第十七話「女王様と下僕」

ダイエットのため、毎日ジョギングをするようになったプレジャ

この間、美術館でとんでもない奴と会ってしまったため、
今日は気分を変えて、ビーチまで行こうとしていた。




しかし、その近くに来ていた"とんでもない奴"=チョウ。

「ん?」





「何やってんだ、アイツ・・・・」

「もしかしてジョギングか?」






「そういや、最初に見た時より体型が・・・・」

「もしやダイエット中・・・・・?」











〜〜〜 ビーチ 〜〜〜




「はぁ〜、海の風が気持ちいい〜♪」

「最高の気分だわ〜!今日は嫌な奴に会いませんように〜・・・・」







「おーい!何してんだ〜」

「(この間、追いかけられたからな〜
ちょっとからかってやるか)」






「・・・・・・会いませんように〜・・・・」







「おーい!ってば〜」

「・・・・ボソ・・・会いませんように〜・・・」






「おーい、待てよ〜!
何度も呼んでんだろ〜」

「・・・・なんで、また・・・・」










「おい、聞いてんのかよ〜」

「なによ、私は今忙しいのよ!」




「そうだよなぁ〜、いや〜スマンスマン。」

「いやさ〜、最初見た時より
ずいぶんと体型が変化したように見えたから、
気になっちゃって気になっちゃって・・・・」




「ちょっと確かめさせてくんない?
ちょっとでいいんだよ、ちょっとで・・・」
「な、なに・・・・」

「ちょっと腹をつまませてくれるだけでいいんだよ。
こうやってさ・・・」


「ひぃ〜〜!」




「こ、こんのやろ〜!
私が太ったって言いたいんでしょ!」

「わかってるわよ!だからこうして走ってるんでしょーが!」



「いや〜、そんな太ったなんて・・・・・やだなぁ〜」

「僕はあなたが、頭に花を咲かせちゃってるもんだから、
頭がどーにかなっちゃったんじゃないかと心配したんですよぉ〜」



「はぁ〜?何言ってんのよ、失礼ね!
この髪飾りはアンタ達に会う前からずっと付けてたっての!」

「あーそうでした、そーでした」
「なんなの、アンタ。私をからかいに来たの!?」



「やだなぁ、そんなワケないじゃないっスか〜」

「やめなさいよ、その喋り方!ムカツクッ!」




「大体ねぇ、アンタからまだ慰謝料もらってないんだからね!
気安く話しかけないでちょうだい!!」

「それにまだあの時の事、許したわけじゃないのよ!?」



「だーから、俺のせいじゃないって言ってんじゃん」

「アンタも共犯でしょ!!」



「やっぱりまだ自分たちが何をしたか理解してないようね、
いいわ、警察に行きましょ!」

「わかったわかった、悪かったって!!」



「謝ります!謝りますから・・・・」
「信用できないわ!」

「俺が・・・いや、俺達が悪かった!反省してます!
もう二度としません!!」


「本当に?」



「あぁ!」

「・・・・だからさ、慰謝料とか許してくれよ」
「それはダメ!」



「な、なぁんでだよ〜〜〜」

「フフン、この世は金なの。
人様に迷惑かけたんなら、それ相応の物が必要なのよ」



「それ相応って・・・・」

「じゃあ、俺がお前の言う事なんでも聞いてやるから、
金関係は勘弁してくれよ・・・」




「あらーん、それって私の下僕になるって事かしら?」

「素敵じゃない。なんでも女王様の望みを叶えてくれるって事でしょ?」







「(こ、コワッ・・・・)」

「いいわ、慰謝料はアンタの身体ね!
アンタの身は私が預かってあげる。」


「(やべぇ、マジっぽい・・・・)」






「や、やっぱ考えさせてくれ!!」ダッ






「ちょ・・・!ちょっと待ちなさいよ!!」

「なによ!自分の言った事覆す気!?」



「やっぱ自分の言った言葉には責任ってのが必要だよな・・・・」

「こりゃ、メンドーな事になりそうだ・・・・・」




「こら〜〜〜〜〜!待ちなさい!!往生際が悪いわよ!!」

「ひぇ〜〜〜〜」















〜〜〜 夕方 〜〜〜




プレジャはそのままチョウを追いかけ、スポーツクラブまで追いかけて行った。




「こんな所まで走らせて・・・・はぁはぁ」

「勝手についてきたんだろ・・・・」





「な、なんか飲み物ちょうだい・・・はぁはぁ」

「ふぅ〜・・・今作るよ・・・・」




「こ・・・これが最初の女王様の命令よ・・・!」

「息切らしながら言ってんなよ・・・」






「ビーチからここまで全力疾走したのよ、
さすがにちょっと痩せたんじゃない?」

「そんなすぐ痩せねぇよ」








そんな時、一人の男が飲み物をもらおうと近寄ってきた。

「ふぅ〜、俺にも飲み物くれ」



「いいわよ!」

「サンキュ〜♪(お、結構カワイイじゃねぇか)」



「(俺のタイプだ・・・・)」

「あ〜、美味しい!」



「なぁ、君!」

「え・・・は、はい」



「なぁ、あっちで俺と踊ろうぜ!」

「え・・・・、いえ、遠慮します。」



「あ〜ダメダメ、解ってないなぁ〜
俺に誘われるのは光栄な事なんだぜ?」

「はぁ?」
「だってほら、君のその体型で誘うのは俺くらいのモンだろ?
だから、断ったりしちゃダメなんだよ〜、わかる?」








「ふんがぁぁぁぁぁっ!!」

「うおぉぉっ!な、何するんだ」



「何すんだじゃないわよ!!
どーせ太ってるわよ!!どいつもこいつもうるさいったら!!」

「わー、違う違う!俺はぽっちゃりが好きなんだって!!
太ってるなんて言ってないぞ!!」


「同じ事でしょ!!」




「まぁまぁ、落ち着いて考えてみてよ。
こんな事滅多にないんだぜ?」

「俺がレッスンしてあげるよ!」
「いらない」
「ほら、だからダメだって言ってるだろ?」



「じゃあ、行こうか」

「(な、なんなのこの人・・・・)」





「うるっせぇな!行かないって言ってんだろ!!」

「さっきから横で耳障りなんだよ!!


「な・・・」



「んだと、クラァッ!なんだ、テメーはっ!!
俺が誰だかわかってんのか!?」

「しるか!」



「あ、アンタ・・・」

「くっ・・・、テメェ俺の事しらねぇだと?」
「しらねぇよ、あんな胸くそ悪いナンパするような奴!」





「テメェこの、ガキが!生意気言ってんじゃねぇ!!」バシッ

「う・・・!」



「きゃあっ!何すんのよ!!」

「生意気なガキをしつけてやってんだ!」



「おら、どうした?かかってこねぇのか?」

「くっ・・・・」



「おらっ!」バキッ


「ちょっと、やめて!」

「なんだコイツ、口だけか!?」



「俺に盾突いたらこうなんだよ!わかったかっ!!」








「やめなさい!!」ビタンッ

「あぐっ!」




「て、てんめぇ〜〜〜よくも・・・・・
お、俺が誰か知って・・・・」

「しるかっ!!」



「くっ、くっ、クソ〜〜〜!このアマ・・・」

「なによ、まだ殴られたい!?」



「くそっ、覚えてろ〜〜〜!」

「フン!」







「あーもう、さっさと殴っちゃえば良かったわ!」

「大丈夫、あんた?」








「・・・・・あれ?」

「どこ行っちゃったのかしら・・・・」


「ビューティフォーじゃ、お嬢さん」







「・・・・・・」

「やられたの、ショックだったのかなぁ・・・・・」





プレジャはこの時、チョウの名前をしらなかったので
名前を呼ぶ事もできなかった・・・・。
















チョウ達の家








「おいおい、チョウの奴どうした?」

「・・・・それが、顔を腫らして帰ってきたと思ったら、
すぐ寝ちゃったんスよ」




「何っ?
おいチョウ!誰にやられた!?」

「おい、チョウ!!」





「・・・・・・・」