２５ 愛しき邪悪編

カセリン「ねぇ、ジャンクお兄ちゃん。
　　　　　釣りに行かない？」

ジャンク「あぁ、いいよ！」

カセリン「やったー！じゃあ行こ行こ！」

パッチ（あれ、こいつらいつの間に
　　　　こんなに仲良くなって・・・・・）

パッチ（お父さんはジャンクが息子になるのは
　　　　許さんぞ・・・！
　　　　・・・・なんてな）

ピンポ〜ン

チャイムが鳴って出ると、
米沢田吾作という人物を探している桐生院京子という女性が
パッチの家まで来ていた・・・・・

ポーン（エレベーターの音）

カセリン「あれ・・・・・」

カセリン「こ、この人は・・・・」

ジャンク「行くぞ、カセリン」
カセリン「う、うん・・・・」

カセリン「なんであの人が家に・・・・
　　　　　もしかして、パパに会いに・・・？」

パッチ「いらっしゃい、探し人は見つかった？」

京子「いえ・・・・、都会は人が多くて
　　　中々見つからないわね・・・」

パッチ「探してる人ってどんな人？」

京子「そうね・・・、正義感に溢れていて、
　　　とても優しくて頼りになる人よ」
パッチ「へぇ〜・・・・」

（俺とは正反対って感じだな・・・・）

カセリン「ねぇ、ジャンクお兄ちゃん。
　　　　　さっきの人知ってる？」

ジャンク「さっきの人？」
カセリン「うん、さっきエレベーターですれ違った
　　　　　女の人」

ジャンク「いや、しらないな・・・
　　　　　マンションの住人じゃないと思うけど・・・」
カセリン「そうだね・・・」

カセリン（あの人、なんで家にまで・・・・）

カセリン（パパ、やっぱりあの人の事、好きなのかな〜？）

そして二人は釣りを楽しんだ

カセリン「う〜ん、釣れないな〜〜」

ジャンク「スキル２じゃそんなモンだろ」

カセリン「なにさ、ジャンクお兄ちゃんなんて
　　　　　スキル１じゃんか〜〜」

カセリン「あ、宝箱が釣れた♪
　　　　　なにコレ、ハニワ？」

ジャンク「ノームだろ」

ジャンク「もう暗くなってきたから帰るか」

カセリン「まだヤダ」

ジャンク「あんまり遅くなるとパッチが心配するぞ」

カセリン「大丈夫だよ、ジャンクお兄ちゃんと一緒だから」

ポルトー「デル様、こんな所で何をしているんです？」

デル様「ポルトー・・・、
　　　　いえ、ちょっと・・・ジャンク様と墓場で
　　　　会ってしまったらと思うと、怖くなってしまって・・・
　　　　こんな所に・・・・・」

ポルトー「デル様・・・・」

デル様「もっとロマンチックな場所でお会いしたいのです
　　　　けれど、
　　　　バンパイアの性（さが）なのかもしれませんね・・・・
　　　　暗くて不気味な場所が好きなのは・・・・」

デル様「ワタクシが人間でしたら、もっとすんなり
　　　　会えたのでしょうね・・・・・」

デル様「ワタクシはもう少しここにいます。
　　　　ポルトーは先にお帰りなさい・・・」

ポルトー「はい・・・・、
　　　　　わかりました」

ジャンク「なぁ、もう７時過ぎてるんだけど
　　　　　まだ帰らないのか？」

カセリン「うん・・・、まだもうちょっと・・・」

ジャンク「パッチとケンカでもしたのか？」
カセリン「ううん・・・・」

ジャンク「なら帰ろうよ・・・・
　　　　　パッチも今頃、心配してると思うし」

カセリン「・・・・・・・」

カセリン「帰りたいなら帰ればいいじゃん！」ダッ

ジャンク「あ、おいっ・・・・」

カセリン「あたしはまだ帰らないもん！」

ジャンク「カセリン！」

ポルトー「あ・・・お前・・・・！」

ジャンク「！」

ポルトー「お前、ジャンクとかいう
　　　　　ゴーストハンターじゃないか・・・・」

ポルトー「こんな所にまでデル様を追いかけてくるとは・・・・
　　　　　フン、こんな奴のどこがいいんだか・・・」

ジャンク「何の話だ？」
ポルトー「別に〜」

ジャンク「そういえば、お前はまだ始末してなかったな・・・」
ポルトー「フン、人間のくせに・・・・
　　　　　俺達バンパイアに敵うはずないだろっ！」

ポルトー「それより、お前なんかにデル様は渡さない
　　　　　からなっ！！」

ジャンク「は？」

ポルトー「お前みたいな何の力も持たない人間が、
　　　　　デル様に近付くだけでも許せないんだ！」

ポルトー「俺はずっとデル様を守ってきた！
　　　　　お前なんかに絶対デル様は渡さない！！」

ジャンク「何を言ってるんだ、大体俺は
　　　　　バンパイアなんか嫌いだって言ってるだろ！」

ポルトー「そうやってデル様を傷つける奴は
　　　　　許せないって言ってんだよっ！」

ジャンク「お前には・・・・
　　　　　関係ないだろ・・・！」

ポルトー「あぁ、関係ないよ
　　　　　お前が何をしようと興味もない・・・・
　　　　　だけど、デル様に手を出す奴は容赦しないぞ！」

ポルトー「たとえデル様がお前を好きでも、
　　　　　俺は認めない！！」

そして二人の闘いが始まった・・・

ポルトーが仕掛けようとしたら
先に手を出したのはジャンクだった・・・・

ジャンク「俺はバンパイアの存在自体認めていない！！」

ポルトー「なに〜！デル様だってバンパイアだぞ！
　　　　　それを否定する奴は許さ〜〜〜んッ！！」バキッ

ジャンク「バンパイアはこの世に存在するだけでも
　　　　　おこがましいんだっ！」

ボカッスカッ

ポルトー「あいた〜〜〜」

ジャンク「どーだ、コレでわかっただろッ！」

ポルトー「チクショウ・・・」

ジャンク「わかったらさっさと消えろ！」

ポルトー「クソッ、人間め・・・・あいてて・・・・」

ポルトー「お、覚えてろぉぉぉ〜！」ダーーーーッ

ジャンク「・・・・・・」

ポルトー「クソッ！アイツめ・・・・
　　　　　デル様をたぶらかしやがって〜〜〜〜〜！！」

ポルトー「デル様に指一本でも触れたら、今度こそ
　　　　　けちょんけちょんにしてやるぅぅ〜〜〜〜！！」

二人が闘っている頃、
デル様とカセリンは仲良くお喋りをしていた

カセリン「でさ〜」
デル様「まぁ♪」

ジャンク「・・・・・・」

ジャンク「何やっているんだ、あの二人は・・・・」

デル様「うふふ♪（可愛い子・・・おいしそうね）」

カセリン「アハハ♪（ちょっと怖いけど、キレイなお姉さん
　　　　　だなぁ〜）」

ジャンク「おい、カセリン！」

デル様「あっ！ジャンク様♪」

ジャンク「・・・・・・、
　　　　　カセリン、帰るぞ」

カセリン「ジャンクお兄ちゃん・・・・」

デル様「ジャンク様、お会いしたかったですわ〜♪」

カセリン「え・・・・？」

ジャンク「・・・・・・・」
（なんで・・・・こんな所に・・・・）

カセリン「・・・・・・・」
デル様「〜♪」

カセリン「ふあぁぁ〜、眠くなっちゃったな〜」

カセリン「ジャンクお兄ちゃん、あたし先に帰るね！」

ジャンク「あ、おい、一人じゃ・・・」

カセリン「大丈夫だよ、一人で帰れるから！
　　　　　じゃあね、ジャンクお兄ちゃん」

カセリン（頑張れ、ジャンクお兄ちゃん！）

デル様「ジャンク様、このような所でお会いするとは
　　　　奇遇ですわね♪」

ジャンク「・・・・・・・・」

ジャンク（クソ、シルバめ・・・
　　　　　余計な事を言うから・・・・・・）

ジャンク（俺が、この女に・・・・・・・・・だと・・・？
　　　　　バカな・・・・ありえん・・・）

デル様「あの、ジャンク様・・・
　　　　星を見に行きませんか？」

ジャンク「星？いいけど・・・・」

（って、おいっ！何すんなり受け入れてんだ・・・・）

そして二人は、池のそばで星を見る事にした

ジャンク「よいしょっと・・・」

ジャンク（よいしょっとって・・・・）

ジャンク「あ、おい、足広げんなよ」

デル様「え？」

ジャンク「い、いや、なんでもない・・・・
　　　　　あぁ、星が綺麗だなぁ〜」

デル様「まぁ、ふふ♪」

デル様「えぇ、綺麗ですわね♪」

と、その時デル様がそっとジャンクの手に
自分の手を重ねた・・・・

ジャンク「うっ・・・・」ドキッ

デル様「ジャンク様、あの・・・ワタクシ・・・」

デル様「ジャンク様が、好き・・・ですわ・・・」

ジャンク「・・・・・・」

ジャンク「・・・・・・お、俺は・・・・」

ジャンク「俺は、バンパイアは好きじゃない・・・・」
デル様「えぇ、わかっております」

ジャンク「バンパイアは邪悪で、平気で人を騙す・・・」

ジャンク「そして、人間の血を好み・・・・喰らう魔物だ・・・」

デル様「えぇ、そうですわ・・・・」

ジャンク「俺は、バンパイアは嫌いだ」

デル様「えぇ・・・・・」

ジャンク「邪悪な生き物なんだ、お前も・・・・
　　　　　そんな奴が、好きとか言うな・・・」

デル様「・・・・・・・・」

ジャンク「悪いが、もう帰る・・・」

デル様「あの、ジャンク様」

デル様「ワタクシが人間であれば良いのですよね！」

ジャンク「え？」

デル様「ワタクシが人間になれば、好きでいいんですよね！」

ジャンク「え、えっと・・・・・」

ジャンク（いいのか？人間だったら・・・・）

ジャンク（この女が人間だったら・・・・俺は・・・）

ジャンク（やめた・・・）

ジャンク「帰る・・・、
　　　　　お前も帰れ・・・」

デル様「・・・・・はい・・・」

デル様（ワタクシが人間になれば
　　　　いいんですよね・・・・・）

デル様（ワタクシがバンパイアではなく・・・
　　　　人間だったら・・・・・受け入れてくれますか？）