第5話「付き合ってたのは金目当てだった女」



ギルバートは、あんなにしつこく追いかけてきたカセリンが、
何も言わずに悲しそうな顔で去ったというのが気になり、
後を追いかけていた。




しかし、またもや見失ってしまい、

付近の家をうろつく・・・・。




「どこ行ったんだよ、アイツ・・・・」

「もう夜だし、家に帰ったのかな・・・・」












そして、ドン・パッチの家に着いた。



「・・・・ん?この家知ってるぞ」

「有名な発明家の家じゃん」



「・・・・あっ!あれは!!」



「フィ、フィニー!!」





「メシを食う姿もカワイイなぁ〜♪」

「ワゥ?」




「やぁ、フィニー!
ここ、お前の家なのか?」

「クゥン(いつかのにーちゃんじゃないか、
こんな所で何しとるんじゃ?)」




「・・・ん、ちょっと待てよ?」

「フィニーがここに居るってことは・・・・」



ゆっくり家に近付くギルバート





「・・・!」

「やっぱりこの家はアイツの家だったんだ・・・」




「ミテ下サイ、コノ指ヲ・・・行キマスヨ!」

「え、何すんの?」





「・・・・・・」





「・・・・・なにアレ」






「パパ〜、ごはんまだ〜?」

「もうちょっと待てよ、今煮込んでんだからさ〜」


「パパ、煮込み過ぎだよ」

「いーの!」




「あ〜いいなぁ〜
いい匂いするなぁ〜」

「俺も腹減ったなぁ〜・・・」




「それにしても、なんなんだアイツ・・・・?」

「ロボット・・・・だよな、どー見ても・・・」





「家族か・・・・」

「いいな・・・・」






ギルバートは自分の家へ帰ることにした・・・。













ギルバートの家




ガチャ

「ただいま・・・」



「この野郎っ!」バシンッ

「てっ・・・」


「な、何すんだよっ」

「何すんだじゃねぇよ、このカス!」


「見てみろ、このオレの姿をよ?
またイタズラしやがって!!」

「テメーのせいで、ずぶ濡れになっちまっただろーがっ!!」


「反省してんのか、あぁ!?」バシッ

「って・・・」




この男、ロドリゲス・ロップスはギルバートの父親である。

気性が激しく、仕事もしないで毎日飲んだくれている
どーしようもない男である。





「ったくよぉ、次またやりやがったら
マジで捨てんぞ!」

「わ、わかったよ・・・!」



「・・・ッチ、風呂入るから
テメー、床拭いとけよな!」

「・・・・・・」






ゴシゴシ・・・

「・・・・・・・」



「・・・・クソッ」



「クソックソックソッ」

「次はもっとあの面が変形するような
究極のイタズラを仕掛けてやるからな・・・!!」





ギルバートは父親が大っ嫌いだった。

だが、心のどこかで父親に構ってほしいと思っているため、
イタズラという形で行動に表れている事に
本人は気づいていない。




「・・・・はぁ、疲れた・・・」






「・・・・・・」

この家には、一台のベットしかない。





ゴソ・・・

案の定、一台のベットを使うのはこの家の主である
父親のロドリゲスである。
ギルバートは家に置いてもらっているだけの
ただの息子に過ぎなかった・・・。




「いつまでソコに居んだ?
邪魔なんだよ、出て行け!」

「・・・・・」






フッ






「ぐーぐー」






「・・・・・・・」






















翌日



家には、食べ物さえなくお金もないため、
いつもお腹を空かせているギルバート。

「あ〜クソ、腹減ったなぁ〜」



「今日はマシュマロでも食べて、空腹を避けるか・・・」




「そろそろいいかな」



モグ・・・




「・・・・・・マズイ」

ギルバートはあまり甘いものは好きではなかった・・・。




「はぁ、しょーがないか・・・」モグ・・・

空腹過ぎて、好き嫌いを言ってる場合ではなかった。




「はぁ・・・、たまにはまともなモン食いてーなぁ〜」

「・・・ん?」



「あ、あいつは・・・・」

「なんでこんな所に・・・・」




ギルバートがマシュマロを食べている時、
偶然にもカセリンがこの公園にやってきたのだった・・・。





「やべっ、隠れよう・・・」




「クソっ、中々消えねー」ゴソゴソ

「消えろ!早くっ」




ダッ

ギルバートは火を消し、素早く身を隠した。





ギルバートがいた事に気づく事もなく、公園に
入っていくカセリン。



「だはー、間に合った・・・・」

「ったく、なんだってこんな時に来るんだよ・・・」







ゴソゴソ・・・

「お、フィニーじゃないか!」




「やぁフィニー、カワイイな。
主人と一緒に来たのか?」

「クゥン(にーちゃん、やっぱりワシの事・・・・デヘッ)」




「バフッ(にーちゃん、こっちじゃ!)」

フィニーはギルバートを呼んだ。




「・・・・なんだよ?」

「・・・ん?あの女の他に、誰かいる・・・・」







「カルロスくん、この間はごめんね!」

「え・・・」



「あたし、ビックリしちゃって・・・・
ホントにごめん、許して!」

「カセリンちゃん・・・」




カセリンは、この間カルロスのキスを嫌がり、
家を出て行った事がずっと後ろめたく思っていて、
謝ろうと思っていたのだった。




「もういいよ、カセリンちゃんの気持ちはわかったから・・・」

「ホント?」



「良かった!
このままカルロスくんと喋れなくなるかと思ったよ・・・」

「うん・・・・・。」






「・・・・・・」

「本当はさ、カセリンちゃんは僕の事好きじゃないって
わかってたんだ・・・」



「え・・・?」

「そりゃそうだよな・・・、
よく考えたら僕ばっか話してたもんな・・・・・・」


「そんな事は・・・・」






「・・・・・なんだ?別れ話か?」

ギルバートは二人のやり取りを覗いていた。







「だって、カセリンちゃんが僕に聞いてきた事ってさ、
家は金持ちなのかとか、資産はいくらくらいあるんだとか、
お金か僕の父親の仕事に関する話ばかりだったよな?」

「そうだっけ?」



そうだよ!

僕に少しでも興味あったら、僕の趣味とか何が好きか
とか聞いてくるでしょ!」

「そ、そうだね・・・」




「どーせ、うちの金が目当てだったんだろ・・・?」

「うん・・・・・」





「うん・・・って・・・」

「これからカルロスくんの事、
好きになるように頑張る・・・とか、ダメ?」




「ブフッ・・・・」




「な、何言ってんだアイツ・・・・」

「正直過ぎだろ・・・・・ププッ」





ギルバートは必死に笑いをコラえた・・・。






「ごめん、悪いけど・・・・」

「もう君とは付き合えない・・・・」


「カルロスくん・・・・」




「さよなら!」ダッ

カセリンは一人寂しく走っていくカルロスの背中を
見送った・・・。







「・・・ボソ・・・あ〜ぁ、金づるが・・・」

カセリンにとって、カルロスは何の魅力も感じなかったが、
それでも家が金持ちだったから、付き合っていれば
好きになると思っていた・・・。



「だーっはっはっは、振られた振られた〜♪」

「あいつ、アホだな〜」









「だ、誰!?」






「ヤベ・・・・」

「バフッ(あんさん、声でか過ぎでんがな・・・)」





つづく・・・