第九話「元カノ、ルーシーの逆襲」

―――赤いランデブー―――



ジェフェリーはテリーとこの店で会う約束をしていた。



「・・・・・ハァ、もし妊娠していたらどうしよう・・・」

そればかりがジェフェリーの頭を悩ませている。


「いやしかし、もし妊娠していなくても責任を取らなくてはなるまい・・・」

「私はどうすれば・・・・・」






そこへテリーが現れた。

「あら、早いわね」



「テリーさん・・・・」

「そんな情けない声で呼ばないでちょうだい。」
「し、しかし・・・」



「そんな心配しなくても、妊娠はしてなかったわよ!
良かったわね〜」

「(そもそも、そんな事していないんだから出来るハズないんだけどね)」




「そうですか・・・・・」

ジェフェリーの頭の中は、妊娠どころの話ではない・・・
テリーに対して、どう責任を取ればいいのか悩んでいたのだった。


「あら、どうしたの?嬉しくないの?妊娠してなかったのよ?」

「(なによ、せっかく少し良心が痛むからって本当の事話してるのに・・・
何を落ち込んでいるのよ)」








「・・・・・テリーさん。」

「は、はい・・・」



「私はテリーさんに対して、とても失礼な事をしてしまいました。
それに対して、責任を取らねばならないと思っているのです。」

「・・・・・・ん、んん?責任?」


「はい、だから・・・・・」







その時、いきなり苦しみを訴える人がいた。


「うっ・・・・!」
「・・・・ん?ちょっと失礼」

「責任を取るって・・・・まさか・・・・」




「く、苦しい・・・・」

「た、助けてアナタァァ〜〜」




ジェフェリーはテリーをそっちのけで
患者さんの診察をし始めたのだった。

「う〜ん、これは・・・・・」
「ど、どうなの?どこが悪いの?」















数日後、






ジェフェリーから連絡があり、今日会う事になったテリー。
会う事が楽しみなのか、鼻歌まじりで絵を描いていた。

「フンフ〜ン♪」



「ウフフ♪ラララ〜〜〜〜・・・・ムフムフ♪」

「・・・・・・・・・」


無言で遊ぶアッサム



「・・・ボソ・・・なんか気持ち悪いなぁ・・・・」

「フフフ〜〜〜〜ン♪ラ〜〜ラ〜〜ラ〜〜〜ン♪」









その頃のジェフェリー

「やはりケジメはつけないといけないよな、ライネルくん」


「ムニャムニャ」











そして、呼び出された庭園へ




「なんでこんな所に・・・・」



ジェフェリーは鐘の前でテリーを待っていた。




「よりによって、なんで庭園に呼び出すのかしら・・・・」

「アタシ、花とか綺麗だと思うものって苦手なのよね。」








「お待たせ。」

「テリーさん・・・」



「あの事はこの間の話でもう終わったハズよね、
今日はどうしてアタシを呼んだの?」

「はい・・・・、妊娠はしていませんでしたが
実は言わないといけない事がありまして・・・・」



「言わないといけない事?」

「(責任がなんだとか言ってたヤツかしら・・・・
もしかして嘘がバレた?まさかアタシに責任取れって事・・・・?)」









「実は・・・・・・結婚してください!!」

「え・・・・・え?」






「あ、あら?どうゆう事かしら・・・
ま、まさかホントに・・・・!」

「(ちょ、本気で言ってんの?後で嘘でしたとか言わないよねコレぇ?)



「テリーさん、あんな出会いでしたが僕の気持ちは本物です。」

「え、えぇ・・・・(まさかホントに上手くいくとは・・・・
いいのかな・・・コレ受け取っても・・・・)」



「(ま、いいや!今はもらっちゃえっ!!
後でどーなってもいいや♪)

「これでアタシもゴールインよ!!」





「ありがとう、喜んでアナタと結婚するわ!」

「テリーさん!!」




「(うふふ♪これでようやく母さんにガミガミ言われなくて済むわ!)」

「うふふ、楽勝♪」











テリーがジェフェリーの腰をグイッと引き寄せる

「あっ・・・」


「ちょ、ちょっと・・・・」

「うふふ、何照れてんのよ」
「い、いえ、その・・・・・」



「あ・・・し、舌は入れないでくださいっ」

「な〜に言ってんのよ、ほらっ、入れなさいよ」
「ひ、ひぃっ」


「や、やめてください!僕はまだ・・・・」

「フッ、甘いわね・・・・」


「アタシと結婚したら、こうゆう事しょちゅうするんだっての」

「ひぃ〜」



















「・・・・・父さん、話があるの」

「ん?なんだ?」



「アタシ実はね、結婚する事になったの!!」

「だから、この家出ていくわ!


「何言ってるんだ、テリー。お前頭を打ったんじゃないか?
お前をもらってくれるような男がいるワケないだろ」

「何よ失礼ね!
この間のセレブパーティーで知り合ったセレブの男が、プロポーズしてきたのよ!」



「そうか、あの時は我が娘ながらキレイだと思ったからな・・・
お前の魅力に騙された男がいたかー」

「そうなのよ!
というワケで、アタシ結婚するわ!」


「そうか、上手くやるんだぞ!
ボロを出さないように気をつけるんだぞ!」

「何よ、アタシのどこがいけないわけ?」


ボソ・・・・いろいろ・・・・不潔な所が・・・」



「何よ、いろいろ不潔な所って」

「ちゃんとお風呂入ってるわよ」
















その頃、ジェフェリーの家の前に・・・・

ジェフェリーの元カノ、ルーシーがいた・・・。




「何よ、そんな簡単にアタシを捨てるなんて・・・・」




「ジェフェリーぼうやめ、覚えておきな!」















そして、ジェフェリーの家にテリーが引っ越して来た日




「フフフ、今日からここがアタシの暮らす家ね・・・」

「やっぱりセレブでもウチとは雰囲気がずいぶん違うわね!」


「いかにも金持ちの家って感じだわ・・・・・って、あら、猫だわ!」

「猫ちゃぁ〜ん、どこ行くの〜〜?」








「ん?誰じゃ」




「父さん」

「おぉジェフェリー、もしやあの娘が・・・」



「はい、彼女は僕の婚約者のテリーさんです。」

「ほほぉ、彼女が・・・」



「あっ、お父様ですか!?
わたくしテリーと申します。」

「お、お父様!?う、うむ、いかにもワシはジェフェリーの父じゃ。」


「まぁ、お若いんですのね!
一瞬、お兄様かと思いましたわ!」

「んん?お兄様!?
うほほ、そんな事言われたのは初めてじゃ!」


「うむ、気に入った。
テリーさん、息子を頼んだぞ!」

「まぁお父様、わたくしを娘と認めてくださるの?」


「あぁ、君を義理の娘と認めよう!」

「嬉しい、お父様!(やっぱ血縁ね、チョロイわ!)」











テリーがジェフェリーの父に挨拶をしている頃、
ルーシーが密かに裏口から侵入する


ガチャ

「まぁ不用心ね、泥棒が入ったらどうするのよ」



「ま、そのおかげでこのアタシが入る事ができたんだけどね」







「息子から聞いたぞ、テリーさん家は大家族らしいな!」

「えぇ、六人兄弟でアタシが一番上の姉なんです」


「ほぉ、兄弟が多いとは羨ましいのぉ。
こりゃ孫が楽しみじゃわぃ」
「まぁお父様、気が早いですわ」

「・・・・・・・・・・・」





「(孫ですって?そりゃアタシはもう産めないけど・・・・)」

「(それでも、ジェフェリーさんを愛していたのに・・・ひどいわ!)











「許せないわ!みんなしてアタシをのけ者にして・・・!」



「ここがジェフェリーさんの部屋ね・・・・」








「て、テリーさん、その姿は・・・・・!」

「フフフ、わかってるくせに」



「い、いけません!
私達はまだ結婚前ですよ!」

「いいじゃない」
「いけません!」



「アタシの事嫌い?」

「い、いえ、そうゆう事ではなく・・・・」
「なら、いいじゃない」



「だ、だめです・・・・・んむむ」

「ん〜〜〜〜」





「あ、ちょ、ちょっと!やめてください!
ズボン脱がさないで〜〜〜!!」

「ちょっと手ぇどけなさいよ!」


「・・・・・・・」



ガチャ

ちょっと何してるの!!



離れなさいよ!!




「き、君はルーシー・・・・
何故ここに・・・」

「ジェフェリーさん、ひどいですわ!」


「あんな女と一緒になるために私を振ったの!?」

「ルーシーさん・・・・」


「出てってください!
無断で人の部屋に入るなんて失礼ですよ!!」

「ジェフェリーさん、正直におっしゃって!」



「ちょっと待って、この人がルーシー!?」

「とんだババァじゃないの!!」



「なんですって!?もう一回言ってみな!!」

「な、何よ!」


「これ見よがしに、こんなもの用意しちゃってさ!」

「アタシが用意したんじゃないわよっ!」



「うるさい!アンタなんかこうよ!!」バシンッ

「あいたっ」


「よくもやったわね!このオバンッ!!」

「キィ〜〜〜〜!」




女同士のケンカがおっぱじまったのを余所に
ジェフェリーは朝も早いので、寝だした。

「こんのぉ〜ババぁ〜〜」バシバシッ
「若いモンには負けへん!」



「君たち、お願いだからやめてくれないか!」

「アンタみたいな小娘に、ジェフェリーさんは渡さないわ!」
「ババァはお呼びじゃないのよ!」


「もう帰ってくれ、ルーシー!」

「え・・・!そ、そんなジェフェリーさん・・・・」


「君がこんな女性だとは思わなかった!
もう帰ってくれ!!」

「じ、ジェフェリーさん・・・・
私よりその女を選ぶのね!?」



「ジェフェリーさんなんか嫌いよ!」ダッ

「・・・・・・・・」







「ルーシーさん・・・・」





「ちょっと!あんなのと結婚するつもりだったワケ?」

「は、はい・・・まぁ・・・」


「しかし、やはり私にはアナタだけです」

「う、うん、そうね・・・・」




「(ホントにアタシ・・・この男と結婚して大丈夫かしら・・・)」




「とにかくもう寝ましょ」

「・・・・・・・」



「・・・・・・」


「・・・・・・・」



「もう寝よう」













その頃、ハレー家では・・・・




「なぁ、ダージリン聞いたかよ」

「何アッサム、どうしたの?」



「テリー姉がとうとう結婚すんだって!」

「んで、さっき家出てったみたい」


「え!ホントに!?
やったじゃんアッサム!」

「あぁ、やっとだよ!」


「後はリル姉が嫁に行ってくれれば、一安心だな!」

「そうだね!」


ガチャ


「アンタたちいつまで起きてるの?早く寝なさい!」

「はーい」




テリーの心配を余所に、
アッサムとダージリンはテリー姉が出て行った事に喜んでいた・・・。