第一話「姉の彼氏」


「ちょっとアッサム!どこ行くのよ?」


「なんだよ、リル姉」



「なんだよじゃないわよ!あんたこの間、男同士でキスしてたでしょ!」

「やめてよね、外でそうゆう事するの! 恥ずかしいったらありゃしない!
変な噂たったらアンタのせいなんだからね!」


「ムッ!」


「なんだよソレ、リル姉には関係ねーだろ!」

「同じ家に住んでるんだから関係なくないわよ!
いい?次そんなコトしてたら承知しないから!!
まったく、世間様に知られたら白い目で見られるのはあたし達なんだからね!」



「ふざけんなよ!リル姉にそんな事言われる筋合いねーっての!
そんなん見る暇あったら彼氏がなんの特質なのか確認しろよな!」

「なによソレ・・・」




「ねーちゃんの彼氏にカツアゲされたんだってーの!
自分の彼氏がたかり屋だって気づけよなー!?」


「アンタ、嘘言ってんじゃないわよ!」

「こんな嘘付くわけねーだろ!
ねーちゃんの彼氏だからってずぅずぅしいんだよ!
ねーちゃんの責任なんだから俺の金返せよ!
俺の金ぇー!返せ返せ、返せよー!」




「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよ!」

「わかった、わかったってば!」








「・・・・ホントなんでしょうね?」


「ホント」





「・・・・いくら取られたのよ?」


「五千円」

「・・・嘘だったら承知しないわよ?」


「・・・・・・嘘じゃねーし(嘘)」







「二人とも何を騒いでいるんだ?」
ギクッ

「・・・ボソ・・・もぅ、アンタが大声出すから父さんが来ちゃったじゃない!」


「・・・俺のせいじゃねーし」






「何で騒いでいたのか大体わかっているよ」


「と、父さん・・・」

「あ、あの・・・あたし・・・」



「実は父さんもリルの彼氏にたかられちゃってね。
困ったもんだよ、彼女の父親にまでたかるなんて・・・」

「父さんにもお金返してくれると助かるんだが・・・」


「あれ、父さんも仲間だったんだ」


「と、父さん・・・」



「はいはい、もーわかったわよ!ちゃんとあたしが払いますよー」

「リル、そうヤケになるな」


「そうそう、そのうち良い特質の人が現れるって」


「・・・・良い特質限定かよ」