


「え、本当?」
「本当だよ!」




「良かった・・・・パパ・・・
パパの発明、認められたんだね・・・・ぐす」

「そうだよ・・・
(よし、なんとかソレっぽい雰囲気に持っていけたぞ!
ここで優しく抱きしめて、さりげなくキスするのが
カッコイイ男だって本に書いてあったな・・・)」




「わっ!?何何?」

「え?何って・・・・
いいじゃない、抱きしめるくらいさ・・・・」



「え?なんで・・・?」

「な、なんで・・・?
だって僕、カセリンちゃんの彼氏だよ?」


「そ、そうだけど・・・・
ちょ、ちょっとまって・・・・」

「なんだよ、キスぐらいさせてくれよ。
早くしないと親帰ってきちゃうだろ〜」


「キ、キス・・・!?」






「・・・・なんか・・・ヤダ・・・・」

「ヤダって・・・・
だって今日そのために家に呼んだのに・・・・」



「ゴ、ゴメン!!
やっぱもう帰る!!」ダッ

「あ・・・」






「・・・・・・」

「なんだよ、僕とキスするのがそんなに嫌なのかよ・・・」





「はぁ〜・・・・
なんだよ・・・・」

「結局、一回もキスできなかったな・・・・」









カルロスの家から飛び出したカセリンは・・・・





「あ〜、ビックリした・・・・」





「まさかカルロスくんが、あんな事するなんて・・・・」

「付き合ってって言われたから、付き合ってたけど・・・」




「彼氏って・・・・あーゆうモンなのかな・・・・」

「・・・・よく、わからないな・・・・・・」













「・・・・・・・・」




「はぁ〜・・・・・」

「ミステリーの続き、観たかったな・・・・・」






















「お〜い、まだかよ〜〜〜〜」




「ちょっと待てって、
いい女がいねぇんだよ」

「んな事いって、さっきからハズしてんじゃねぇかよ」



「っち、そんならお前がやれっての・・・・・」

「あ?なんか言ったかケース?」


「なんでもねーよ!」










「はぁ・・・・、なんか家に帰る気分じゃないな〜」




「こんな時間に帰ったら、パパはいいけど、
ティムがガミガミうるさいんだよな〜」

「ついこないだ生み出されたのに、
もう兄貴づらしちゃってさ・・・・」



「もうちょっと散歩してから帰ろ・・・・」











「おっ」







「アレ、合格じゃねぇ?
つか、合格だよな?」

「おーいスーリ、聞いてんのかよ?」


「・・・・でさ〜、したらアイツがよ〜・・・・」








「よぉ、ねーちゃん」

「一人?俺らと遊ばねぇ?」




「おっ!ケースの奴、誰かに声かけてんぞ」

「今度はアタリだろうな?」



「またハズレじゃねぇの?」

「いえてる、ウヒャウヒャ」




「なぁ、メシ食いにいかね〜?
オレ、腹減っちまってさ〜〜」

「ア、アタシはいいや・・・・」



「え〜、いいじゃんいいじゃん。
オレ、肉が食いてーんだよ〜」
「はぁ・・・」

「ダダこねたガキか」
「ウヒャヒャ、これじゃあ一生食えねーなー」



「あ、アタシもう帰らなきゃいけないから・・・・
(なんかゾロゾロ来たよ、怖い・・・)」

「いいじゃん、肉付き合えよ〜」



「なぁ、ねーちゃん。名前なんてーの?」

「家どこ?もう遅いし、危ねーから俺らが家まで
送ってやるよー」



「い、いいです。
すぐそこだから・・・・」

「あ、そ−なんだ〜
じゃあソコまで付き合うよ」


「そうそう、ソコで肉食おうぜ〜」



「なぁもういいから、さっさと連れてっちまおーぜ?」

「もたもたしてっと、パトカー来ちまうだろーが」


「そ、そうだな」



「や、ヤダッ!」ダッ

「おっ、逃げやがった!」


「まてコラー」



「俺から逃げられっと思うなよ?
こっち来い!」

「いたっ、ヤダ・・・やめて!」



「うるせーな!」バシッ

「きゃっ」


「あ・・・」



「なにすんのよ!殴るなんてヒドイじゃない!!」パンッ

「あいてっ」


「うわ・・・、ギルバートを殴った・・・・」

「テ、テメ・・・このアマ・・・」


「なによ、そっちが先に手ェ出したんでしょ!!」



「もう許さねぇ!!」ガバッ

「わっ、ちょっと!」



「この!おとなしくしろって」
「いたっ、ちょっと髪ひっぱらないでよ」

「わ〜、顔はヤメたげて〜」
「ウハハ、おいギルバート!
ヒドイ奴だなー、女の子になんて事を〜〜」





「もうサイテー!!」ダッ

「逃がすかよ!!
まてコラッ」





「おいスーリ、どーすんだよ。
ギルバートの奴、追いかけてっちまったぞ?」

「あの女はもーダメだな」



「あーあ、アイツに火ィつけちまった・・・・」

「結構カワイかったのにな〜」













「クソッ、逃がした・・・・・」

「なんて速さだよ、アイツ・・・」



カセリンは、父が発明家で町の人から嫌われていたせいで、
いじめられた事もあってか、普段から体を鍛えていた。



「覚えてろ、あの女!」

「顔は覚えたからな・・・!!」














とある家、







「どこ行ってたのよ・・・」

「悪い、ちょっとダチと遊んでた・・・」



「ふ〜ん、まぁいいわ。
ベット使うなら使いなさいよ。あたし、もう行くわ」

「あぁ・・・」



「出る時、鍵閉めてってよね」

「わかってるって」



「ZZzzz・・・」