第十五話「四角関係」

母アラセリは、リフリーを乳母車に乗せて散歩をしていた。




「あー」
「どうしたの?リフリーちゃん」

「にーちゃ!」



「あらー、お兄ちゃんね〜」

「にーちゃ、にーちゃ」



「アッサム、こんな所で一人で何してるのよ」

「母さん・・・・と、リフリー」




「アンタ、友達とかいないの?」
「・・・・い、いるよ」

「へぇ〜、どこの誰よ」
「・・・・その辺の奴だよ」



「その辺って誰よ?」
「近所の奴だって」

「あれ、あそこにいるのは・・・・」



「お姉ちゃん、待ってよ〜〜」

「もう、さっさと行っちゃうんだから〜〜」



「って、お姉ちゃんどうしたの?」




「アンタ、ヴァルシオンくんとよく遊んでたじゃない。」

「アイツは1コ上だし、もう卒業しちゃったよ」
「あら、そうなの。もう社会人なのね〜
それじゃあ、アンタだけ残されちゃったわけね」





「あれ、あそこにいるのはこの間あのバカキリーから助けてくれた
アッサムさんじゃなぁ〜〜い!!お姉ちゃん早く!」

「あ、待ってよミスティー



「アッサムさん!」

「ん、誰だ?」



「忘れちゃったの?この間の夜に会ったミスティーだよ♪
この間はありがとう!アイツしつこくて困ってたんだよね〜〜」

「あらアッサム、この娘は?」


「えっと〜〜・・・・」


「アッサムくん、こんにちわ!」
「ネル」

「アッサムくん、この娘が妹のミスティーなんだ。
妹共々、ありがとね!」
「あぁ」


「わぁ〜、もしかしてアッサムさんの妹ですか?かわいい〜♪」



「名前はなんて言うんですか?」
「リフリーよ」

「ごめんね、家族で遊びに来てたなんてしらなくて・・・
邪魔しちゃったかな・・・」
「いや、邪魔じゃないよ」



「アッサムさん、私達も早く子供が欲しいですね〜」
「はぁ?」

「だってカワイイんだもん♪私たちの子共だったら絶対にカワイイと思う!」
「えっ?えっ?えっ?」


「(何かしらこの娘・・・
もしかしてアッサムの彼女?)」



「あなたアッサムのなんなの?そんなに肩出して、足までそんなに出して
公共の場で子供が欲しいですって?アッサムの母親の前でよくもそんな事が言えるわね!なんて破廉恥な子なの」

「(か、母さん・・・そこまで言わなくても・・・・)」


「(ミ、ミスティー耐えるのよ?怒っちゃダメ〜!)




「あ、あ、アッサムくん、こ、この間のお礼とかしたいんだけど・・・」
「あ、あぁ、お礼ね〜・・・・」

「(な、何このおばさん・・・・
破廉恥ってアタシの事?)」




そんな険悪な雰囲気の中、外から見ていた男がいた。




「アッサムさん、アタシもこの間のお礼したいな♪」
「あ、うん・・・」

「(一体、アッサムの本命はどっちなの?)



「今度、二人っきりでデートしてくれませんか?」
「え〜〜・・・(めんどくせ〜〜〜)」

「アッサムくん、今度勉強みてあげるよ」
「え〜〜・・・(それもやだな〜〜〜)」


「(このアバズレはありえないわね・・・
とすると、こっちのショートヘアの娘だわ!)」





「・・・・また女の子と喋ってる・・・」

「しかも増えてる・・・・」





「これからでもいいよ♪ねぇ、デートしようよ!」
「あ、あ〜〜・・・・」

「・・・・・(やっぱりアッサムくんもミスティーの方がいいよね)



「(アッサムもはっきりしないわね〜・・・)」

「(こりゃ心配するまでもないわ、速攻で振られるでしょ)」



「あら?」

ヴァルシオンくん・・・・?」



「そういえば、リルがおかしな事を言ってたわね・・・
アッサムが男とデキてるとか・・・・」

「なんで今思い出したのかしら・・・・」


「・・・・・・・・」





「あっ!」




「あ・・・・」




「う・・・・」











「ね、デートしよ?」

「(ウフフ、キスしちゃえば男なんてイチコロなんだから♪)」






「ミ、ミスティー・・・・」





ザアァァーーーー

「あのアマ・・・・」



「・・・ボソ・・・ミスティー・・・・、そこどいて」

「え・・・?お姉ちゃん、なんか言った?」



「あのアマ〜、ゆるせねぇ〜!思い知らせてやるっ」

「そこどけ・・・・ボソ・・・」
「え?なぁに?」






「そこどけって言ってんのよっ!!」バシンッ

「きゃあっ」





「え・・・、な、なんだ?」

ネルがぶち切れし、ミスティーを引っ叩いた瞬間
アッサムは何が起きたかわからなかった・・・。





「な、何すんのよ・・・お姉ちゃん・・・」

「何すんのじゃないよ!アンタこそ何してんのっ!!」



「な、何って・・・・
アタシはただデートしてほしくて・・・・」

「何がデートよ!ミスティーなんてキライだよ!!」
「な、何よ!」




ミスティーのバカ!
ミスティーがこんな事するとは思わなかった!!」

「なんでお姉ちゃん、怒ってるの?
アタシ、そんなに悪いこと・・・・・」



「あっ!わかった、お姉ちゃん嫉妬してるんでしょ!」

「な、何言ってんのよ・・・」
「だってそうじゃない!アッサムさんに手ェ出したから怒ってるんでしょ!!」
「ミスティー!」



「アッサムさんはお姉ちゃんだけのモノじゃないんだから!」
「ミスティーやめてよ!」

「お姉ちゃんはいつもそう、いつもアタシに遠慮して・・・
ううん、違う!お姉ちゃんはただ怖いだけなのよ!!
自分に自信がないから、そうやって自分の気持ちを隠すの!!」


「ミスティー!!」





「お、お、おーーい・・・・・テメーら〜〜〜・・・・・」




「ミスティーのバカッ!大っキライ!!」ダッ
「あ・・・・」



「お、お姉ちゃん・・・・」

「どうしよう、あんな事言うつもりなんて・・・・」



「(え、えっと〜・・・・何がなにやら・・・・)」

アッサムはミスティーの突然のキスによって、
一部の記憶を失っていた・・・・。








「うわぁぁ〜〜〜〜、
アッサムぅ〜〜〜〜!!!!」


「うわっ、先輩なんでここに・・・!」


「なんかわかんないけど、何かを失ったようなんだ!!
こんな俺を助けてくれ〜〜〜〜!!」


「何言ってんだかわかんないよ、先輩・・・・」



「それもこれも、この女のせいだ!!
やい、テメー!このアバズレ〜〜!!」

「な、何!?」



「よくも俺のアッサムにベロチューかましてくれやがったなっ!!」

「人の恋人に手ェ出すなんてフテェ野郎だ!!」



「えっ・・・・・えぇ!?こ、恋人ぉ!?
何言ってんの、この人〜〜〜!!」

「何って、ホントの事言ってんだよ。
俺たちゃ、AもCもBまでイっちゃってんだぞ、コノヤロ〜〜〜〜〜!」


「えぇ!?この人、アッサムさんのなんなの!?」


「・・・・・・(俺もう帰ろっかな・・・・)」




「えっ?えぇ??ホントなの!?」

「否定しないってコトはそうゆうコトなんだよ・・・・」


「えっ、えぇ〜〜〜〜!!そんなぁ〜〜〜!!」




「悪いけどアイツの事は諦めてくれ」

「・・・・・・・・・」





「なによ、なによ・・・・・・」

「まったく・・・・もう、なんなのよ!」




「アタシのキス、返してよ・・・・」



ミスティーの恋は、こうして終わった・・・・。