第七話「不精者テリー」



大家族であるハレー家、その母親であるアラセリは
毎日洗い物が多くて大変である。

そして、その大家族の長女であるテリーは部屋を散らかしほうだい、
片づけなど全くと言っていいほどしないのだった。



「テリー!少しは部屋を片付けなさいっ!!」
「・・・・・・」カタカタ

「ちょっと、聞いてるの!?パソコンやめなさいっ!!」



「もう、うるさいなぁー!」

「全く、今いくつだと思ってるの・・・
そろそろ片づけくらい自分でしなさいよ!」


「アッサムは?」
「学校よ」

「もう帰ってる頃だと思うけど、あの子に頼ってばっかいないの!」


「この辺の服片づけて、コインランドリーで洗濯してきなさい!」

「自分で行くのよ!?わかったわね!?」





「はぁ〜、めんどくさ・・・」

「ちょっとアッサム〜〜〜?
アッサム帰ってる〜〜〜?」



ガチャ


「なんだよ、テリー姉・・・」



「アンタ、これ持ってついてきな!」

「・・・・・・げ」


「任せたわよ!」

「・・・・・・・」


「げぇ〜マジかよぉ〜」

「ったく、ちゃんと服出しとけばこんな事にならないってのにさぁ〜・・・」


「・・・・・・なんか臭うし・・・」

「コレが姉だと思うと、泣ける・・・」


「何ブツブツ言ってんのよ、早く来なさい!」











コインランドリーにやって来た二人。

「じゃ、アッサム洗っといてね」



「よいしょ・・・」カパッ

「結局、俺が全部やるんだよなぁ〜・・・
わかってたけどさ・・・」


「じゃ、アッサム後は任せたわよ!
アタシ、終わるまで図書館で時間潰してるから」

「あぁ〜・・・・」


「何その不満そうな言い方、すぐ戻ってくるって」

「ゆっくりしてきなよ、終わったら俺帰るから・・・」
「終わる前に帰ってくるわよ!」


「あと、母さんには内緒にしなさいよね!
言ったりしたら・・・わかってるでしょうね」

「アンタが学校サボった事、言うからね」
「・・・・・わかったよ」


「じゃ、すぐ帰ってくるから」

「・・・・・・」


「・・・・・・」



図書館で時間を潰しに来た、テリー

「ちょっと読みたい本があったのよねぇ〜
丁度良かったわ〜!」



その頃のアッサムは・・・・

洗濯物を洗い終わって、乾燥機に入れようとしている所だった



「ふぅ〜、一時間ちょいでいいかな・・・」








一時間半くらい経ち・・・・

「あぁ、いい匂い・・・・」


プルルルル・・・・


ガチャ

「アッサム、終わったぁ〜?」



「あぁ、丁度終わったよ」

「・・・・あぁ、わかった。
すぐ行く。」プッ


「ちょっと腹減ったな・・・」

「そうね、アタシも少し減ってきたわ。
帰りにちょっと食べに行こうか・・・」


「ラッキー♪テリー姉のおごりだよね?」
「そんなワケないでしょ」

「チェ・・・」













「あぁ〜食った食った・・・」



「ったく、何よ失礼な店員ね。
アタシの事ジロジロ見てさ・・・」

「(そりゃ、あんな大きくゲップしたら誰でも見るって・・・)」



「アンタがこんな所で食べたいって言ったせいよ!
おかげで害虫を見るような目で見られたじゃない!!」

「えぇ!俺のせいかよっ」



「そうよ!もう絶対こんな所で食べないからっ」

「ていうか、なんでアタシがアンタと一緒に食べなきゃならないのよ!
一人で行きなさいよね!!」


「なんだよ!ちょっと食べに行こうかって言ったのはテリー姉だぞ!」

「しらないわよ!アンタが腹減ったとか言うからでしょっ!!」


「な、なんだよ!もうゼッテー呼ばれたって
行かないからな!」



「フン、アンタなんかお呼びじゃないのよ!」
「んなっ!呼んだくせにー!」

「さっきから聞いてれば、なんだね君は!!」



テリーのアッサムに対する態度に、怒りを覚えた男がいた。
その名は、ジェフェリー ビジン



「な、何よアンタ・・・」

「ちょっと君、わがまま過ぎるぞ!
この子は君の為に一緒に来てくれたんじゃないのか!?」


「アンタには関係ないでしょ!」



「いいや、関係ある!!
私は悟ったのだ!
姉という魔の手から、この少年を救うという神の啓示を、今、受けたのだ!!」

「故に、私はこの横暴な女性からこの少年を救ってみせるぞ!」


「だから君、この女性に何かされたら私に言いなさい」

「・・・・えっとぉ〜・・・・(なんだこの人・・・)」


「(なんなのコイツ、わけわかんない・・・)」




「もうなんなのよ、アンタには関係ないって言ってるでしょ!」

「いいや、私はこの使命を全うしてみせるぞ!」


「はぁ〜?」


「・・・・・・・・」



ジェフェリーは、アッサムを助ける事が自分の使命だと思い込み
テリーに対して、怒りをあらわにしていた



「な、なんなのこいつホント・・・・ムカツクわ・・・!」

「(あ〜〜、俺もう帰りたい・・・・)」




「こらこら、ちょっと・・・」

そこへ、アッサムの自称彼氏のヴァルシオンが登場した。



「(プププッ、なんか見てたら面白い事になってるじゃないか・・・!)」




「ちょっとアンタ、待ちなよ!」
「ん?なんだね君は・・・」

「あ、ヴァルシオン先輩」



「アンタ、さっきから聞いてれば人の恋人に
何勝手に手ェ出してんだ!?」

「・・・・・・、はぁ?」



「な、なな何を言ってるんだね・・・
私は・・・え?恋人?」

「そうだ!アッサムは俺が守ってやるんだ!!
他の男がしゃしゃり出てくるんじゃなぁ〜〜〜い!!」




「・・・・・・・、あ、あの・・・先輩・・・・」

「ほっときなさいよ、
めんどくいさ奴にはめんどくさい奴に任せるのがいいわよ・・・」



「き、君は何を言ってるんだね・・・
君は男だろ?いや、男だよな?この子も・・・男だよな?
え・・・どうゆう事????」

「まぁまぁ待ちなさい。
君みたいな頭の固そうな人には理解できないかもしれないが、
僕たちは愛し合っているのだよ。」



「よって、ポッと出の君に
このアッサムくんを救う権利はないのだ、わかるかね?」

「い、いや、私は決して愛し合うとかそうゆう事では・・・・」


「あ・・・先輩・・・・」


「だからほっときなさいってば、
それよりもう帰りましょうよ・・・アタシ眠くなっちゃったわ・・・」







「しょうがない、ほっといて帰るか・・・」
「はぁ、余計な手間くったわね・・・」

「・・・わかったらアッサムから手を引きたまえ」
「むぅ、君が彼の恋人である事はわかったが
彼女から彼を救うというのは私に課せられた使命なのだよ」



「むぅ、全く話のわからない人だな・・・
アッサム、君からも言ってくれ。僕たちの愛を・・・・」

「・・・・・・・・」



「いない・・・・・・・」

「君は一体何者なんだね?」












二人を残して、家に帰ってきたテリーとアッサム。



「アンタ、アイツと付き合うの考えた方がいいわよ」

「付き合っとらんわ!」


















―――次の日の夜―――





「あれ、父さんと・・・・・・・誰?」



「アタシよ、アタシ!」
「なんだ、テリー姉か」

「どうしたの、その格好・・・・
いつものテリー姉じゃないみたいだ」



「フフフ、これからセレブのパーティーに行くのよ!
じゃ、留守番お願いね!」

「・・・・・、黙ってたらキレイなんだけどな〜」






セレブのパーティーに来た、父アブラムと長女テリー



そこで、この間会ったジェフェリーと再び出会った。



「あらアンタ、この間アッサムに言い寄ってた変態じゃない」

「ん?君は・・・・・・・・」


「フフン、わからないでしょうね。
今日は普段のアタシじゃないものね!」

「・・・・?」




「アタシ、テリーよ。よろしく。
あなたは?」

「ジェフェリー・ビジンです。
よろしく、テリーさん」




「(フフフ、アタシが誰だかわかってないみたいね。)」




「(な、なんて綺麗な人なんだ・・・!
このような女性がこの世に存在していたとは・・・!!
しかし、どこかで会ったような・・・)」

「あの、テリーさん。あなたとどこかでお会いしましたか?」
「いいえ、アタシの見間違いだったみたい。
ごめんなさいね。」


「い、いえ・・・・」




「ところでアナタの職業は何か、聞いてもいいかしら?」

「あ、はい、医者をしております。」



「まぁ、医者ですか!アタシは小説家なんですのよ、ホホホ」

「ほぉ、小説家ですか。どんな物を書いているんですか?」



「そんな事より、ここで会ったのも何かの縁ですよね!
仲良くして下さいね!」

「あ、はい。こちらこそ」


「(フフ、医者なら手ェつけといて損はないかもね)」

















翌日、
ジェフェリーは気づくと、どこかのホテルで寝ていた。

「・・・・ん・・・・」ムクリ







「ここは・・・・どこだ?」

「あれ、なんで私は裸なんだ・・・・」



「・・・・・・・っ!!」

「だ、誰!?」



「な、何故私はこんな所に・・・・・・
このような女性と・・・・・(汗)」






「わ、私は何をしたのだ」


ガチャ

「一体どこなんだ、ここは・・・」



何が起こったかわからず、ジェフェリーは混乱しながら
部屋を出た。




「昨日の事を思い出せない・・・・っ」

「私の身に一体何が・・・・・」






次回に続く・・・